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番組内容

企業法務を得意とする弁護士の中田光一知さんをパーソナリティに、報道記者経験8年の中嶋美和子さんをアシスタントに迎えて明日のビジネスに役立つ情報をお送りする15分番組です。


法務というと、訴訟や苦情から守ることだけを考えてしまうかもしれませんが、この番組ではもっと積極的なお話を展開していきます。
真面目に攻めの法務を語る中田弁護士と、それをわかりやすく砕いてくれる中島さん、番組では二人の絶妙なトークが展開されます。

中田総合法律事務所
パーソナリティ
中田光一知

中田総合法律事務所 弁護士
昭和34年 東京都生まれ。
東京都立国立高校を経て、
早稲田大学法学部卒業。
平成元年に弁護士登録(第二東京弁護士会)、平成6年に独立開業。
弁護士活動のほか、講演活動、
執筆活動、各メディア出演でも活躍中。

アシスタント
中島美和子

明治学院大学法学部卒
大分県出身
1999年大分朝日放送アナウンサーを経て、2007年よりフリー報道記者としての経験を活かしつつ、今は硬い番組からバラエティまで幅広く出演している。
オフィス北野所属

2011年08月27日
■第21回:ゲスト 佐々木常夫さん(1)

『弁護士中田のビジネスナビゲータ』
「ビジネス」の世界で今、起きている出来事について
中田総合法律事務所の弁護士・中田[なかだ]光一知[]さんが
「法律」の観点から わかりやすく解説するほか
時には 企業経営に携わっている方をゲストにお招きして
ビジネスの最前線の話題をお聴きします。
 
この日は 東レ経営研究所 特別顧問佐々木恒夫さんをゲストにお招きしました。
 
◆佐々木恒夫さん プロフィール◆
 
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1944年、秋田市出身、66歳。
東京大学 経済学部卒業後「東レ」入社。
2001年、同期のトップで取締役就任。
2003年「東レ経営研究所」社長を経て、2010年、特別顧問に就任。
 
東レ時代は、経営破綻した会社の再建、様々な事業改革に取り組む。
 
著書は『部下を定時に帰す仕事術』『そうか、君は課長になったのか』
『働く君に贈る25の言葉』なと多数。
最新著書は『「本物の営業マン」の話をしよう』(2011年5月)
PHP研究所から800円(税別)で発売され、早くもベストセラー。
 
中田「『東レ』は化学繊維のメーカーとして、日本の経済の牽引車のような、
   学生の頃『就職したい企業』トップにずっと名前が出てた会社ですね」

 
中嶋「水着のキャンペーンガールで有名なタレントさんを排出されてますよね」
 
佐々木恒夫さんは2010年、サラリーマン生活を"卒業"
 
佐々木「"引退"というと隠居生活に入る感じですけど、
    私の場合はやることが山ほどありますので、
    "会社生活は卒業した"――ということですね」

 
■破綻企業の経営再建
 
合繊メーカーが取引をしている企業が、500億円の含み損を抱える経営危機に――。
 
倒産すれば、連鎖倒産する企業が200社にのぼる――と考えられ、
通産大臣が合繊メーカーに支援を要請。
 
東レからは14名が出向。
その中で最も若いメンバーが当時32歳の佐々木恒夫さんでした。
  
 ◆再建法
 
  *資産売却(不動産、有価証券などの売却)
 
  *固定費削減 (要員の削減)
 
  *事業の選択と集中 (関連会社は3分の1を整理、本体の事業は半分に)
 
佐々木さんの出向期間は3年半。
 
佐々木「平日は深夜0時まで、土日も出勤し、
    月の残業時間は『200時間』を超えました。
    経営のセオリー通りやれば、どの会社でも黒字にはなります」

 
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■経営規模を左右する"消費者との接点"
 
『選ぶ事業によって経営規模が決まる』と語る佐々木恒夫さん。
 
「自動車」「家電」メーカー業界トップの年間売上げ10兆円規模に対し
『東レ』は約1兆5千億円
 
佐々木恒夫さんは、こうした差が生まれた背景に
自動車・家電メーカーが消費者と向き合って事業を展開しているのに対して
"原料"を製造販売する『繊維メーカー』の『東レ』が向き合う対象は、
糸、綿、織物...の原料を加工する企業である点を指摘。
 
