林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

10月26日(日)里山='SATOYAMA'

今週は、

城西国際大学 環境社会学部 准教授、

国武陽子(くにたけ・ようこ)先生の授業でした。

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ご専門の生態学のうち、

現在、先生がゼミの学生さんたちと共に取り組んでいらっしゃる

里地・里山保全のご研究について、解説していただきました。


古来、

人が原生自然を切り開き、利用しながら造ってきた環境である、

里地・里山。

奥山の手前、人里に近い山と、森、川、溜池、田畑など、

多様な環境が凝縮し、

環境省が指定する絶滅危惧種のうち、およそ50%が、

里山に生息していると指摘されていて、

その存在に注目が集まる理由が多岐に亘ることを

窺い知ることが出来ます。


人の日常生活において、

薪や炭が化石燃料に取って代わり、

落ち葉を使用して作っていた肥料も、化学肥料へ移行したことで、

次第に、

里山と共生した生き方を手放す人が増加。

すると、里山は、

人が使わなくなることで、元の原生自然へと戻り、

同時に、

希少な生物が棲家を失いかねない状況に陥ってます。


自然との関わり方を学ぶという意味で、

里山は、教育面でも大切な場所。


昨今では、地元の有志の方々による里山保全会が、

関東近郊を中心に活動を展開しているとのことですが、

地元の方々の思いと、行政、

そして、大学などの研究機関が、

どう協力体制を築いていくかが、

目下の課題となっています。


これはきっと、里山単体の課題ではなく、

農林水産業と、その関連産業、

さらには、

地元の方々が、本当は何を望んでいらっしゃるのか、

複合的に絡んだ問題なのでしょう。

国内外を問わず、類似の課題に直面している地域と、

連携、情報交換を重ねながら、

それぞれの土地が本来持つ魅力を持続し、

かつ、

後世に示すことのできる価値を創造していく ― 。

今、里山=SATOYAMAを巡る動きは、

ひとつの大きなモデルケースとして、

あらゆる業種に通底するメッセージを発信しています。

                 石川真紀


番組日記 | 2014年10月26日 08:00

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