7/6・13(日)ゲストの先生は・・・
6月29日(日)懸け橋たる瓦
今週も、
城西大学 経営学部 助教、
石井龍太(いしい・りょうた)先生の授業。
今回は、
先生お手製の琉球王国時代の門の模型にまつわるお話から。
普段は、那覇市立壺屋焼物博物館に置かれている一品ながら、
今回、たまたま修理の為、里帰りしているとのことで、
スタジオにお持ちくださいました。
時は19世紀中頃。
当時、首里城の近くにあった門を35分の1の縮尺で復元した物で、
門を入ると王子(皇太子)の住むお屋敷・
中城御殿(なかぐすくうどぅん)が構えていました。
当時、琉球で使用されていた赤瓦は、
王宮や一部の貴族層の邸宅のみで葺かれていましたが、
中城御殿の瓦は、赤一色ではなく、
濃淡の灰色や、紺色、白っぽい色などが混ざったマーブル調だったことが、
史料から明らかになっているとのこと。
刑事に当たる筑佐事(チクサジ)が書き記し、提出していた報告書も、
歴史的背景を今に伝える貴重な資料となっているのだそうです。
石井先生曰く、
瓦の特徴のひとつは、戦火などで焼失してしまわないかぎり、
1000年以上経過しても、使用できるということ。
沖縄で、今もオリジナルの瓦が残っているのは、
離島の古民家や久米島の廟などのほか、
奈良の大和瓦(飛鳥瓦)も、多く現存しているとのことです。
元々は、
中国から韓半島(朝鮮半島)経由で日本へ伝来した、瓦。
多様な文化を通じて影響を与え合い、
工夫を重ねながら共有し合ってきた悠久の歴史に思いを馳せる時、
国・地域という行政区分を超えて
同じ時代を共に生きることの尊さへと、思いは至ります。
石川真紀
【 ON AIR MUSIC 】
My Life / Billy Joel
番組日記 | 2014年6月29日 08:00
6月22日(日)強さと、儚さと
今週は、
城西大学 経営学部 助教、
石井龍太(いしい・りょうた)先生の授業でした。
先生のご専門は、瓦からみる歴史、主に琉球文化。
関心をもつようになった最初のきっかけは、
意外にも怪獣映画とのことですが、
学生時代にアルバイトで経験された首里城の発掘調査や、
学び舎だった東京大学赤門の丸瓦など、
まさに導かれるようにしてライフワークとの邂逅を果たした、
ドラマティックな半生とお見受けします。
かのモース博士が「屋根を見れば、何者かが分かる」と表現したように、
瓦は元来、
主が経済的に裕福で社会的地位がしっかりしていることを示し、
家紋によって、
使う者のパーソナリティを展示するものでもあったのだそうです。
他方、実力以上に誇示する見栄張りの文化があったり、
身分によって、その使用を制限し、
民衆が憧れるよう演出していた面も存在していたとのことで、
瓦とは、
機能的な強靭さと、形而上の儚さとを併せ持たされた
象徴という気がしてきます。
原型を留めず、破片となってしまった瓦を見ただけで、
どんな焼成方法で作られ、どの地方で使われたのか、
判別することができるという石井先生。
史料を通じて、時空を超えた対話を続ける学問の素晴らしさと無限に、
惹き込まれるひとときです。
石川真紀
番組日記 | 2014年6月22日 08:00
6/22・29(日)のゲストの先生は・・・
6月15日(日)グローバル化を目指す同志
今週も、
城西国際大学 国際人文学部 准教授、
孫根志華(そね・しか)先生の授業。
某遊園地や、キャラクター、なんちゃってブランド品など、
これまで話題になったものを振り返ってみると、
コピー商品の多さが目立つ、中国。
多様な分野で ' マネ ' が先行するのは、
途上国が発展する際、
既存の商品・サービスを模倣することが手っ取り早いからであり、
昨今、
都市部を中心に本物志向が浸透し始めると、
コピー商品そのものも、それらを製造・販売していた企業も、
自然に淘汰されつつあるとのことでした。
オリジナルの文化を発信できるのは、
衣食足りてこそ。
世界の工場として名立たる実績を積んだ中国には、
世界中の知的財産とノウハウが蓄積しているということでもあり、
驚異的なソフトパワーを発揮する時代も、
そう遠くはないはずです。
母国である中国と、
現在、生活していらっしゃる日本、双方への造詣が深い孫根先生の解説は、
これまでの歩みに揺るぎない誇りを抱き、
未来を堅実に見据えていらっしゃる様子が垣間見られるものでした。
言語や文化は異なっても、
少子高齢化、社会福祉、雇用、エネルギーなど、
現在は、同じ時代を共有し、似通った問題に直面する同志。
これからは、世界を構成する国・地域が、
お互いに、不要な争いと浪費を卒業し、
真のグローバル化を実現させていく時代です。
石川真紀
番組日記 | 2014年6月15日 08:00
6月8日(日)世界の工場
今週は、
城西国際大学 国際人文学部 准教授、
