『当時、8歳の少女が見た東京大空襲を一冊の絵本に!』
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2019年3月27日(水) デイリー「ホッと」トピックス
『当時、8歳の少女が見た東京大空襲を一冊の絵本に!』
よそ10万人が犠牲となり、首都・東京が焼け野原となった、
1945年3月10日の「東京大空襲」。
その悲惨な記憶を忘れることなく、次の世代に語り継いでいこうと、
東京・国分寺市にお住まいの女性が、実際に東京大空襲を体験された方の
お話をもとに絵本を製作。先日、その絵本が出版されました。
絵本のタイトルは『またあしたあそぼうね』。
作者は学校司書をされている山下ますみさん(59)。
お母様が北九州市で空襲を体験し、お父様は元特攻隊員という山下さんは、
平和教育の一環として小学校の図書館で、戦争関連の絵本を子どもたちに読み聞かせてきました。
あるとき、特攻隊員たちを描いた絵本を読んだ際、特攻隊員だった父親から聞いた話を紹介すると、
子どもたちの目がいつもより真剣になったことから、実体験を伝える大切さに気がついたといいます。
そんな中、東京大空襲を体験された二瓶治代(にへい・はるよ)さん(82)に
出会い、当時の話を聞く機会に恵まれました。
東京大空襲で特に火の激しかった江東区・亀戸付近に住んでいた二瓶さんは、
一時は家族と離れ離れになりながらも、多くの死体の中に埋もれて助かりました。
しかし、空襲の前の日の夕方、一緒に遊んだ後に友達と交わした
「また、あしたあそぼうね」という約束は、果たされることのないままに......。
二瓶さんは、その"最後の約束"を今も忘れられないという。
そして、その言葉が、今回の絵本のタイトルにも使われています。
二瓶さんから体験談を聞いた山下さんは、「絵本にすれば小さい子たちも
手に取りやすく、想像しやすい」と考え、さっそく執筆に取り掛かりました。
イラストは知人だった国分寺市の絵本作家・ささきみおさんに依頼。
家並みなどは二瓶さんの話をもとに忠実に再現したということです。
雨のように降り続ける焼夷(しょうい)弾、黒こげになった人の山......。
優しくも迫力のある絵で描かれているのは1945年の3月10日、当時8歳の少女だった
二瓶治代さんが見た光景そのもの。
ちなみに、当初は焼夷弾の音を「ヒューヒュー」と表現したところ、「実際は
ヒュルヒュルだった」という二瓶さんからの指摘を受けて変更したのだとか。
完成した絵本をご覧になった二瓶さんは、あの日"最後の約束"を交わした
友達のことが、絵本として残ったことに、たいへん喜ばれていたそうです。
こちらの絵本『またあしたあそぼうね』は、新日本出版から1400円+税で
発売中。大手書店のほか、江東区にある東京大空襲・戦災資料センターでも購入できます。