文化放送

水谷加奈のエンタの女王

映画、芝居、コンサート、歌舞伎、ミュージカルから、落語に文楽、能や狂言、そして、美術館、写真展、遊園地!?に至るまで。とにかくこの世は楽しいことがいっぱい!なのだ。エンタの女王、水谷発信の情報で、あなたも毎日エンジョイ!

Jun10

クロエ

クロエ何不自由ない理想的な家庭を
築いているように見えるキャサリン。
しかしその裏には、
すれ違う夫婦関係、親離れしていく息子、
このまま自分は老いていくのかという恐怖......、
妻として母として女としての孤独感、
そして言いようのない焦燥感があった。
ある日キャサリンは、夫の浮気を疑い始め、
たまたま出遭った若く美しい娼婦クロエに、
「夫を誘惑して、その心を試して」
とお願いする。
そこから複雑にこじれていく、
キャサリンと夫の関係、そして、
クロエとキャサリンの関係。

キャサリンにジュリアン・ムーア。
クロエに新星・アマンダ・セイフライド。
この2人の女優がメチャメチャうまい。
キャサリンがなぜここまで不安感や不信感を
抱えるのか、もうワンエピソードないと普通は
伝わらないのだが、
そこはムーアの達者な演技力で見事にカバー。
そして同じように、
クロエの魂がなぜ若くしてここまで歪んでいるのか、
そのあたりもセイフライドの瑞々しい演技力でカバー。
特にセイフライドの嫉妬の目は実に怖い!
いつか『危険な情事』的な作品に出てほしい!

老いを感じる手と、白くたおやかな手。
ソバカスだらけの腕と、水をはじくような腕。
年老いてゆく女と、果実のように若々しい女が
いかに対照的かがうまく描かれている。
カナダ・トロントという
独特な空気とざらつきを感じさせる町並みが
舞台であることも面白い。


『クロエ』 上映中

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