2015年1月4日・11日のゲストの先生は・・・
12月28日(日)'招き猫'の教え
今週も、
城西短期大学 ビジネス総合学科 教授、
蓼沼康子(たでぬま・やすこ)先生の授業。
今日はまず、正蔵師匠が、
お父さまである初代・三平師匠から、
ご子息として、そしてお弟子さんとして教わったことを
語ってくださいました。
象徴的なエピソードである ' 招き猫騒動 ' 。
当時、
正蔵師匠が他のお弟子さんと共に
三平師匠のお部屋を掃除していた時のこと。
三平師匠が大切にされていた招き猫の貯金箱を
落として割ってしまいました。
その瞬間、他のお弟子さんたちは全員、逃げてしまい、
割ってしまったことを正直に明かしたのは
正蔵師匠、ただ一人。
それを聞いた三平師匠は、もちろん、叱責することなく、
正蔵師匠の報告を受け止めたそうです。
三平師匠が、お子さんたち、お弟子さんたちに教え、伝えたのは、
礼儀正しくすること、
約束を守ること、
手を抜いたり、人のせいにしたり、ウソをついたりしないこと。
そして、
一生懸命やって、その結果、しくじったり、失敗したりしたとしても、
決して叱ることはなかったそうです。
人が生きる上で基本的なことを重んじ、
しかも、
まっさらな心をもった子どもたちと接する上では、
親の、大人の機嫌でブレることだけは避けて、
なぜ叱られているのか、本人が納得するように、
言葉と包容力をもって上手に伝えることの大切さを、
お伝えになったのでしょう。
加えて、
親同士、大人同士が、お互いを尊敬し合うことで、
子どもたちも、
相手への敬意、思いやりを持てる人になるはずです。
お父さまであり、師匠であった三平師匠の教えは、
今の正蔵師匠とご一緒していて、
しっかりと根差していることを感じます。
今年も、お聞きいただき、ありがとうございました。
皆さん、佳いお年をお迎えになってください。
そして、2015年も、どうぞ宜しくお願いします。
石川真紀
【 ON AIR MUSIC 】
ORINOCO FLOW / Enya
番組日記 | 2014年12月28日 08:00
12月21日(日)豊かな躾
今週は、
城西短期大学 ビジネス総合学科 教授、
蓼沼康子(たでぬま・やすこ)先生の授業でした。
当番組でもおなじみ、蓼沼先生のご専門である
文化人類学、民俗学、社会学の中から、
今回は、伝統的な子育て・躾について解説していただきました。
衣服を縫製する際の ' しつけ糸 ' に由来し、
元々は、型にはめる、とか、動かさない、といった意味を持つ、躾。
Socialization = 社会に合わせるように子どもを育てていた古の時代から、
現在では、時代の変遷と共に子育ても多様化し、
こうすれば良いという画一的な常識が存在しなくなりました。
社会を営む上での規範がなくなったのは、
子育てに限ったことではありません。
正蔵師匠が仰っていたように、
子育ても、日々の暮らしも、迷いながら送るもの、というのは、
いつの時代も変わらない摂理で、
もしかしたら、この先も
劇的な変化なく繰り返されて行くものなのかも知れません。
大切なのは、心。
自由というものは、決して甘えが許容されることではなく、
人様に本質的な迷惑をかけず、
周りに理不尽な依存をせずに生活することが出来て初めて、
成立するもの。
欧米の先進国同様、
自分の権利・考えを主張し、議論することも、
確かに必要ですが、
多様な人たちと共存、共生、共有する為に、
相手の話をしっかりと聞き、
思いやり、
敬意を払い、
力のある人が、その力を弱い立場にある人の為に使う -
人の間で生きる上で必要な、こうした基本的なことは、
子ども時代に、その柔らかな心と周囲の大人がどう向き合ったか、
礎の部分が、どう築かれたかによって、
大きく変わってくるような気がしています。
豊かな心の持ち主は、
周りに豊かな心を増やすことが出来る -
私は、そう思っています。
石川真紀
番組日記 | 2014年12月21日 08:00
12/21・28(日)のゲストの先生は・・・
12月14日(日)感受する心
今週も、
城西国際大学 メディア学部 客員助教、
及川善弘(おいかわ・よしひろ)先生の授業。
及川先生は、ご自身の監督作品が公開されると必ず、
劇場に足を運び、
観客の反応を直に見聞きするとのこと。
昨年、1959年に発生した宮森小学校米軍ジェット機墜落事故を題材にした映画
「 ひまわり ~ 沖縄は忘れない あの日の空を ~ 」が公開された時には、
