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水谷加奈のエンタの女王

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Jun25

父と息子

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がーん。やられた。って感じの1本だった。
『ザ・ロード』
文明を失ってから10年以上経つ世界。
環境破壊だったのか、核だったのか、
津波や地震だったのか、
理由は定かではない。
ただ、太陽は見えず、寒冷化が進み、
人間も動物も植物も死滅した世界が
広がっているだけの地球。
わずかに生き残った人間は、
食べ物をさがしてあてもなく旅を続ける。
待ち受けるのは、殺人者と化した武装グループ。
かれらにつかまったら最後、
殺され食われてしまうのだ。
餓死する人間、自殺する人間、
理性を失った人間、
その中で必死に生き抜こうとする父と息子。
つまりこの映画、設定ははSFなのだが、
話の流れはサスペンスフルで、
しかも描いているのは父と息子の
強い愛情なのだ。
通りすがりの老人に自分達の食べ物を
分けてあげようと言う息子。
いや、ダメだ、俺達だって生きるのに
ぎりぎりの食糧しかないんだと
語気を荒げる父。
息子は父親から生きるための術を教わるが、
実は父も息子から人としてどうあるべきかを
教わっているのだ。
とにかく息子役の男の子がうまい。うますぎる。
彼が、
「パパ」
と呼びかける姿が実にリアルで、
息子を持つ私は妙に感情移入してしまった。
これ、母と息子だったら又違うストーリーに
なっていたんだろうな。
父と息子だから、あまりに切ないラストなんだと思う。

 『ザ・ロード』
   6月26日より

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