日本政策投資銀行と星野リゾート(長野県軽井沢町)、三井住友銀行など国内大手3行が共同で宿泊業を支援するファンドを立ち上げることが31日、分かった。規模は約140億円で、経営が振るわない業者を資金面で支援。星野リゾートが持っているノウハウを生かして事業再生や新規業務展開を手掛ける。
ファンドは、経営不振に陥っているが立地などの点で再生の可能性がありそうな宿泊業者に、耐震改修やリフォームの費用を出す。この他、新しくホテルなどを建設するための資金も拠出する。支援先の運営には星野リゾートが参画し、てこ入れを図る。
2017/8/01
宿泊業支援ファンド設立へ 政投銀と星野リゾート、大手3行
みずほ証券チーフクレジットストラテジスト
大橋英敏
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経営不振に陥っている旅館等の宿泊業を買収・再生する事業は、既に星野リゾートが行っており、実績も積みあがりつつあります(「界」や「リゾナーレ」が代表格)。今後、星野リゾートの当該事業規模を更に拡大させるため、資金面で大手行が協力するという内容ですね。
星野リゾートの事業モデルはシンプルで、物件自体は投資家(REITを含む)が保有し、ホテル運営で稼ぐビジネスモデルです。
バランスシートリスクが少なく、運営ノウハウの蓄積と共有も可能で効率的です。
今後も拡大が期待されるインバウンド需要に対して、宿泊施設の供給は不足気味です。これを補うべく期待されていた「民泊」は、規制により年の約半分しか営業できなくなるため、ホテル・旅館などの宿泊業による宿泊施設の供給への期待が高いです。
一方、伝統的な金融機関の融資の現場では、不動産開発案件に対する開発資金や運転資金への貸出に対する警戒感があり(リーマンショック時に債務のデフォルトが相次いだことが主因)、資金需要と供給のミスマッチが根強く残っています。
ファンドの規模は140億円と小規模ではありますが、当ファンドが不動産開発の世界における資金需給のミスマッチを解消する一歩となることを期待します。
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