林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

10月9日(日)言葉、音楽、光・・・

今週も、

城西大学 現代政策学部 准教授、

奈良澤由美(ならさわ・ゆみ)先生の授業。

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今回は、先生が博士論文のテーマに掲げた

「 キリスト教の祭壇 」 に関するお話から始まりました。

キリスト教における祭壇は、

イエス・キリスト自身を表す象徴で、

教会になくてはならないもの。

他のどの装飾よりも大切なのだそうです。

そして、

目に麗しいもの、つまり分かりやすいものは、俗世に近く危険と考えられ、

言葉、音楽、光、絵画、丸彫り彫刻の順に重んじられるのが、

キリスト教とのこと。


先生のお話の中で一段深く考える機会を得たのが、

キリスト像について。

3世紀~4世紀頃、人々はキリストの姿を描くことに慎重で、

特に、顔を描くことにためらいを覚えていたのだとか。

イエス・キリストは、ギリシャ語で神の子にして救世主=魚を意味することから、

長らく魚として描かれたり、

聖書にあるとおり、

ブドウや羊飼いとして描かれていた時代を経て、

やがて、いつの頃からか、ビザンティン帝国が、

キリストの姿として、黒髪に髭をたくわえた壮年男性のヴィジュアルを選択し、

広く知られるようになった経緯があるようです。


キリスト教美術が最初に生まれたのが、

既に、様々な神様や信教を受け入れていたローマであったことで、

それまでは偶像崇拝がタブー視されていたキリスト教も、

姿形を伴った神様が存在して然るべき、という流れになったであろうことが

納得できます。


海外の教会や聖堂を訪れる時、

まず目を奪われるのが、像や彫刻などの装飾になりがちですが、

礎を成す言葉や音楽、光の崇高さと、

しばし向き合う時間を、

信徒か否かに関わらず、大切にしたいものです。

                    石川真紀

【 ON AIR MUSIC 】
 
   Fun Day / Stevie Wonder


番組日記 | 2016年10月 9日 08:00

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