10月27日(日)分からない、ということ
今週は、
城西大学 経済学部 教授、
浦上博逵(うらかみ・ひろみち)先生の授業でした。
経済哲学のお話に登場した、幾つかの用語。
認識論 = 理解するとは、どういうことか
概念 = 理解する為に必要な、入れ物・受容体
概念装置 = 先生と生徒、男性と女性など、対・セットになっている。
行動を決定することになる大切なもの。
これらを駆使して解説してくださった結論が、実に哲学的。
「正しい見方とは何か?」と問われたら、
専門家である先生ご自身も「分からない」のだそうです。
つまり、
考えや行動は、各々、自分自身で選択決定するものであり、
誰かにとっては正しくても、
別の人にとっては、必ずしも正しいとは言えない、ということなのです。
先生がご研究中の経済哲学は、
まだ確立された分野ではなく、
先生ご自身も、手探りで進めていらっしゃるとのこと。
分からなくて迷うこと ― それが、哲学!
ゆえに、
専門外の私たちが分からなくても無理はないはずですが、
確立されるまでの過程を共有できる分野と捉えることもできます。
来週も、その ' 分からなさ ' を、
ご一緒に体感しましょう。
石川真紀
【 ON AIR MUSIC 】
Friends / The Beach Boys
番組日記 | 2013年10月27日 08:00
10/27・11/3(日)のゲストの先生は・・・
10月20日(日)受動から能動へ
今週も、
城西国際大学 国際人文学部 客員教授、
山田真之(やまだ・まさゆき)先生の授業。
今回は、
以前、先生が企業にお勤めでいらした頃に担当された
ロビー活動について、
貴重なご経験談を聞かせていただきました。
山田先生がロビイストの先輩から諭されたと仰る心得は、
「事実を、きちんと伝えること」。
対象となる人物に、嘘や誤った情報を吹き込んだ場合、
2度と会ってくれなくなる、
つまり、
信用を失うことに繋がるそうです。
笑顔や話し方といった雰囲気的・抽象的なことよりも、
根拠を提示して、どんな利益が試算されるか、
実質的・具体的な内容を伝えることが必要なのだと仰います。
どちらかと言うと、
元来、交渉事が不得手な日本人も、
今後、さらに国際化が進むことを想定して、
ロビーイングに学ぶ点が増えてくるかも知れません。
多くの相手との厳しい競争に挑み、勝ち抜く為には、
相応の人脈、知識、情報を基盤とした戦略が不可欠。
時の政府、官僚の決定に従ってきた歴史があり、
市民が自ら権利を勝ち取る仕組みになっていない日本において、
これからは、
自分と周囲を巡る様々な事象と
積極的に関わろうとする姿勢が、
まずは大切です。
石川真紀
【 ON AIR MUSIC 】
Long Train Runnin / The Doobie Brothers
番組日記 | 2013年10月20日 08:00
10月13日(日)ハイブリッドなロビー活動を
今週は、
城西国際大学 国際人文学部 客員教授、
山田 真之(やまだ・まさゆき)先生の授業でした。
先生のご専門は、
以前、企業にお勤めでいらした頃から才覚を発揮して来られた
国際交渉、ロビー活動。
今回は、
日本でもオリンピック招致プレゼンテーションで注目されたロビー活動の
歴史や有効性について、
教えていただきました。
ロビー活動が非常に盛んで権利として認められているアメリカと、
時の政府が為す決定に従うことを伝統的に受け入れてきた日本とでは、
元々、
国の成り立ちや、ロビー活動への動機の強弱など、
相違点が多いことは明らかです。
しかし、
国際化の大波を積極的、能動的に受け入れる過程において、
日本も、
ロビー活動の利点を学び、強かに活用することが、
必要となってきているようです。
至近な実例で顕著なのが、
今般の、東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の言動。
ロビー活動の3つの手法である
①直接ロビーイング
②グラスルート・ロビーイング
③クロス・ロビーイング のうち、
日本が採った方法は、主に①と③でした。
①の直接ロビーイングは、
IOC=国際オリンピック委員会のメンバーに対して、
そして、
③のクロス・ロビーイングは、
2024年夏季オリンピックのパリ開催を目指すフランスと日本が手を組み、
今回、日本にとってライバルだったスペイン・マドリードを
落選へ導いたとされるもの。
山田先生が仰るように、
以前の良からぬイメージは払拭されつつあるロビー活動ですが、
ロビー活動を行う主体にとって利益を確保・増殖するということは、
一方で必ず、
戦いに敗れ、損失を被る他者が存在します。
2020年の東京オリンピック開催決定後、
