【北京、上海共同】中国政府は1日、海外から輸入する自動車や日用品など1400品目以上の関税を引き下げた。保護主義色を強めるトランプ米政権に対抗し、市場開放をアピールして国際的な影響力を高める狙いがある。中国向けに製品を輸出する日本企業にとっては巨大市場で販売を伸ばす好機となりそうだ。
自動車の輸入関税は25%から15%に縮小。輸入車が買いやすくなり、日本勢では高級車ブランド「レクサス」を中心に昨年約15万台を輸出、販売したトヨタ自動車が恩恵を受けそうだ。
中国、車や日用品の関税引き下げ 米保護主義に対抗、日本企業好機
米中貿易戦争懸念がグローバル金融市場の懸念材料となっています。とりわけ中国では、株式市場の下落や通貨人民元相場の下落が顕著になっています。市場参加者の間では、2015年8月の人民元相場切り下げ後に発生した中国株式市場を含む世界の株価下落に発展した「チャイナショック」に関連付ける向きもあります。
さて、米中貿易戦争については、金融市場はつい最近まで楽観視していました。なぜなら、トランプ米大統領の真の狙いが、国内での支持率を高め10月の中間選挙への足掛りを築こうとしていると考えていたからで、両国が自らのマクロ経済環境を犠牲にしてまで「チキンレース」をするとは思っていなかったと思います。一方、最近は、トランプ大統領の中国に対する要求リストが一段と長くなっており、もはや米中双方のマクロ経済に負の影響を与えるのではないかとの見方がジワリと増えています。
恐らく、トランプ大統領は、実業家としての経験を活用し最大限の利益獲得を狙っていることに加え(=相手から最大限の譲歩を引き出すまでは一歩も引かない)、貿易だけではなく全ての領域において中国の台頭を阻もうとしていることも背景にあるのではないでしょうか。
中国の米国からの年間輸入額は1,300億ドル程度にとどまることも考慮に入れれば、両者が真剣に喧嘩をした場合の悪影響は中国側に大きく出るのは明らかです。最近まで話題だったZTE(中国最大の通信メーカー)への米政府による制裁(米企業との取引禁止によりZTEは経営破綻寸前まで追い込まれました)とその後の制裁解除方針(罰金の支払い等により取引継続の方針が出されています)は、現在の米中間の関係の一部が分かる好例ではないでしょうか。
結局、中国が出来ることは、①国内経済の開放を継続すること(記事の内容)、②WTOの枠組みの中で諸外国と協調して解決策を模索すること、および③中国の国内需要に対する下向きのリスクを抑制するための財政・金融政策を継続すること、になると思われます。つまり、最終的には中国が多くの譲歩をすることで(ただし急激な動きではなく時間を要します)、問題は解決に向かうのではないかと考えています。
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