林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

8月28日(日)不公平の構図

今週も、

城西大学 経営学部 准教授、

柳下正和(やなぎした・まさかず)先生の授業。

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今回は、

今年の重大ニュースの1つ、パナマ文書とタックスヘイブンを端緒に、

お話しいただきました。


税金ともは、そもそも国作りの源になるもの。

社会保障や公共の財・サービスの財源となるもので、

国民にとって納税は義務である以上、

公平なのが重要。

しかし、

課税対象となる財産をタックスヘイブン ( =租税回避地 ) へ移すことは、

税の減免を目的とする意思の有無を問わず、

基本的には違法とならないのが現状です。

現在、国際社会では、

改善に向けて、国際的な枠組みの構築を模索しようという動きがあるものの、

関わっている国・地域、そして検証すべき事例の数が多いこともあり、

亀の歩みとなっています。


日本では、18歳選挙権の開始と前後して、

主権者教育が進められています。

中でも税に関しては、

ごく基礎的なことを小学校から教えているところも増えていますが、

高校・大学となると、

まとまった授業や講義という形で教育されることは少ないとのこと。

この現実は、ある意味、

経済・資本主義に立つ今の世界の縮図に見えます。


タックスヘイブンを利用する方法の存在は、

それに気づいた一部の人たちが広めた経緯があるはずで、

その人たちは、

全世界の人々が一斉にタックスヘイブンを利用するようになると

世界経済が立ち行かないことも知っています。

他方、日々のお買いものから、株式の取引や金融商品の売買に至るまで、

様々な経済活動も、

情報を知って、行動する人と、静観する人、決断を見送る人など、多様なもの。

つまり、ある程度、基礎的なことを学ぶと、

その先は、個々の生活環境や知的欲求など、それぞれの要因によって、

日々の暮らしや経済活動が組み立てられ、

税への関心の度合いや、納税行動も百人百様になっていくという構図が存在するのです。


税収の部分に、かくも不透明、不公平が蔓延っていることが明るみになった今、

税の使い道を決める予算、

そして、実際にどのように使われたのか確認する決算を、

私たちは、より一層、厳しくチェックし続けていかなくてはなりません。

                    石川真紀


番組日記 | 2016年8月28日 08:00

8月21日(日)'好景気'今昔

今週は、

城西大学 経営学部 准教授、

柳下正和(やなぎした・まさかず)先生の授業でした。

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財政学がご専門の先生に、

今回は、「 税と選挙の関係 」を主なテーマに、お話しいただきました。

 

前回、柳下先生にご登場いただいたのが、おととし2014年4月。

ちょうど、消費税が8%へ増税された頃でした。

あれから年月が流れ、

安部総理大臣が、消費税10%への引き上げについて、再び延期を決め、

選挙権年齢が18歳以上に引き下げられるという、

大きな変化を経ています。


こうした現実を踏まえ、若い世代も、

税金の使い途を決める政治家を見極めることの大切さを知ること、

そして、

若年層が老年世代を支えている社会保障制度の仕組みを理解し、

自分たちがどのように社会と関わっているのか、

主体的に考えなくてはならないと、先生は指摘します。


消費増税が再々延期され、

社会保障の財源をどう確保するのか、国民への影響が懸念されている今、

昨今の社会情勢から、

税収が増えることが見込まれる他の要素についても、

話題が及びました。

例えば、訪日観光客が増えたことに伴う効果。

一時は、中国人観光客による爆買いが社会現象にまでなりましたが、

実際には、免税店での購買活動であり、

中には外国製品を購入する動きが目立つことから、

利益の増加に結びついている産業、業態は、

ごく一部に止まっているという見方も。

また、主な日本企業の場合、

有史以来、輸出によって利益を得る構造の為、

不景気、低成長と言われて久しい中にあっても、

日本経済は世界的に見ても、依然として良い状態を保っているのだそう。


かつて、

高度経済成長やバブル景気と持て囃された時代を経験した日本にとって、

振り幅の大きな動きは、もうたくさんという思いが一般的。

安定的、持続可能な成長を続ける先に、

私たちが景気の良さ・暮らしやすさを実感できる世の中が実現されたらと、

願っています。

                    石川真紀

【 ON AIR MUSIC 】
 
   Only The Lonely / Roy Orbison


番組日記 | 2016年8月21日 08:00

8/21・28(日)ゲストの先生は・・・

城西大学 経営学部

准教授  柳下 正和(やなぎした・まさかず)先生

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財政学がご専門の先生に今回お伺いすることは・・・。

今回もやはり  "税金のあれこれ"

 

●納税した税金のその後の動きを、皆さんはどこまでご存知でしょうか?