日本がスペインに対し、
経済協力を強化する意向を示していることからも推察されるように、
何かを勝ち取る場合、
同時に、損失の補填も実践することで、経済を循環させ、
関係各国を
一定の ' Win-Win ' を実感できる結果へと
発展的に牽引することが、
重要になると思うのです。
次世代のロビー活動には、
普遍的な ' 平和 ' が伴うことを、強く願います。
石川真紀
【 ON AIR MUSIC 】
YMCA / Village People
番組日記 | 2013年10月13日 08:00
10/13・20(日)のゲストの先生は・・・
10月6日(日)文化の可能性
今週も、
城西国際大学 メディア学部 教授、
掛尾良夫(かけお・よしお)先生の授業。
今回は、映画産業を通じて見る日本の国際化について、
お話しいただきました。
本題に入る前に触れた、映画館の問題。
シネコン(シネマコンプレックス=複数のスクリーンがある複合映画館)の普及により、
都市部と地方との情報格差がなくなる傾向にある一方、
地元の小規模な映画館の存続が難しく、
また、新しく作ろうとしても、
地元に定着するには時間も相応の費用もかかることを、
近年、痛感させられるそうです。
興行、ヒット、となると、
一部の映画人に受けるだけでは成り立たず、
一般に広く受け入れられることが必須で、
結果的に、
劇映画というもののヒットが、いかに難しいか、
映画業界では、現実を目の当たりにする日々とのこと。
もちろん、これは日本に限った現象ではありません。
裏を返せば、
映画1本を生み出す為にかかる莫大な費用が浮き彫りになります。
そして、今後について。
日本の映画産業は、
' 映画 ' という完成形に加え、
原作、俳優、衣装、美術、技術など、
映画を製作するのに求められる1つ1つの要素に、
誇るべき埋蔵量を抱えています。
掛尾先生曰く、
これからは、そういった埋蔵資源を、
そのままではなく、どう輸出するのか、
日本と相手の国・地域、双方の文化を熟知する人の存在がカギになってくる、
とのことです。
さらに、映画産業を志す学生さんたちには、
焦らず、じっくり取り組むことを、指南していらっしゃいます。
映画を鑑賞するにも、作るにも、それなりの時間がかかるものであることを踏まえ、
総合的な人間力の向上を心がけてほしいと仰います。
他方、
政治・経済・社会を巡る諸問題同様、
映画産業も直面しているのが、国内ルールと国際ルールの違い。
言い換えると、
日本の古き良き伝統 vs 実力主義、とでも表現されるでしょうか。
昔ながらの伝統に沿って経験を積み重ねて来た人材と、
留学経験のある人材とが存在する現代、
映画産業全体の発展・繁栄を考えると、
国際ルールを採用せざるを得ない局面が多い現実を受け入れ、
伝統を重んじながら進化する時代であると、
先生は仰います。
国内外を巡る様々な問題の最中にある私たちは、
文化こそ、諸問題を乗り越える突破口になれる可能性を秘めていることに、
心のどこかで気づいているはずです。
石川真紀
【 ON AIR MUSIC 】
What a Wonderful World / Louis Armstrong
番組日記 | 2013年10月 6日 08:00
林家正蔵 プロフィール
本名<海老名泰孝・えびなやすたか>
1962年12月東京根岸生まれ。
1978年4月
高校入学と同時に林家こぶ平として落語協会に所属。
1981年5月
二ッ目昇進。
1987年5月13日
真打試験合格。最年少で13人抜き昇進。
1989年3月18日
浅草芸能大賞 新人賞受賞。
1990年6月
国立花形演芸大賞古典落語金賞受賞。
2005年3月21日
九代 林家正蔵 襲名。
2005年9月
城西国際大学人文学部客員教授就任。
2005年12月
浅草芸能大賞 奨励賞 受賞。
【映画声優出演】
「うしろの正面だあれ」
「平成狸合戦ぽんぽこ」など
【TVドラマ出演】
TVドラマ「天うらら」・「お美也」など
その他、TV番組司会などメディアに多数出演
【著書】
角川書店「お江戸週末散歩」
集英社「落語いってみよう、やってみよう」
岩崎書店「林家正蔵と読む落語の人びと、落語のくらし」など、他多数。
林家正蔵オフィシャルサイト「蔵の塩梅」 http://www.sanpeido.com/shozo/
石川 真紀(いしかわ まき)
文化放送アナウンサー
4月16日生まれ、秋田県出身。早稲田大学卒業、A型。
プロフィールページ http://www.joqr.co.jp/announcer/ishikawa.html
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