林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

10月6日(日)文化の可能性

今週も、

城西国際大学 メディア学部 教授、

掛尾良夫(かけお・よしお)先生の授業。

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今回は、映画産業を通じて見る日本の国際化について、

お話しいただきました。


本題に入る前に触れた、映画館の問題。

シネコン(シネマコンプレックス=複数のスクリーンがある複合映画館)の普及により、

都市部と地方との情報格差がなくなる傾向にある一方、

地元の小規模な映画館の存続が難しく、

また、新しく作ろうとしても、

地元に定着するには時間も相応の費用もかかることを、

近年、痛感させられるそうです。


興行、ヒット、となると、

一部の映画人に受けるだけでは成り立たず、

一般に広く受け入れられることが必須で、

結果的に、

劇映画というもののヒットが、いかに難しいか、

映画業界では、現実を目の当たりにする日々とのこと。

もちろん、これは日本に限った現象ではありません。

裏を返せば、

映画1本を生み出す為にかかる莫大な費用が浮き彫りになります。


そして、今後について。


日本の映画産業は、

' 映画 ' という完成形に加え、

原作、俳優、衣装、美術、技術など、

映画を製作するのに求められる1つ1つの要素に、

誇るべき埋蔵量を抱えています。

掛尾先生曰く、

これからは、そういった埋蔵資源を、

そのままではなく、どう輸出するのか、

日本と相手の国・地域、双方の文化を熟知する人の存在がカギになってくる、

とのことです。


さらに、映画産業を志す学生さんたちには、

焦らず、じっくり取り組むことを、指南していらっしゃいます。

映画を鑑賞するにも、作るにも、それなりの時間がかかるものであることを踏まえ、

総合的な人間力の向上を心がけてほしいと仰います。

他方、

政治・経済・社会を巡る諸問題同様、

映画産業も直面しているのが、国内ルールと国際ルールの違い。

言い換えると、

日本の古き良き伝統 vs 実力主義、とでも表現されるでしょうか。

昔ながらの伝統に沿って経験を積み重ねて来た人材と、

留学経験のある人材とが存在する現代、

映画産業全体の発展・繁栄を考えると、

国際ルールを採用せざるを得ない局面が多い現実を受け入れ、

伝統を重んじながら進化する時代であると、

先生は仰います。


国内外を巡る様々な問題の最中にある私たちは、

文化こそ、諸問題を乗り越える突破口になれる可能性を秘めていることに、

心のどこかで気づいているはずです。

                石川真紀

【 ON AIR MUSIC 】

    
  What a Wonderful World / Louis Armstrong


番組日記 | 2013年10月 6日 08:00

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