企業法務を得意とする弁護士の中田光一知さんをパーソナリティに、報道記者経験8年の中嶋美和子さんをアシスタントに迎えて明日のビジネスに役立つ情報をお送りする15分番組です。
法務というと、訴訟や苦情から守ることだけを考えてしまうかもしれませんが、この番組ではもっと積極的なお話を展開していきます。
真面目に攻めの法務を語る中田弁護士と、それをわかりやすく砕いてくれる中島さん、番組では二人の絶妙なトークが展開されます。
中田総合法律事務所 弁護士
昭和34年 東京都生まれ。
東京都立国立高校を経て、
早稲田大学法学部卒業。
平成元年に弁護士登録(第二東京弁護士会)、平成6年に独立開業。
弁護士活動のほか、講演活動、
執筆活動、各メディア出演でも活躍中。
明治学院大学法学部卒
大分県出身
1999年大分朝日放送アナウンサーを経て、2007年よりフリー報道記者としての経験を活かしつつ、今は硬い番組からバラエティまで幅広く出演している。
オフィス北野所属
■2011年7月30日放送分:東証・大証合併協議 証券取引所の経営統合■
この日の放送では、本題に入る前に【東京】と【大阪】の食文化の違いについて
中田光一知先生(東京出身)と中嶋美和子さん(大分出身)で議論に――。
■うどん
【東京】 濃い口醤油の つゆ ―― 中田
【大阪】 鰹と昆布のダシが効いた つゆ ―― 中嶋
中嶋「私、東京のうどんを実は食べたことがなくて
濃い口しょうゆの梅雨が想像がつかないんですが?!」
■ところてん
【東京】 酢醤油 ―― 中田
【大阪】 黒蜜 ―― 中嶋
中嶋「黒蜜しか食べたことなくて、大人になって
居酒屋さんで酸っぱいところてんを食べてビックリしました!」
■肉じゃが
【東京】 豚肉 ―― 中田
【大阪】 牛肉 ―― 中嶋
中嶋「私、豚肉の肉じゃがって知らないんですけど・・・!!」
中田「そんなにハッキリ違うんですね」
■2011年7月23日放送分:ゲスト 協栄産業 代表取締役社長 古澤栄一さん■
先週に引き続き、
PETボトルをリサイクルすることで"資源循環の輪"を広げている
協栄産業株式会社 代表取締役社長 古澤栄一さんにお話を伺いました。
■2011年7月16日放送分:ゲスト 協栄産業 代表取締役社長 古澤栄一さん■
『弁護士中田のビジネスナビゲータ』は
「ビジネス」の世界で今、起きている出来事について
中田総合法律事務所の弁護士・
「法律」の観点から わかりやすく解説するほか
時には 企業経営に携わっている方をゲストにお招きして
ビジネスの最前線の話題をお聴きします。
7月16日 ゲスト:協栄産業株式会社 代表取締役社長 古澤栄一さん
■協栄産業 株式会社について
協栄産業はPETボトルはじめとする、使用済みプラスチック製品から
「PET樹脂」「ペレット」と呼ばれる高品質の再生原料を製造。
リサイクルによって"資源循環の輪"を広げています。
設立:1985年 (日本に飲料用PETボトルが登場したのは1982年)
本社:栃木県小山市 工場:全国6か所
■リサイクルへの理解がなかった1980年代
大量生産・大量消費・大量廃棄の1980年代――。
古澤栄一さんが協栄産業を設立した当時の日本は、
"世界のモノづくり国"として、国内企業同士が競い合っていました。
従来、廃棄物だったものをリサイクルすることは、
知的財産の漏えいにつながる――と考えられ、
リサイクルの必要性に対する理解がなかった時代だったのです。
■リサイクルの"見える化"
「商品にならなかったモノを埋め立て・焼却してしまうのはもったいない」と考えた
古澤さんは、リサイクル方法を開示=見える化することで、
企業(排出事業者)の理解を得ることに成功。
やがて世界は"資源リサイクルの時代"へと移り変わることに――。
■PETボトルは日本の都市油田
石油を原料に作られるPETボトル――。
日本には中東のような天然油田はありません。
しかし、使用済みPETボトルを適正にリサイクルすれば、
バージン原料の代わりに使用することができます。
そこで古澤さんは
"地下資源"=天然油田を利用して作られ、リサイクルできるPETボトルは
"地上資源"である――と捉えています。
古澤「"都市油田"というイメージになるんじゃないでしょうか」
中田「"都市油田"というのは言いえて妙、その通りですね」
■地球的意義のあるリサイクル
中田「ペットボトルが出始めて間もなく"資源のリサイクル"に目をつけられ
それが社会的、地球的意義があることで、
それをご夫婦で始められた――ということに感銘を受けました」
協栄産業株式会社 代表取締役社長 古澤栄一さんには
来週7月23日もご登場いただき、
PETボトルリサイクルの最新事情="ボトル to ボトル実用化"について
お話を伺います。 どうぞお楽しみに!
