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番組内容

企業法務を得意とする弁護士の中田光一知さんをパーソナリティに、報道記者経験8年の中嶋美和子さんをアシスタントに迎えて明日のビジネスに役立つ情報をお送りする15分番組です。


法務というと、訴訟や苦情から守ることだけを考えてしまうかもしれませんが、この番組ではもっと積極的なお話を展開していきます。
真面目に攻めの法務を語る中田弁護士と、それをわかりやすく砕いてくれる中島さん、番組では二人の絶妙なトークが展開されます。

中田総合法律事務所
パーソナリティ
中田光一知

中田総合法律事務所 弁護士
昭和34年 東京都生まれ。
東京都立国立高校を経て、
早稲田大学法学部卒業。
平成元年に弁護士登録(第二東京弁護士会)、平成6年に独立開業。
弁護士活動のほか、講演活動、
執筆活動、各メディア出演でも活躍中。

アシスタント
中島美和子

明治学院大学法学部卒
大分県出身
1999年大分朝日放送アナウンサーを経て、2007年よりフリー報道記者としての経験を活かしつつ、今は硬い番組からバラエティまで幅広く出演している。
オフィス北野所属

2011年08月13日
■第19回:中国版新幹線と日本の知的財産戦略

2011年8月13日放送分:中国版新幹線と日本の知財戦略
 
7月23日、中国・浙江省で高速鉄道が衝突・脱線する事故が発生。
 
中国の「高速鉄道」は、6月30日に北京と上海を最短4時間48分で結ぶ
"中国版新幹線"「北京・上海高速鉄道」が開業したばかり。
 
この高速鉄道には、日本やドイツの企業が技術を提供していますが
中国は、車両の開発は"独自技術"と主張し、
アメリカで特許の申請をする――と伝えられています。



特許認定に必要な二つの要素


 
中田「車両技術、運行システムなどの鉄道技術は長年にわたって
   鉄道の運営をしてこないと発達してこないので、
   全部、海外からの技術供与を受けて、開発し、
   実用化にこぎつけたということだと思います」

 
特許として認められるには、次の要件を満たさなければいけません。
 
【新規性】・・・新しいものであるか?
【進歩性】・・・今あるもの技術より進歩しているか?
 
日本の新幹線関連企業は
仮に、中国が申請した特許の内容が、日本が提供した技術であれば、
「特許権」「技術供与契約」をもって対抗する考えを示しています。
 
申請した特許内容は一定期間、公開されない


 
中田「特許を申請してから一定期間、内容がわからないんです」
 
申請内容が公開されるまでの期間は国別に異なり、
日本の場合は、申請から1年6カ月の期間、その内容が公開されません。
 
(仮に日本で特許申請された場合)
関連各社は、1年6カ月後に内容を確認してから、対応をとることに。
 
中田(関連企業は)特許権、技術供与契約の内容に従って、
   抵触・違反するところがあれば、
   問題にせざるを得ない――という姿勢ですね」

 
本当に中国独自の技術なのか??
 
中嶋「中国側は、日本やドイツの技術を さらに進化させた
   独自の技術――と胸を張っているようですけど、どうなんですか?」

 
中田「"独自"というのがいったいどこなのか――
   外観を見ても、日本の新幹線より旧型に見えます。
   専門家の人に聞くと"新幹線のシステム""外観上の構造"をみて
   『どこが独自の技術か、全く分からない』という声が多いですね」

 
中嶋「一定期間が過ぎて、早く内容を知りたいですね」
 
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仮に、中国の特許申請を認める国が出た場合、
その国で日本が新幹線技術を使用には、ロイヤリティーの支払いが必要になるため
特許認定の取り消し訴訟が起こる可能性があります。
 
日本企業の契約交渉は"お人よし"?!
  
中嶋「『鉄道』に限らず"技術"を海外に売っていこう――という
   日本の企業はどうしたらいいですか?」

 
中国に鉄道技術を提供した海外諸国の企業は
『特許権』『技術供与契約』により知的財産権を厳重にガード。
 
中田「"日本はガードが甘いのではないか"という

報道が一部がありました。
   その報道が真実だとすると"お人よし"といえばお人よし。
   相手とパートナーとして信用する気持ちは大事だけど、
   ビジネスはそれだけではなくて、
   ガードするところはしっかりガードしないといけない。
   相手に付け込まれるような"雰囲気"を醸し出してはいけないんですね」

 
海外での契約交渉や契約書作成に携わることも多い中田光一知先生は
「契約交渉」に臨む際の、日本企業と、アジアを含めた海外企業の
スタンスの違いを次のように指摘。
 
中田(日本は)あまり"ガチガチにやってます"という雰囲気を出したくない――
   という感じがあるんです。
   でも、海外の人は、アジアの人も含めて、内容とは別に
   "そういう雰囲気"を醸し出すんです。
   少なくとも契約をする時の雰囲気は、日本はお人よしです。
   そういう"雰囲気作り"も含めて、考えた方がいいのかなと思います」

 
中嶋 「日本人特有の気質ですね」
 
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ビジネスの世界では、相手との関係にメリハリを
  
中田「『和をもって尊しとなす』という精神は失ってはいけないと思う。
   だけど、相手との関係で生きていかなければいけない中で、
   日本はもっとガードを固めるところはガードを固める。
   厳しいところは厳しくする――
   メリハリをつけた方がいいのかな、と思います」

 



『弁護士中田のビジネスナビゲータ』では
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