林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

9月20日(日)演出によるイメージ

今週も、

城西国際大学 国際人文学部 准教授、

吉城寺尚子(きちじょうじ・なおこ)先生の授業。

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今回の例題は、フランケンシュタインとドラキュラでした。

 ' フランケンシュタイン 'の一般的なヴィジュアルイメージは、

巨躯で四角い顔、頭にボルトが刺さっていて、傷だらけ、というものですが、

実際のところ、フランケンシュタインは博士の名前で、

原作では、怪物(モンスター、クリーチャー)と称される無名の存在。

巨体で皮膚が黄色く、醜いと形容されているものの、

どのように ' 醜い ' のかは、詳説されていないそうです。


そして、興味深いのが、

映像化された時のキャラクター設定。

原作では、

怪物が読書することで人間らしい知性・感情を学ぶ場面がありますが、

映画では、ほとんど言葉を発せず、

周囲の会話や情報を理解できていないような描写が。

映像化する際には、いわゆる演出によって、

大勢の人々が理解しやすいとされる設定に、

半ば強引に導くことが少なくないようです。


一方の、ドラキュラ。

原作は、

周辺人物の日記や手紙、記事、報告書、録音の文字起こしで綴られ、

実際にドラキュラ伯爵自身が姿を見せるのは、

ラスト、人々と対決する場面だけとのこと。

また、近代国家が成り立つ前の20世紀初頭、

ヨーロッパ各地では君主政治によって民を治めていた、その労苦が、

ある種の象徴として

「ドラキュラ」という小説を生み出した背景も垣間見られます。


今回2週にわたる授業で取り上げられた主人公・物語は、いずれも、

100年以上の時を経て語り継がれている作品ばかり。

これから始まる秋の夜長、

各原作と向き合い、

固定化したイメージを、1つ1つ覆してみるのも一興です。

                  石川真紀


番組日記 | 2015年9月20日 08:00

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