1/16(日) <クスリ> と <リスク>
今日の懸川先生のお話は、「古くて新しい薬」という内容で
始まりました。
私たちが"薬"と聞いてパッと思い浮かぶのは、工場で
作られたクスリ、"化学薬品"ですが、そういったクスリは
まだ100年そこそこの歴史で、それまでの5000年の間は、
植物や虫からできた"漢方薬"、あるいは植物の汁など
"植物そのもの"をクスリとして使ってきました。
先祖から伝わる知恵として、植物をクスリとして使ってきた
歴史の方が圧倒的に長く、
そうした"植物"の成分を細かく分析して、どの成分が何に効くか
調べて作られたいわゆる"西洋薬"は、まだ100年くらいの
歴史しかないんだそうです。
人類が最初に合成したクスリは、解熱鎮痛薬として有名な
『アスピリン』。
これは、
柳の枝の汁を絞ったものを、怪我をしたとき傷口に塗ると、
消炎作用があって、痛みが減るということが昔から知られていて、
それでは、柳の木の汁のどの成分が炎症を抑える働きがあるのか
<気の遠くなるような作業>で細かく分けて調べ上げていった結果
『アスピリン』が生まれた、といいます。
柳の木そのままでは駄目で、
「ちょっと変えると『アスピリン』になった」
という懸川先生のお話に、
「その、ちょっと変えた人は天才ですネ!」と
正蔵さん、感心しきり。 (本当にそうですね)
柳の木から「アスピリン」ニチニチ草から「抗がん剤」の成分が
とれるなど、今私たちが服用している薬の半分以上が
植物からとられたもの、植物由来の薬なんだそうです。
ニチニチ草と同じように"観賞用植物"のジギタリスや
キョウチクトウからは「強心剤」がとれます。
これは、どうして発見されたのか、というと、
牛や馬が草を食べていて時々興奮して暴れるので、どういう時
様子がおかしくなるか調べたところ、ジギタリスやキョウチクトウ
を食べたときと分かり、その成分を調べたら、
それぞれに「心臓の動きを活発にさせる働きがある」ことが
分かったんだそうです。
この場合は、毒性のある植物がクスリになることが分かった
1つの例です。
時として、「毒性のあるものがクスリになる」というお話から
懸川先生は、
<クスリ>と<リスク>という興味深いお話をして下さいました。
<クスリ>は飲むタイミングが難しい。
その、飲むタイミングと量を誤ると、命に関わる場合もあるという
ドキッとするお話に、
食前・食後・食間といった薬を飲むタイミングの指示を
あまり守ってこなかった正蔵さんと私は、思わず、「ウワァ~」と
大きな声を上げてしまいました。
___<クスリ>は時として<リスク>になる___
特に、糖尿病の患者さんがクスリを飲むタイミングを誤ると
命が危険になるほど逆効果だ、というお話に
頭をガンとたたかれた思いがしました。
薬って、いい加減に飲んだら本当に怖いんですね。
薬は、病気を治す働きもあるけど、飲むタイミングを誤れば
毒にもなるということを肝に銘じなければいけません。
懸川先生、今日もためになるお話をありがとうございました。
【今日の一曲】
It's The Falling In Love / マイケル・ジャクソン
番組日記 | 2011年1月16日 08:00
林家正蔵 プロフィール
本名<海老名泰孝・えびなやすたか>
1962年12月東京根岸生まれ。
1978年4月
高校入学と同時に林家こぶ平として落語協会に所属。
1981年5月
二ッ目昇進。
1987年5月13日
真打試験合格。最年少で13人抜き昇進。
1989年3月18日
浅草芸能大賞 新人賞受賞。
1990年6月
国立花形演芸大賞古典落語金賞受賞。
2005年3月21日
九代 林家正蔵 襲名。
2005年9月
城西国際大学人文学部客員教授就任。
2005年12月
浅草芸能大賞 奨励賞 受賞。
【映画声優出演】
「うしろの正面だあれ」
「平成狸合戦ぽんぽこ」など
【TVドラマ出演】
TVドラマ「天うらら」・「お美也」など
その他、TV番組司会などメディアに多数出演
【著書】
角川書店「お江戸週末散歩」
集英社「落語いってみよう、やってみよう」
岩崎書店「林家正蔵と読む落語の人びと、落語のくらし」など、他多数。
林家正蔵オフィシャルサイト「蔵の塩梅」 http://www.sanpeido.com/shozo/
石川 真紀(いしかわ まき)
文化放送アナウンサー
4月16日生まれ、秋田県出身。早稲田大学卒業、A型。
プロフィールページ http://www.joqr.co.jp/announcer/ishikawa.html
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