■2011年7月9日放送分:独占禁止法違反 モバゲーに排除命令 ■
中嶋「私、両方のゲームを毎日かなりやってます!」
この日は、交流型ゲームサイト「モバゲータウン」(以下「モバゲー」)を運営する
ディー・エヌ・エー(DeNA)が
コンテンツを開発するゲーム開発会社 約40社に対し、
競合社のグリーにゲームを提供しないように
圧力をかけた問題を取り上げました。
モバゲー、グリーそれぞれのヘビーユーザーでもある中嶋美和子さんには、
これまで取り上げたテーマの中でも最も身近な話題のようです。
■競争環境を維持する 独占禁止法
中田「競争環境を維持することはなぜ必要かわかりますか?」
中嶋「独占すると、価格も何もすべて勝手に決められてしまう?」
市場が"独占"された状態では"競争"がなくなり、
独占する企業の思惑に、全て従わなければならない環境が生まれます。
中田「市民生活の豊かさ、産業の発展の観点から正しくないでしょう」
そこで、自由市場を保護する発想のもと、
自由競争をする環境を作り、"競争環境を維持"するための法律として
「独占禁止法」が登場し、その運営を公正取引委員会が司っています。
■モバゲーがグリーを妨害
自由競争をするには「ルール」が必要。
相手を負かすために「不正」をしてはいけません。
ところが、モバゲーを運営するDeNAは、
モバゲー、グリーともに【売り上げの7~8割を占める】ともいわれる
コンテンツを提供するゲーム開発会社40社に対し、
『グリーにゲームを提供したらモバゲーからは削除する』と
圧力をかけてグリーを妨害。
中田「(グリーから)取っちゃった分がそのまま
プラスアルファになるわけじゃないけど、
少なくともグリーは壊滅状態になってしまう」
中嶋「なんで、小学生でもわかる
"いけないこと"をしちゃったんですかね?」
中田「抜きつ抜かれつの大競争をしていて
お互いに成長してきたんですけど、
だんだん"衝突"する場面が多くなってきたんです」
両社に対して、同じ事業者(ゲーム開発会社)が提供する
類似または同じゲームの流通が広がり、
ゲームユーザーは「モバゲーとグリーは どちらがいい」と
評価することが困難な状態になりました。
"相手に勝ちたい気持ち"が高まり過ぎたあまり
"競争がない方が、マーケットを独占できる"――と
妨害する手段に走ってしまった――と考えられます。
中田「結果としては"足を引っ張ってやろう"
という話になってしまったんです」
実際には、モバゲー、グリーを両方利用するユーザーも多く、
グリーからモバゲーに乗り換えることにはつながらなかったようです。
中嶋「私、実際にそうですしね。日替わりで両方使ってます」
■モバゲーに排除命令
圧力をかけられたゲーム開発会社の中には、実際に、グリーへの提供をやめ、
それにより数千万円規模の売り上げ減になった事業者もありました。
公正取引委員会は、去年12月に立ち入り調査を実施。
独占禁止法違反の認定をし、今年6月9日、
競合社のグリーにゲームを提供しないよう圧力をかけ取引を妨害したとして、
DeNAに再発防止を命じる排除措置命令を出しました。
中嶋「私はヘビーユーザーとして、両方なくなってほしくないし、
両方に面白いゲームを提供してほしいです」
■成長のためにはライバルが必要
中田「『競争』というとイヤかもしれないけど、
"ライバル"がいてこそ自分が成長する――と思って
競争はしなければいけないんです。
『ライバルがいてこそ自分がいる』と思って、
大事にしなければいけません」
中嶋「その通りだと思います」
■2011年7月2日放送分:鉄鋼大手の合併と独占禁止法、市民生活への関わり■
"日本の鉄"復活へ――。
国内鉄鋼大手の「新日本製鉄」と「住友金属工業」が
来年2012年10月をめどに経営統合することで合意しました。
合併が実現すると、売上高は、世界トップの
アルセロール・ミタル(ルクセンブルク)に次ぐ「世界2位」に。
新日鉄はかつて「生産量 世界一」を誇っていましたが、
