■2011年8月6日放送分:持ち株会社化と海外戦略について■
「アサヒビール」が、7月1日、
持ち株会社「アサヒグループホールディングス」を発足させ、
これにより国内ビール大手4社はすべて持ち株会社化したことに。
この日は、持ち株会社化の背景と、
活発化する海外企業買収をテーマにお送りしました。
■持ち株会社とは
「持ち株会社」を語るうえでポイントとなるのが「財閥」。
第二次世界大戦 敗戦後、
持ち株会社として、事業会社を支配していた財閥は
解体され、「持ち株会社」が禁止されました。
中田「権限・権力は経済的にも"分散"されなければならない――。
そういう流れの中では財閥の解体はよかったんだけど、
"IT化"によって、世界の国境がなくなっていく...
資金が国境を越えて流れていく...。
その中で 日本は"ガラパゴス化"とも言われるんだけど、
"規模の経済"に負けていくんじゃないか――」
かつて「持ち株会社」は、独占禁止法によって禁止されましたが、
これでは、国境を越えて広がる事業を展開する企業が
国際競争に打ち勝つのは困難――。
中田「国内だけで考えて『独占』(している)と言っても、
"世界"の関係で負けてしまえば、
自由競争も何もないじゃないですか」
そして1997年 独占禁止法の改正により、純粋持ち株会社が解禁されました。
■持ち株会社のメリット
"規模の経済"を追求し、
コストを下げて、利益を上げる――
取扱商品の幅を広げる――そのためには、
各事業会社の判断に経営を任せた場合、統一した活動ができません。
そこで「持ち株会社」が経営戦略を練る――、
また、株主総会を支配することで、
事業会社の役員を選任する(取締役を選ぶ)ことができます。
中田「"スケールメリット"を求めるときに、
合併以上に"機動力"を発揮するんです」
■大手ビール会社は揃って持ち株会社に
日本国内市場のビールの販売量が"頭打ち"と言われる中、
大手ビール会社の持ち株会社化には、次のような考えがありそうです。
*「ビールだけ」「日本だけ」では競争に勝ち抜いていくことができない
*世界にマーケットを求める必要がある
ビール各社は、ビール以外の飲料部門を強化しやすくなり、
「アサヒグループホールディングス」は
オーストラリア、ニュージーランドの
ビール会社・飲料会社を積極的に買収しています。
中田「弱い部分を作るより、買った方が早いんです。
オセアニア地域は、競争が激しくない市場と言われていて、
そこの飲料メーカーを買うのは魅力的なんです。
商品の品揃えが増えますし、
そこの販売網が使えて、ビールもそこで売ればいい――
というわけです」
■持ち株会社化・企業の統廃合は、計画的・戦略的に
中田「大きくなることによって、コストを下げて利益を増やす――
これは当たり前のようなんですが、コストをいかに減らしても
売り上げを伸ばさないと、利益は増えないんです。
売り上げを維持しながらコストをカットすることが
利益を上げること。
"規模のメリット"を獲得することが早い。
商品ラインナップや取扱い業務を増やして多様化していくのも
"規模"を拡大をする目的で、統合することが早道なんですが、
企業の統廃合は、売却も含めて いろんなことを考えなければいけません。
計画的、戦略的にやっていく必要があって、そうしたことは
我々 専門家に いち早く相談していただかないとうまくいかない――
ということを考えながら、今回のホールディング化のニュースを
ひとつのの"材料"にしていただくといいと思います」
中嶋 「詳しい中田さんに相談して
持ち株会社化するといい――ということですね」
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