●違法ではないけど・・・"タックスヘイブン"による租税回避が私たちの生活に与える影響は何なのでしょうか??

 

先生にしっかりと伺っていきます!!


| 2016年8月16日 17:26

8月14日(日)未知を知る

今週も、

城西大学 理学部 教授、

藤田昌大(ふじた・まさひろ)先生の授業。

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今回は、スポーツと流体力学について、入門のお話を伺いました。

取り上げられたのは、ゴルフや野球といった球技。

プレイヤーの力が加わった時、

ボールが空気を切り裂くように進む様を計算式に表すのが、流体力学とのこと。

スポーツも理論とデータに基づいて発展を目指す時代です。

そして、私たちの暮らしにとって身近なのが、

これまでの授業でもたびたび触れた気象について。

例えば日本の気象・関東地方の気象を予報するには、

地球全体の気象をシミュレーションする必要があり、

広域予報とともに、

狭域・ピンポイントの予報も、精度を上げることが期待されています。


今回の先生のお話の中で、特に胸に刻まれているのが、

' 未知を知るのに数学が役立つ ' というエッセンス。

私たちの日々の営みは、概ね時間軸に沿って進むものですが、

時空を超えて縦横無尽に考察を深めるのが科学・化学の分野であり、

時には時間軸を逆行したり加速度的に答えを導き出そうと挑むのが

数学の分野と言えるのかも知れません。


今この時代にあって信じるべきは、学び、向上することの尊さ。

多様な考察という、

必ずしも目に見えるものばかりではない

張り巡らされた網目の中で暮らすことの奥深さこそ、

人類に与えられた前に進む為の英知の結集なのだと ― 。

                    石川真紀

【 ON AIR MUSIC 】
 
   Nothing From Nothing / Billy Preston


番組日記 | 2016年8月14日 08:00

8月7日(日)人知を超える人知

今週は、

城西大学 理学部 教授、

藤田昌大(ふじた・まさひろ)先生の授業でした。

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今年4月の授業に続き、

先生のご専門である流体力学について、入門のお話を伺いました。

今回のテーマは、「 流れのシミュレーション 」。

水や空気の流れを知る際、

実験できる範囲のものは実験しますが、

量やエリアが大規模だったり、速度が速い場合には、

コンピュータでシミュレーションをするのだそう。

ここで使用する数式は、先達がとおの昔に作ってあったものの、

当時は解くことができず、

スーパーコンピュータの出現により、解けるようになったというのが経緯。

先達が作った数式は、

どんなに優れた数学者であっても、

手では解けないことが、当初から証明されていたそうで、

スパコンが導く近似値をもって解とする。―

気象など、現象そのものが面白いのも然ることながら、

数学をご専門とする先生方にとっては、どうやってその数式を解くかの方が、

より面白い。―

数学はそういう世界だということが、実に興味深いお話でした。


そして、先生方が追究していらっしゃる数式が、

まだまだ不十分なのだというから、さらに驚き。

今はまだ、

ゲリラ豪雨といった局所的な天気の急変を予測することは難しい状況ですが、

スパコンの性能が向上し、

現行の20km四方から、

より狭いエリアを天気予報の初期値として与えることができるようになれば、

ピンポイント予報の精度も上がることが期待されるのだそうです。


自然という人知を超えた対象について、人知を結集して紐解く努力の果てしないこと。

ゴールだと信じていた、その先に、道は続いているものです。

                    石川真紀

【 ON AIR MUSIC 】
 
   A World Without Love ( 愛なき世界 ) / Peter&Gordon


番組日記 | 2016年8月 7日 08:00

8/7・14(日)ゲストの先生は・・・

城西大学 理学部

教授  藤田 昌大(ふじた・まさひろ)先生

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先生のご専門は、流体力学。

私たちの身近には、気体の流れ・液体の流れといった"流れ"が数多く存在します。

その流れの研究が、私たち生活にとても大きな影響を与えていることを皆さんはご存知でしょうか?

例えば、これまでの観測データを基に予測されていた天気予報が、"ある物"の精度が上がっていることで、より予想確率が上がったり・・・・。

"ある物"を使って流れのシュミレーションをすることにより、未来の予測が立てやすくなったようです。

 

さて、それは一体・・・。

 

どうぞ、お楽しみに。

 


| 2016年8月 1日 08:00

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