放送・情報通信に関わる総務省の組織再編の概要が15日分かった。放送行政を主に担当する局に、現在は別の局にあるIT戦略の司令塔の情報通信政策課を移す。行政組織上も放送とITを融合し、テレビ番組のインターネット同時配信といった課題に取り組む。9月にも実施する。
総務省の放送・情報通信行政は、主に放送を担当する「情報流通行政局」、インターネットや携帯電話といった通信事業を管轄する「総合通信基盤局」、IT戦略や放送・通信のインフラ輸出を担う「情報通信国際戦略局」の計3局がある。
2017/8/16
総務省も放送とIT融合へ ネット同時配信見据え
デジタルハリウッド大学 学長/工学博士
杉山知之
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放送と通信の融合が叫ばれたのは、もう十数年前の話である。未来の流れを見据えたIT企業が、地上波キー局との融合の模索を試みた。フジテレビジョン対ライブドア、TBS対楽天の攻防を憶えている方も多いだろう。iPhone登場から10年なので、スマホもなかった時代の話である。時は流れ、総務省もやっと外部環境が整ってきたと見たのであろう。
今やYouTubeで4K映像配信が普通に行われている中で、放送波による4K放送は、まだ一部でしか始まっていない。
2020年での実現を目指す5Gの世界になれば、放送波をはるかに上回るコンテンツ配信が実現する世界になる。例をあげれば360度ライブ高精細度映像配信や8K映像配信ということになるだろう。
放送局は、テレビジョンという枠に捕らわれずに、コンテンツ制作力を活かして、新たな収益源を確保すべき時が来ている。
スマホアプリやゲームなどのコンテンツの収益から観ると、遅きに失したという論調もあるが、まだ巻き返せるのではないだろうか。
放送波なんていらない、すべてネットとWiFiと携帯電話への電波でカバーできるじゃないかという見方もある。
しかし、地震のような大規模災害の危険性が常にある日本においては、いっぺんに数百万人への下り側をカバーできる放送波は、重要なインフラでもあるのだ。日本型の放送と通信の融合への政策を期待したいところである。
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