林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

7月29日(日)鏡を覗いてみると・・・

今週も、

城西国際大学 日本研究センター、

栃尾 有紀(とちお・ゆき)先生の授業でした。

 

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万葉の時代は旧暦ということで、

タイムリーなのが七夕。

正統派のストレートな歌から、

ひねりを効かせた大人の歌まで、

様々な歌が詠まれていたようです。


今週、授業で取り上げた歌・・・

◆天漢(あまのがは) 梶の音聞こゆ 孫星と 織女と 今夕逢ふらしも 

◆赤らひく 色ぐはし児を しば見れば 人妻故に 我恋ひぬべし
 
◆天の川 去年(こぞ)の渡りで うつろへば 川瀬を踏むに 夜そふけにける 

                                                    柿本人麻呂


そして、

栃尾先生がいらっしゃる

城西国際大学 日本研究センターでは、

万葉集に収められている歌を教材に

英語で授業を展開する、

All - English BA Program という取り組みが行われているそう。

日本語を母国語とする学生さんたちのほか、

中国、ハワイ、ノルウェーからの留学生の皆さんも参加して、

お互いの訳、解釈を評し合う、

興味深いプログラムのようです。


その授業で取り上げられた歌、

◆昼は咲き 夜は恋ひ寝る 合歓木の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さへに見よ

                                                           紀女郎

こちらを、ある日本人の女子学生さんは、

 Blooming in the daytime

  Petals come together at night

  It is mimosa

  Shall I see this scene alone?

  Why don't you see it with me?

・・・と英訳されたとのこと。

疑問符を2つ畳み掛けて

相手の気を引くのは、

年齢も時空も超えた、女性同士ならではの意思疎通に思えます。 

 

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「英語で上演される落語を聞くと、

 ( 滑稽噺など ) ポイントがよく理解できる噺もある」と

師匠も仰るように、

外国の言語や文化を鏡にして、

改めて、自国の文化を知ることが出来る面白さがあります。


否定疑問やメタファーを用いることで、

結果、直截的な表現になる妙もまた、

現代人が翻訳することで再認識される古典の魅力です。

                  石川真紀

【 ON AIR MUSIC 】

     Listen to the Music / The Doobie Brothers


番組日記 | 2012年7月29日 08:00

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