林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

7月5日(日)命の歴史

今週は、

城西大学 理学部、

佐野香織(さの・かおり)先生の授業でした。

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進化学・分子生物学の中でも、

魚類の卵膜をご専門とする佐野先生。

稚魚が卵からかえるときに分泌される

卵膜を分解する酵素=孵化酵素について、

研究されています。


脊椎生物すべて、同じ成分からなる卵膜。

ただ、魚類の場合は特殊で、

古来から存在する魚類を含む多くの生物は、

卵巣で卵膜を合成していますが、

進化上、比較的新しい魚類

( '新しい'と言っても、およそ5億年ほど前から現代にかけて ) には、

卵膜を肝臓で合成するものも出現したのだそうです。

肝臓で合成された卵膜は、

卵巣で合成されるものに比して、

受精した際に、より硬化することが可能で、

つまり、

外敵から稚魚を守る確率を高めることができるようになりました。

そして、

卵膜の硬軟に合わせて孵化酵素も進化し、

卵膜を柔らかくしたり、

完全に溶かしてしまうタイプの酵素をもつ

魚類も存在するとのことです。


何億年という単位で脈々と受け継がれる命の歴史―。

数字を目にするだけで気が遠くなりそうですが、

生きものたちは、いつの時代も、

生を逞しく全うする為に人知を超えた進化を重ね、

私たち人類もまた、

着実にその中で生を営んでいることを省みます。

                  石川真紀


番組日記 | 2015年7月 5日 08:00

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