林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

12月11日(日)広大と伍する狭小

今週は、

城西国際大学 国際人文学部 准教授、

孫根 志華(そね・しか)先生の授業でした。

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中国・上海市のご出身で、1988年に来日、

現在は、

中国のマクロ経済を専門に教壇に立っていらっしゃる孫根先生。

2年ぶりのご登場となる今回は、

日本と中国の関係を観光の視点から考える授業を

展開していただきました。

 

中国から国外へ旅行する人の数は、年間およそ1億人。

このうち、日本には、2015年までは、年間およそ500万人が来訪し、

2016年は、600万人を超える見通しとなっています。

つまり、1年間に日本を訪れる外国人観光客、およそ2000万人のうち、

4分の1は中国の方々で、

訪日は2回目、3回目というリピーターが増えているそうです。

2015年の新語・流行語大賞 年間大賞に選ばれた

' 爆買い ' という言葉に象徴されるように、

日本で家電製品などを大量に買う姿が印象的だった中国の方々。

2016年に入ってからは、訪日の動機が、物から事へと移行し、

買い物よりも、

日本でしか体験できないことを好む傾向が高まっているようです。

この行動パターンは、海外旅行の一般的な傾向でもあります。

初めて訪れる時には、いわゆる観光スポットを巡ってみるものの、

回を重ねるごとに、なにげない普段の生活や風景・街並みに親しみを覚え、

何度も訪れることで、

やがて、その土地で暮らす人々の日常への関心が深まっていくもの。

中国の方々にとっても、他の国・地域の方々にとっても、

日本が何度も訪れたくなる場所になれたなら、

それは嬉しいことです。


2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、

日本は訪日外国人の受け入れ態勢拡充を目指し、

ガイドのスキルアップやインフラ整備も進められています。

今日のお話の中で、

例えば、美味しい鰻屋さんの情報がSNSで拡散されたことにより、

地元で愛されてきた小規模なお店に外国人観光客が大挙して押し寄せ、

店主と常連客は、戸惑いや不満を覚えた、というエピソードがありました。

国土が狭く、人口や経済規模が減少傾向にある日本は、

受け入れ態勢の小ささを、どうにか逆手にとり、

弱点から強みへと転換したいところ。

客の流れを分散させたり、

多様な旅行プランを提示・発信したり、

同業他社・他店との連携を強化したり...

大規模な物事に押しつぶされず、

言葉や文化の違いを超えて共に楽しむことができるか否かは、

とどのつまり、

日本人の豊かな知恵と人情による部分が大きい気がしています。

                    石川真紀


番組日記 | 2016年12月11日 08:00

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