合繊メーカーは、消費者と接点を持つ道を歩まず
高分子化学の分野(プラスチック、ケミカル、炭素繊維など)へと進出し、
取扱い商品の幅を広げることで事業を拡大。
 
佐々木 「"末端"(消費者)に行かず"横"に展開して、それはそれで成功した。
    『東レ』はたった1兆5千億円しかないんですけど
    収益性は抜群でしたから。企業としてはそれでいいんです」

 
ゲスト 佐々木恒夫さんの回 1週目を終えて
  
中田『テトロン』という『東レ』と『帝人』で共同開発した製品があります。
   『東レ』は必ずしも消費者との接点を持たなかった――
   というお話があったけど
   我々の身近なところに根深く残っていくものを作っていて、
   そういう会社でトップを張られていた佐々木さんのお話――
   来週も楽しみですね」

 
この日 佐々木常夫さんに伺ったお話の一部は
『「本物の営業マン」の話をしよう』(PHP研究所/800円)に
詳しく掲載されています。
 
佐々木常夫さんの活動について詳しくは
佐々木常夫 オフィシャルWEBサイトでご確認ください。



『弁護士中田のビジネスナビゲータ』では
放送で取り上げてほしいテーマや質問、番組の感想をお待ちしています。
 
宛先:メール navi@joqr.net
宛先:ハガキ 〒105-8002 文化放送
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2011年08月20日
■第20回:焼き肉 集団食中毒事件とコンプライアンス

2011年8月20日放送分:焼き肉 集団食中毒事件とコンプライアンス
 
今年4月、富山、福井、横浜の3店舗で食事をした男女4人が死亡。
「病原性大腸菌」による食中毒患者は100人を超える集団食中毒事件が発生。
 
「焼肉酒屋えびす」を経営する「フーズ・フォーラス」は
仕入れた肉への「細菌検査」を2年間 実施しなかったこと、
衛生管理の認識が甘かったことを認めました。
 
集団食中毒事件発生の原因は??
 
中嶋「今回の事件の最大の原因はなんだったんでしょうか?」
 
中田「国民の健康を保護・維持するのは国、行政の役割なんです。
   フーズ・フォーラスの経営体質にもあったと思います」

 
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今回の事件に関する一連の報道が正しい場合、
肉の表面を削り取る"トリミング"作業に関して、
卸業者との間で、
トリミングを卸業者が行う契約があったとされています。
 
中田「仕入れをしたら、一切何もしない――
   食肉として提供する肉を、切って、
   そのまま出してしまう――ということをしていたようです。
   これは国の衛生基準に照らしても手抜きです」

 
しかし、国の衛生基準は、行政指導を行うための根拠にはなりますが、
法的拘束力はなく、罰則もありません。
 
中田「違反をしても、そのことによって罰則がある――
   ということではなかったところに問題があったんですね」

 
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フーズ・フォーラス社の今後は?
 
「焼肉酒家えびす」の運営会社「フーズ・フォーラス」は、
当初、「被害者への賠償のため」として営業再開を模索していましたが、
「営業再開は難しい」として取締役以外の社員およそ90人を解雇し、
会社を分割した上での新会社設立を検討。
 
フーズ・フォーラス社自体は解散、
新会社は、被害者への賠償問題で窓口になるとみられます。
 
中田「こういうことが一度起こると、第一に営業が立ち行かなくなる。
   今回のように亡くなったり入院したりする人が出て
   "傷害"となると、刑事上の責任を問われることもあり得ます」

 
企業が、社会が、"守るべきもの"とは?
 
トリミングをしなかった
   衛生管理をしなかった、衛生基準を守らなかったことと
   食中毒に因果関係があれば、なんらかの責任をとらなければならない。
   企業が生き延びるために(今回のような形で)"利益"を追求して、
   その結果、企業が倒れてしまう――ということになる。
   "守るべきもの"は何なのか――基本にかえって考えた方がいい」
 
『ユッケ』を例にした場合、
食べることで数パーセントのリスクがあるが
提供者は、安全面での一定の基準を設け、その基準に則って提供し、
消費者は、リスクがあることを理解して食べる――。
 
このように、選択肢は広げながら、
国民の健康・安全のために一定の基準を作る必要があるでしょう。
 
今年5月、東京都が都内の焼き肉店や食肉処理業者などを調査した結果
約7割の店舗が、
厚生労働省の衛生基準に反する取り扱いをしていたことが明らかになりました。
 
また、厚労省は、
食品衛生法の衛生基準を満たさない生肉の流通販売に「罰則規定」を設け、
合わせて「抜き打ち検査」も行い"行政規制を厳格にする"ことを決めました。
 
中田「なんでも『禁止』にすると"何もしないでください"となって、
   行きすぎると問題で、バランスは必要ですが、
   我々市民一人ひとりが、自分を守るための知識を持っていることが
   一番大事で、それを守るために国・自治体の制度がある。
   もちろん企業も その一員として、
   そういったものを守っていく姿勢を持って経営をしていく――」

