10月、今年のノーベル経済学賞の受賞者が発表されました。選ばれたのは、アメリカの大学の研究者3人です。
しかし、どんな研究が評価されたのか、正直よく分かりません...。
そこで、いつも分かりにくいことを分かりやすく解説して下さる、
明治大学政治経済学部准教授の飯田泰之さんをお招きして教えていただきました。
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【「経済学賞」は「ノーベル賞」ではない!?】
ノーベル経済学賞は、正式には「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン中央銀行経済学賞」で、
他の賞と成り立ちが違う。選考は物理学賞や化学賞と同じ。
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【今年のノーベル経済学賞は?】
受賞したのは、アメリカのマサチューセッツ工科大学のアビジット・バナジ-氏とエスター・デュフロ氏、
アメリカのハーバード大学のマイケル・クレマー氏の3人。
今回の受賞は画期的!
これまでは、基本的に新しい経済を理解するための理解を考えた人や統計データを使って分析し、
これまでの理論を正しい正しくないと検証した人が受賞していたが、
今回受賞した3人は「検証するためのデータを作った」人である。
彼らは、世界的な貧困の削減のために、
実際に途上国の特定の地域でデータをとり、社会的条件と貧困の因果関係を探った。
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【簡単にいうとどんな研究?】
▼ブラジルでの実験例。「低所得者の投票率を上げるには何が必要か」を探るために、
対象者の有権者の半分に電子投票、半分に今まで通りの投票をしてもらった。
その結果、電子投票の方の投票率が高かった。実験前は低所得者の方は電子投票が理解できず、
投票率が下がると予想している人もいたが、実際は結果が異なった。
▼インドでの実験例。インドは学校の先生が出勤せず、子供たちに自習をさせることが多々見受けられる。
先生がサボるのを防止するための実験として、授業の開始前と開始後に生徒と一緒に写真を撮って
指定の場所に掲載するということを行ったら、先生の出勤率が上がった。
こうした研究を通して、これまでのデータに基づく政策はあまり有効でないということが分かってきた。
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【結局、何がすごいのか?】
こうした実験は歳月と費用がかかる。
さらに今回受賞した方に関しては、これらによって作られたデータをもとに、
実際にアフリカで寄生虫を劇的に減らすのに成功した。救われた命も多い。
このようにデータを作ったこと自体を表彰されるというのは珍しい。経済学賞の流れを変える凄いこと。
プロ野球で例えると、活躍した選手ではなく、球場を整備しシステムを作り動員を考えた人が表彰されるようなもの。
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そのほか、飯田さんには
【なぜ経済学賞は日本人の受賞者がいないのか?】
【飯田さんが凄いと思うノーベル経済学賞受賞者は誰?】
【量子コンピュータの登場で仮想通貨(暗号通貨)は今後どうなるか?】
【フェイスブックのリブラはどうなるの?中国も同じような通貨を作るの?】
【消費増税となって1か月。景気は今後どうなっていくと思いますか?】
など最近気になる質問もあわせて答えていただきました。
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番組の中で、成功の理由を聞かれた村上さんが「運」と答える姿に謙虚だなぁと思ったのも束の間。
最近の研究で、所得が上になるか下になるかの決定的な理由は「運」ということが分かったという
飯田さんの話をお聞きして、「謙虚さも運もどちらも兼ね備えているから成功しているんですね!」と
改めて気付かされる回でもありました。
by長麻未