6月26日(日)発想の種
今週は、
城西大学 薬学部 教授、
真野 博(まの・ひろし)先生の授業でした。
食品機能学がご専門の真野先生に、
今回は、骨と柚子の関係をテーマに、お話しいただきました。
柚子には、
柑橘系の果実の皮や種がたいてい持つ、ノミリンという成分が含まれていて、
そのノミリンが、
私たちの体の骨にとって重要な働きを持つと期待されているのだそうです。
ノミリンには、抗酸化、抗肥満、抗腫瘍、血圧低下など
多様な作用が期待できることがわかっていて、
先生たちは、現在、
骨への作用についても、研究を進めている段階とのことです。
私たちの骨には、もともと、
骨を作る骨芽細胞と、骨を壊す破骨細胞とが共存し、
自分自身で新陳代謝を繰り返しています。
それが、病気や加齢によって、破骨細胞が増え過ぎると、
骨粗鬆症になる可能性が高まるのだそうです。
真野先生たちが研究されているのは、
増え過ぎてしまった破骨細胞を、ノミリンがやっつけてくれる作用。
さらに研究が進められ、その効果が検証されて、実用化されるようになれば、
お痛みや困難から解放される人が増えるかもしれません。
ノミリン以外の栄養成分、
例えば、
イソフラボン ( 大豆 )、ビタミンK ( 納豆 )、
ポリフェノール ( ワイン )なども、
骨粗鬆症の予防や健康の為に、積極的に摂りたいところです。
今回の授業では、
真野先生から、研究室の基本姿勢が垣間見られる場面も。
柚子にとっての皮や種のように、
以前は捨ててしまっていたものから研究対象を探すのが、
伝統的な姿勢なのだとか。
人々の役に立ち、大勢に喜ばれる研究は、
身近な発想の転換から生まれる-
先生たちは日々、それを体現していらっしゃいます。
石川真紀
【 ON AIR MUSIC 】
Rainbow / Meja
番組日記 | 2016年6月26日 08:00
6/26・7/3(日)ゲストの先生は・・・
6月19日(日)ガラパゴス&スタンダード
今週も、
城西大学 現代政策学部 教授、
佐藤純訟(さとう・じゅんしょう)先生の授業。
今回は、折々、話題に上る、株主優待のお話から始まりました。
株主さんたちにとっては、株主優待の内容次第で、
株式を取得・保有する動機になることも少なくありません。
株主優待は、会社法上、規定されているものではなく、
導入していない企業もあります。
つまり、企業にとって、株主優待は財務負担となる為、
イメージアップや資金調達、M&A ( 合併・買収 ) 対策などとして、
優待制度を設けているのだそうです。
他方、配当金は、持ち株数に応じて必ず配当されますが、
優待制度は、〇〇株以上保有している株主が対象と階段式の為、
株主さんたちにとっては、不平等性が問題視されています
そして、株式をめぐる動きで、日本でも大規模に報道されるのが、
M&Aに関するニュース。
株式会社である以上、企業の経営者は本来、株主が選択して決めるものですが、
買収した側が経営権を持つのは、
善なのか、悪なのか、当事者によって世論が分かれるところです。
違法性を問われると、実際、裁判所の判例も、マチマチですし、
買収した側が経営者として優秀な可能性もあるのが現実です。
M&Aという事態になった場合、
当事者である企業や株主さんたちにとっては、少なからず変化が生じ、
先行きが見通せない状況となりますが、
佐藤先生のお話で考えさせられたのが、
「世界的に見て、日本だけで固まっていては、業績が期待できない時代。
少しずつでも慣れていかないと」という、避けられない趨勢。
日本は様々な分野において、孤立を意味するガラパゴス現象を指摘されます。
市場の変化に対応し、成長し続ける企業である為には、
自分たちが持つ特性を活かしながら、
グローバル・スタンダードも視野に入れることが不可欠となります。
時化た大海原に漂う小舟のような不安感は拭えませんが、
先生が仰っていましたように、
「儲けだけを優先するのではなく、
従業員、ユーザー、周囲の方々が共存することで、
企業は存在する」という言葉から、
これからも企業や経済活動の主体が人であることが実感でき、
人間らしい暮らしが社会の基盤であることの重大な意義を再認識しています。
石川真紀
【 ON AIR MUSIC 】
I Like Chopin / Gazebo
番組日記 | 2016年6月19日 08:00
6月12日(日)投資に値する本物を
今週は、
城西大学 現代政策学部 教授、
佐藤純訟(さとう・じゅんしょう)先生の授業でした。
商法がご専門の佐藤先生に、
「高校生でもわかる株式のお話」をテーマに、授業していただきました。
2009年から紙の株券が廃止され、
ペーパーレス化、電子データ登録化がなされました。
その背景には、紙の株式に盗難・紛失のリスクがあり、