 
中嶋「『営業停止』とか罰則がなかったから基準を守ってなかったんですかね」
 
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コンプライアンスの基本の考え
 
中田「利益を追求するために"手抜き"をして、
   結局のところ、利益どころか企業が死んでしまう。
   『コンプライアンス』の基本は"自分がされたらどうか"ということ。
   自分だけ良ければいい――というものではなくて
   お互いのことを"自分のこと"として考えていくことが大事です」
 
 
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2011年08月13日
■第19回:中国版新幹線と日本の知的財産戦略

2011年8月13日放送分:中国版新幹線と日本の知財戦略
 
7月23日、中国・浙江省で高速鉄道が衝突・脱線する事故が発生。
 
中国の「高速鉄道」は、6月30日に北京と上海を最短4時間48分で結ぶ
"中国版新幹線"「北京・上海高速鉄道」が開業したばかり。
 
この高速鉄道には、日本やドイツの企業が技術を提供していますが
中国は、車両の開発は"独自技術"と主張し、
アメリカで特許の申請をする――と伝えられています。



特許認定に必要な二つの要素


 
中田「車両技術、運行システムなどの鉄道技術は長年にわたって
   鉄道の運営をしてこないと発達してこないので、
   全部、海外からの技術供与を受けて、開発し、
   実用化にこぎつけたということだと思います」

 
特許として認められるには、次の要件を満たさなければいけません。
 
【新規性】・・・新しいものであるか?
【進歩性】・・・今あるもの技術より進歩しているか?
 
日本の新幹線関連企業は
仮に、中国が申請した特許の内容が、日本が提供した技術であれば、
「特許権」「技術供与契約」をもって対抗する考えを示しています。
 
申請した特許内容は一定期間、公開されない


 
中田「特許を申請してから一定期間、内容がわからないんです」
 
申請内容が公開されるまでの期間は国別に異なり、
日本の場合は、申請から1年6カ月の期間、その内容が公開されません。
 
(仮に日本で特許申請された場合)
関連各社は、1年6カ月後に内容を確認してから、対応をとることに。
 
中田(関連企業は)特許権、技術供与契約の内容に従って、
   抵触・違反するところがあれば、
   問題にせざるを得ない――という姿勢ですね」

 
本当に中国独自の技術なのか??
 
中嶋「中国側は、日本やドイツの技術を さらに進化させた
   独自の技術――と胸を張っているようですけど、どうなんですか?」

 
中田「"独自"というのがいったいどこなのか――
   外観を見ても、日本の新幹線より旧型に見えます。
   専門家の人に聞くと"新幹線のシステム""外観上の構造"をみて
   『どこが独自の技術か、全く分からない』という声が多いですね」

 
中嶋「一定期間が過ぎて、早く内容を知りたいですね」
 
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仮に、中国の特許申請を認める国が出た場合、
その国で日本が新幹線技術を使用には、ロイヤリティーの支払いが必要になるため
特許認定の取り消し訴訟が起こる可能性があります。
 
日本企業の契約交渉は"お人よし"?!
  
中嶋「『鉄道』に限らず"技術"を海外に売っていこう――という
   日本の企業はどうしたらいいですか?」

 
中国に鉄道技術を提供した海外諸国の企業は
『特許権』『技術供与契約』により知的財産権を厳重にガード。
 
中田「"日本はガードが甘いのではないか"という

報道が一部がありました。
   その報道が真実だとすると"お人よし"といえばお人よし。
   相手とパートナーとして信用する気持ちは大事だけど、
   ビジネスはそれだけではなくて、
   ガードするところはしっかりガードしないといけない。
   相手に付け込まれるような"雰囲気"を醸し出してはいけないんですね」

 
海外での契約交渉や契約書作成に携わることも多い中田光一知先生は
「契約交渉」に臨む際の、日本企業と、アジアを含めた海外企業の
スタンスの違いを次のように指摘。
 
中田(日本は)あまり"ガチガチにやってます"という雰囲気を出したくない――
   という感じがあるんです。
   でも、海外の人は、アジアの人も含めて、内容とは別に
   "そういう雰囲気"を醸し出すんです。
   少なくとも契約をする時の雰囲気は、日本はお人よしです。
   そういう"雰囲気作り"も含めて、考えた方がいいのかなと思います」

