文化放送

水谷加奈のエンタの女王

映画、芝居、コンサート、歌舞伎、ミュージカルから、落語に文楽、能や狂言、そして、美術館、写真展、遊園地!?に至るまで。とにかくこの世は楽しいことがいっぱい!なのだ。エンタの女王、水谷発信の情報で、あなたも毎日エンジョイ!

Jun24

マイティ・ソー

マイティ・ソー神の世界で最強の戦士だったソーは、あまりに強すぎて
その傲慢さから父の怒りを買うことになった。
地球へと追放されるソー。
しかし、慣れない人間生活を送ることにより、
人の痛みや弱さを知り、愛を知り、
ホンモノのヒーローになっていく。

ソーにはクリスヘムズワース。
これが胸板が厚く、超カッコいいんだが、
どこかキュート。チャーミングなんだな。
そしてソーと恋に落ちる天文学者ジェーンに
ナタリーポートマン。
いまや、どんな役を演じても美しすぎる女優。

我々が今生きている地球以外に、
宇宙にはソーが生きているような
神話の星もあるのかもしれないと思うと
夢が広がる。
ソーとジェーンが恋に落ちるシチュエーションにも
ときめく。
ラストで地球を俯瞰しながら
またいつかジェーンに会えると
確信する表情のソー。
そして宇宙のどこかにいるソーを
必ず探し出してみせるわと
希望の笑顔を見せるジェーン。

もちろん続編あり。
次の展開が楽しみだね。

ヒーローであり、真のリーダーである者は
どうあるべきか。
日本のリーダーにも見てほしい映画だよね。

『マイティ・ソー』
   7月2日から公開

Jun17

わかりやすい舞台、こむずかしい舞台

赤坂アクトシアターにて先週まで上演されていたこんにちは赤ちゃん
『こんにちは赤ちゃん』は、
伊東四朗一座・熱海五郎一座合同公演。
三宅裕司生誕60周年記念の公演でもあった。
伊東さん、三宅さん、小倉久寛さんはあいかわらず。
コント赤信号の息の合ったギャグは懐かしく、
春風亭昇太さんのボケも健在。
そしてなんといってもラストの
真矢みきさんのソロステージがカッコよかった。
伊東さんのお芝居はいつもわかりやすい。
老若男女、安心して楽しめる内容だ。
伊東さんはいつもおっしゃっている。
「とにかく誰でもわかる芝居を作りたい。
 見終わったらすぐに内容を忘れてしまうくらい
 くだらないものがいい」
と。

"わかりやすい"芝居もあれば、
"わかりにくい"芝居もある。
わかりにくい...、わからない...、難解...、
理解不能...、それでもなぜか笑ってしまうという
不条理ものならいいのだが、
ホントに理解できない難しい芝居だと、
見終わった後に
うーーーむ。Ghosts
と唸るのみ。

パルコ劇場にて上演中、佐々木蔵之介主演の
『Ghosts 』。
原作がアメリカなので、余計こむずかしいのかな。
私立探偵の男が、ある紳士を見張りながら、
自己とは何か、他者とは何か、
自分の人生の深いところと向き合っていく、
というストーリー。
とにかく内容が哲学的でわかりにくい。

わっはっはと笑ったあとはすぐ忘れられる
スッキリ系の舞台もあれば、
むむむむー?と考え込みながら見て、
しばらくへんな後味が残ってしまう
難解系舞台もあれば。

だから芝居は面白い。

『Ghosts  幽霊たち』
   パルコ劇場にて
   7月3日まで

Jun10

クロエ

クロエ何不自由ない理想的な家庭を
築いているように見えるキャサリン。
しかしその裏には、
すれ違う夫婦関係、親離れしていく息子、
このまま自分は老いていくのかという恐怖......、
妻として母として女としての孤独感、
そして言いようのない焦燥感があった。
ある日キャサリンは、夫の浮気を疑い始め、
たまたま出遭った若く美しい娼婦クロエに、
「夫を誘惑して、その心を試して」
とお願いする。
そこから複雑にこじれていく、
キャサリンと夫の関係、そして、
クロエとキャサリンの関係。

キャサリンにジュリアン・ムーア。
クロエに新星・アマンダ・セイフライド。
この2人の女優がメチャメチャうまい。
キャサリンがなぜここまで不安感や不信感を
抱えるのか、もうワンエピソードないと普通は
伝わらないのだが、
そこはムーアの達者な演技力で見事にカバー。
そして同じように、
クロエの魂がなぜ若くしてここまで歪んでいるのか、
そのあたりもセイフライドの瑞々しい演技力でカバー。
特にセイフライドの嫉妬の目は実に怖い!
いつか『危険な情事』的な作品に出てほしい!

老いを感じる手と、白くたおやかな手。
ソバカスだらけの腕と、水をはじくような腕。
年老いてゆく女と、果実のように若々しい女が
いかに対照的かがうまく描かれている。
カナダ・トロントという
独特な空気とざらつきを感じさせる町並みが
舞台であることも面白い。


『クロエ』 上映中

Jun03

稲垣吾郎主演の『ぼっちゃま』

ぼっちゃまパルコ劇場は今週末まで稲垣吾郎主演の『ぼっちゃま』。
いやああ面白い!
笑った笑った。そしてラストはちょびっと泣ける。
すばらしい舞台だった。

舞台は終戦後の昭和25年。
とある旧家の長男である"ぼっちゃま"にゴロちゃん。
その良き理解者である"ばあや"に白石加代子。
そこにやってくるぼっちゃまの姉に妹、そのツレアイ、
そして弟、近所の骨董屋、八百屋、愛人。
皆を巻き込んで繰り広げられるチャーミングな
ストーリー。

女好きでフラフラしていて、でも憎めないキャラの
ぼっちゃまをゴロちゃんが好演。
もちろん白石加代子節も炸裂。爆裂。
脇を固める役者陣もすばらしく。
落語家の柳家喬太郎もお見事。
そして隣の家に住んでいるという設定の
ピアノ弾きの佐山雅弘も絶妙なテンポ感!
作、演出、音楽、役者、もう全てが100点満点の
舞台だった。

「どんなにつらいことがあっても
 生きていかなくてはいけないのです」

「人は悲しみも絶望も、全てを受け入れられる
 広い心を持っている」

など、今の日本のこの状況で聞くと、
ぐっとくるセリフが心に残る。

ちなみにゴロちゃん効果か、劇場は9割がた女性客!

『ぼっちゃま』
   パルコ劇場 6月5日まで

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