ご当地である沖縄でのリアルな反応を目の当たりにされたそうです。
映画の魅力について問われた及川先生は、
映画を制作する側の魅力と、
鑑賞する側の魅力を、
それぞれ解説してくださいました。
自分自身の思いをフィルムに刻み込み、
作品を通じて、
制作者と観客の思い、考え方の静かな交信が生み出される醍醐味。
そして、
映画を鑑賞することで、
劇場で自分と他の観客の感性の違いを相対的に意識しつつ、
一生忘れることのない強力な印象が得られる邂逅。
映画の作り手は、大きなスクリーンで鑑賞されることを想定して制作しているので、
ぜひ、劇場のスクリーンで観てほしいと、先生は仰います。
日々の暮らしの中では知りえない事象に歩み寄り、
行ったことのない土地、
出会ったことのない人々、
過去の風景、そこに生きた人々と触れ合うことのできる映画。
アナログからディジタルへ環境の変化が進み、
いわゆるハード面の革新は避けられないのかもしれませんが、
制作する側と鑑賞する側は、
無駄も余白も新しさも懐かしさも総合的に感受し続けていたい、
そうした心の機微を持ち続けていたいと思っています。
石川真紀
番組日記 | 2014年12月14日 08:00
12月7日(日)人間力
今週は、
城西国際大学 メディア学部 客員助教、
及川善弘(おいかわ・よしひろ)先生の授業でした。
1週目の今日は、
先生が日活撮影所へ就職された際にお受けになった
助監督試験の内容や、
撮影現場の慣習などを中心に伺いました。
試験では、一般常識を問うテストの他、
共通したテーマの下、
ドラマのストーリーを
原稿用紙2枚程度で作り上げるものもあったとのこと。
以来、30年以上の歳月を経た今では、
撮影所や映画会社で助監督試験を行う所がなくなり、
つまり、
人材を育成する仕組みがなくなってしまったのだそうです。
労働者側にとっては、
給与を受け取りながら学ぶ時代が終わり、
各々の道やスタイルで学び、技術や能力を会得しつつ自分の立ち位置を模索する、
フリーランス中心、
個が尊重される時代へとシフト。
作品毎に撮影チームの構成=座組を選ぶことが出来る自由度が増した利点もあり、
一方で、
次の作品がいつ制作されるのか、
その座組に入れるのかどうか不安定という見方もあります。
及川先生は現在、
学生さんたちと共に、
映像制作を通じて ' 人間力 ' を高めるべく、
努めていらっしゃいます。
映画を観る側が百人百様に受け止めるのと同じように、
映像を作る側もきっと、
作品を生み出す現場に身を置きながら、1人1人様々な課題に取り組み、
それぞれの思いを託していくことでしょう。
自分の命が終えた後も、作品は幾久しく残り、
出会ったことのない人々との心の交流も無限大に存在する -
作品作りというのは、なんて素晴らしいものなのかと思います。
教え、教えられ、
あるいは、
送り手、受け手といった立場に関わらず、
お互いを高め合うことの出来る力こそ、
まさに文化、まさに人間力です。
石川真紀
番組日記 | 2014年12月 7日 08:00
林家正蔵 プロフィール
本名<海老名泰孝・えびなやすたか>
1962年12月東京根岸生まれ。
1978年4月
高校入学と同時に林家こぶ平として落語協会に所属。
1981年5月
二ッ目昇進。
1987年5月13日
真打試験合格。最年少で13人抜き昇進。
1989年3月18日
浅草芸能大賞 新人賞受賞。
1990年6月
国立花形演芸大賞古典落語金賞受賞。
2005年3月21日
九代 林家正蔵 襲名。
2005年9月
城西国際大学人文学部客員教授就任。
2005年12月
浅草芸能大賞 奨励賞 受賞。
【映画声優出演】
「うしろの正面だあれ」
「平成狸合戦ぽんぽこ」など
【TVドラマ出演】
TVドラマ「天うらら」・「お美也」など
その他、TV番組司会などメディアに多数出演
【著書】
角川書店「お江戸週末散歩」
集英社「落語いってみよう、やってみよう」
岩崎書店「林家正蔵と読む落語の人びと、落語のくらし」など、他多数。
林家正蔵オフィシャルサイト「蔵の塩梅」 http://www.sanpeido.com/shozo/
石川 真紀(いしかわ まき)
文化放送アナウンサー
4月16日生まれ、秋田県出身。早稲田大学卒業、A型。
プロフィールページ http://www.joqr.co.jp/announcer/ishikawa.html
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