取り引きで受け渡しをする際、偽物が横行するなどのデメリットを
解消する目的が。
電子化されて以降は、保有する株式に関して、
各株主のもとへ、メールや郵送で随時、確認情報が送付され、
安全性が確保されたという経緯があるのだそうです。
また、かつての紙時代には、額面株式と無額面株式が存在した株券が、
現在は、無額面株式のみとなっています。
株主が持つ権利には、大きく分けて自益権と共益権があり、
個人投資家にとっての自益権は、
配当請求権、共益権は、株主総会での議決権が主なものとなります。
配当に関しては、
利益がないのに配当することを禁じる、
通称・ ' タコ配当 ' と呼ばれる法整備がなされ、
配当は剰余金を原資にするよう定められています。
投資とは、本来、
長期間を見据えて会社を育てることを最たる目的としてきたはずですが、
近年では、株価が下降すると経営に介入したり、売り抜けたりする、
中・短期で回収を目指す外資系投資ファンドの動向などが顕著になってきています。
株主さんにとっては、今日の内容は、
ごく初歩的な当たり前のお話だったことと思いますが、
投資経験のない私にとっては、新鮮なことばかり。
これから日本の企業や商品・サービスへの投資を検討される外資系のご関係者には、
どうか、対象の質を見極めて、本物を育てていただきたく、
また、自国の商品・サービスを世界に発信する立場の私たちは、
本物を大切にできる多角的な視点を培い続けていたいと、
強く願います。
石川真紀
【 ON AIR MUSIC 】
Jessie's Girl / Rick Springfield
番組日記 | 2016年6月12日 08:00
6/12・19(日)ゲストの先生は・・・
6月5日(日)需要と供給、理想と現実
今週も、
城西国際大学 経営情報学部 准教授、
阿部信太郎(あべ・しんたろう)先生の授業。
今回は、私たちの生活に密接な消費者の権利に関する授業でした。
1995年に、製造物責任法 ( 通称・PL法 )が施行されて以降、
消費者の不注意を避ける為、
メーカー側にとって不利と思われる表示も含めて注意表示が拡充され、
不具合や事故が発生した場合、
検証して改善する体制に移行した経緯があります。
しかし、不具合や事故が全くなくなるわけではなく、
注意表示も、「 全ての方に当てはまるわけではありません 」、などと、
申し訳程度の表示に止まっている場合があり、
私たち消費者が、
商品・サービスを100%安心して使用できる環境には至っていません。
先生も仰っていましたように、
「 消費者も、自分で学習して、賢くなって! 」 という課題は、
どれだけ商品・サービスが向上し、
法整備が改められたとしても、
達成されることはなく、
あるいは、達成されない方が良いのかも知れません。
消費者にとっては、
安心・安全を最優先にしたくても、家計と折り合う線は越えることができず、
供給する側にとっては、
本当に良いモノを追求したいという理想も僅かながら抱きつつ、
今は、とにかく
売れるモノを世に送り出すことが優先されているように思えることも少なくありません。
表示や産地、さらには燃費など、
多種多様な偽装がはびこる現代。
少なくとも私たちの生命や健康に関わる業界の皆さんには、
その重責を自覚していただきたいものです。
石川真紀
番組日記 | 2016年6月 5日 08:00
林家正蔵 プロフィール
本名<海老名泰孝・えびなやすたか>
1962年12月東京根岸生まれ。
1978年4月
高校入学と同時に林家こぶ平として落語協会に所属。
1981年5月
二ッ目昇進。
1987年5月13日
真打試験合格。最年少で13人抜き昇進。
1989年3月18日
浅草芸能大賞 新人賞受賞。
1990年6月
国立花形演芸大賞古典落語金賞受賞。
2005年3月21日
九代 林家正蔵 襲名。
2005年9月
城西国際大学人文学部客員教授就任。
2005年12月
浅草芸能大賞 奨励賞 受賞。
【映画声優出演】
「うしろの正面だあれ」
「平成狸合戦ぽんぽこ」など
【TVドラマ出演】
TVドラマ「天うらら」・「お美也」など
その他、TV番組司会などメディアに多数出演
【著書】
角川書店「お江戸週末散歩」
集英社「落語いってみよう、やってみよう」
岩崎書店「林家正蔵と読む落語の人びと、落語のくらし」など、他多数。
林家正蔵オフィシャルサイト「蔵の塩梅」 http://www.sanpeido.com/shozo/
石川 真紀(いしかわ まき)
文化放送アナウンサー
4月16日生まれ、秋田県出身。早稲田大学卒業、A型。
プロフィールページ http://www.joqr.co.jp/announcer/ishikawa.html
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