現在は「世界6位」、住友金属は「世界19位」。
両社は統合によって、規模拡大、世界的競争力向上を目指しますが、
このニュースに対して中田光一知先生が、
『産業構造のあり方』の視点で問題点を指摘。
また、今回の経営統合と独占禁止法の関わりについて
解説しました。
そして、大企業の経営に関する話題は
毎日の暮らしの中で私たちが考えるべきことへ――。
■産業の構造――その移り変わりの中で「鉄鋼業界」は・・・
"重厚長大産業"の象徴といえる鉄鋼業は
戦後から高度成長期にかけて
日本の産業の"トップランナー"として走り続けてきましたが・・・
中田「工業化社会の発展の先には、
だんだん必要なくなってくるわけです」
日本の後を追うように、発展を続けている国――
韓国や中国の鉄鋼会社が急成長し、今では世界市場の上位に進出。
ところで、世界上位に
アメリカ企業が名を連ねていないのはなぜ?
中田「"重厚長大産業"――工業化の進むプロセスでは
代表的な企業は、アメリカにはすでにないんです。
自動車だけ、かろうじて残ってる。
産業は構造がどんどん変わっていって
国内で作っても魅力がない――
そうしたものはどんどん捨てていくプロセスがあるんです」
■統合実現の場合も世界シェア3%
新日本製鉄と住友金属工業の統合が実現しても、世界シェアは3%。
中田「3%でも、その程度ないと
国際的競争力はない――という判断なんでしょうね」
■"重厚長大産業"に未来はあるのか??
中田「アメリカでは、世界的競争力がなくなりつつある産業――
"自前"でやらなくてもいい産業は、国内では捨てています。
儲からないから」
新日本製鉄と住友金属の統合が実現しても
世界シェアでわずかに「3%」――。
はたしてこれでも
将来的に未来につながる"見込み"があると言えるのでしょうか?
中田「日本の産業構造が、もっと変わるべきだと思っているので
"重厚長大産業"にしがみつくのは
『もう やめようよ』と僕は思っています」
しかし"変わる"ためには大きな"痛み"を伴うことになりそう。
中田「新日本製鉄のグループ企業、関係企業あわせて
従業員とその家族を考えれば
とうてい100万人じゃきかない――
どれくらいの人生を支えているんだろうか」
このように考えた場合、
今あるものを守っていくこも必要なのかもしれません。
■国内シェア40%
国内市場への影響に目を向けると
新日本製鉄と住友金属工業が統合した場合の
国内シェアは「40%」――。
中田「国内市場的に考えた時、
40%のシェアを持つということは
非常に大きなことです」
統合が実現すると、
業界内でのイニシアチブを握ることへとつながり
競争環境が守られなくなる恐れがあることから
独占禁止法に抵触すると考えられます。
韓国では、サムスンが巨大企業に成長し"独り勝ち"の状態。
しかし、世界マーケットで巨額の収益を上げながら
韓国国内の経済、市民生活に"還元"されていない現状があります。
中田「『サムスン栄えて国滅ぶ』と言われているんです。
企業が大きくなることと、市民生活が豊かになることは、
実は同じことではないんです。
独占禁止法は、市民生活を豊かにすることも目的のひとつだから
そのあたりも考えなければいけないという気がしますね」
■統合問題から ~ 私たちが考えるべきこと
番組終盤の話題は、
「世界的競争力の向上」が「豊かな市民生活の実現」につながるのか
――という視点から
私たち一人ひとりが暮らしの中で考えるべきことについて。
中田「物事にはすべて表と裏があります。
たとえば、政府、マスコミ...、人の意見は
自分たちの達の身にどのように降りかかってくるのか――
というところに立ち返って、考えてみるべきです。
それによって、本当の意味で
有権者として、ものが言えることになる。
たくさんある情報を、自分の中でどのように考えるか――
ということなんです」
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