 
中嶋 「日本人特有の気質ですね」
 
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ビジネスの世界では、相手との関係にメリハリを
  
中田「『和をもって尊しとなす』という精神は失ってはいけないと思う。
   だけど、相手との関係で生きていかなければいけない中で、
   日本はもっとガードを固めるところはガードを固める。
   厳しいところは厳しくする――
   メリハリをつけた方がいいのかな、と思います」

 



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2011年08月06日
■第18回:ビール大手 持ち株会社化と 海外戦略

2011年8月6日放送分:持ち株会社化と海外戦略について
 
「アサヒビール」が、7月1日、
持ち株会社「アサヒグループホールディングス」を発足させ、
これにより国内ビール大手4社はすべて持ち株会社化したことに。
 
この日は、持ち株会社化の背景と、
活発化する海外企業買収をテーマにお送りしました。
 
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持ち株会社とは
 
「持ち株会社」を語るうえでポイントとなるのが「財閥」。
 
第二次世界大戦 敗戦後、
持ち株会社として、事業会社を支配していた財閥は
解体され、「持ち株会社」が禁止されました。
 
中田「権限・権力は経済的にも"分散"されなければならない――。
   そういう流れの中では財閥の解体はよかったんだけど、
   "IT化"によって、世界の国境がなくなっていく...
   資金が国境を越えて流れていく...。
   その中で 日本は"ガラパゴス化"とも言われるんだけど、
   "規模の経済"に負けていくんじゃないか――」

 
かつて「持ち株会社」は、独占禁止法によって禁止されましたが、
これでは、国境を越えて広がる事業を展開する企業が
国際競争に打ち勝つのは困難――。
 
中田「国内だけで考えて『独占』(している)と言っても、
   "世界"の関係で負けてしまえば、
   自由競争も何もないじゃないですか」

 
そして1997年 独占禁止法の改正により、純粋持ち株会社が解禁されました。
  
持ち株会社のメリット
 
"規模の経済"を追求し、
コストを下げて、利益を上げる――
取扱商品の幅を広げる――そのためには、
各事業会社の判断に経営を任せた場合、統一した活動ができません。
 
そこで「持ち株会社」が経営戦略を練る――、
また、株主総会を支配することで、
事業会社の役員を選任する(取締役を選ぶ)ことができます。
 
中田「"スケールメリット"を求めるときに、
   合併以上に"機動力"を発揮するんです」

 
大手ビール会社は揃って持ち株会社に
  
日本国内市場のビールの販売量が"頭打ち"と言われる中、
大手ビール会社の持ち株会社化には、次のような考えがありそうです。
 
「ビールだけ」「日本だけ」では競争に勝ち抜いていくことができない
世界にマーケットを求める必要がある
 
ビール各社は、ビール以外の飲料部門を強化しやすくなり、 
「アサヒグループホールディングス」
オーストラリア、ニュージーランドの
ビール会社・飲料会社を積極的に買収しています。
 
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中田「弱い部分を作るより、買った方が早いんです。
   オセアニア地域は、競争が激しくない市場と言われていて、
   そこの飲料メーカーを買うのは魅力的なんです。
   商品の品揃えが増えますし、
   そこの販売網が使えて、ビールもそこで売ればいい――
   というわけです」

 
持ち株会社化・企業の統廃合は、計画的・戦略的に
 
中田「大きくなることによって、コストを下げて利益を増やす――
   これは当たり前のようなんですが、コストをいかに減らしても
   売り上げを伸ばさないと、利益は増えないんです。
   売り上げを維持しながらコストをカットすることが
   利益を上げること。
   "規模のメリット"を獲得することが早い。
 
   商品ラインナップや取扱い業務を増やして多様化していくのも
   "規模"を拡大をする目的で、統合することが早道なんですが、
   企業の統廃合は、売却も含めて いろんなことを考えなければいけません。
 
   計画的、戦略的にやっていく必要があって、そうしたことは
   我々 専門家に いち早く相談していただかないとうまくいかない――
   ということを考えながら、今回のホールディング化のニュースを
   ひとつのの"材料"にしていただくといいと思います」

 
中嶋 「詳しい中田さんに相談して
   持ち株会社化するといい――ということですね」

 
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