孫根志華(そね・しか)先生の授業でした。
先生が、ふるさと中国で大学に入学された1980年当時、
日本が過熱気味に辿っていたバブル経済への道。
同じ時代、改革開放路線を目指し始めた中国は、
やがて、
インフラ整備や高層ビル群、住居群の建設が一気に進み、
帰るべき自宅が
どこにあるか分からなくなってしまう事態さえ引き起こすほどの
発展ぶりだったそうです。
日本と中国で異なる、バブルの定義。
日本では、崩壊=弾けた経験から、悪のイメージが先行しますが、
中国では、小さなバブル=経済過熱現象が連続しているという考え方が、
括目に値します。
一方、世界中の多くの企業が中国で製造するようになった代償として、
公害対策に苦慮している最中なのが現実。
'世界の工場'と一括りにすると、責任が分散しがちですが、
中国進出を果たした各国、各企業は、
環境や雇用の問題と向き合っていなかくてはなりません。
先生がご専門分野に進むきっかけとなったのが、
「文学と経済の発展は、スピードが違う」と気づいたこと。
一般的、普遍的なテーマであっても、
自ら主体的に気づき、取り組むことで、
新たなアプローチに繋がると再認識した授業でした。
石川真紀
【 ON AIR MUSIC 】
Sailing / Rod Stewart
番組日記 | 2014年6月 8日 08:00
6/8・15(日)ゲストの先生は・・・
6月1日(日)宝の価値、再発見
今週も、
城西大学 薬学部 教授、
松本明世(まつもと・あきよ)先生の授業。
今回は、
城西大学連携教育・研究推進プロジェクト
( J-CLIP )の一環として取り組んでいらっしゃる
こま川めしプロジェクトについて、
教えていただきました。
以前この番組で取り上げた坂戸担担麺も、J-CLIPの一環で、
ご当地名産の食材を使ってメニューを開発しながら、
地域社会の健康を目指そうというもの。
ひいては、
世界を意識しながら地域の問題を考え、解決することで、
教育・研究・社会貢献に繋がる力が培われることが期待されます。
こま川めしプロジェクトでは、
埼玉県奥武蔵名産の桂木柚子を使用した
ジャムや、ゆず紅(柚子と狭山茶を使用した紅茶)、
タネまで柚子らん(ペースト)、
Pofa(シフォンケーキ。ポフォとは、ハンガリー語で頬っぺの意)などを試作中。
スタジオで試食させていただきました。
中でも、このプロジェクトを象徴するのが、
柚子を丸ごとペーストにした ' タネまで柚子らん ' 。
柚子は、加工する際に廃棄物として出る種と皮が50%に上り、
生産者を悩ませていたそうですが、
これを逆手にとり、
フラボノイドを含むポリフェノールが豊富な種ごとペーストにして
調理に活用しようという、とてもポジティヴな取り組みです。
スタジオでは、正蔵師匠と私、
ソーダで割って柚子ソーダにしていただきましたが、
松本先生のオススメでは、
ドレッシングや、焼き肉の漬け汁、カクテルなど、
色々な楽しみ方が出来るとのこと。
地元の方々にとっては当たり前のモノでも、
きっと価値の再発見を待っている宝が
全国各地に存在するのでしょうね。
私も、これから、
柚子ペーストの様々な味わい方を試してみたいと思います。
石川真紀
【 ON AIR MUSIC 】
ABC / The Jackson 5
番組日記 | 2014年6月 1日 08:00
林家正蔵 プロフィール
本名<海老名泰孝・えびなやすたか>
1962年12月東京根岸生まれ。
1978年4月
高校入学と同時に林家こぶ平として落語協会に所属。
1981年5月
二ッ目昇進。
1987年5月13日
真打試験合格。最年少で13人抜き昇進。
1989年3月18日
浅草芸能大賞 新人賞受賞。
1990年6月
国立花形演芸大賞古典落語金賞受賞。
2005年3月21日
九代 林家正蔵 襲名。
2005年9月
城西国際大学人文学部客員教授就任。
2005年12月
浅草芸能大賞 奨励賞 受賞。
【映画声優出演】
「うしろの正面だあれ」
「平成狸合戦ぽんぽこ」など
【TVドラマ出演】
TVドラマ「天うらら」・「お美也」など
その他、TV番組司会などメディアに多数出演
【著書】
角川書店「お江戸週末散歩」
集英社「落語いってみよう、やってみよう」
岩崎書店「林家正蔵と読む落語の人びと、落語のくらし」など、他多数。
林家正蔵オフィシャルサイト「蔵の塩梅」 http://www.sanpeido.com/shozo/
石川 真紀(いしかわ まき)
文化放送アナウンサー
4月16日生まれ、秋田県出身。早稲田大学卒業、A型。
プロフィールページ http://www.joqr.co.jp/announcer/ishikawa.html
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