『音楽マスターピース』では、音楽ライターで翻訳家の
五十嵐正さんに出演していただきました。
今回は、『新世代ブルーズ』というテーマでお話し頂きました。
五十嵐正さんによりますと「ブルーズという音楽は、元々は20世紀の初めに
アメリカの南部の黒人社会の中で生まれた音楽で、それが40年代に仕事を
求めて移住した多くの黒人と共にシカゴなどの北部の都市に伝えられ、そこで
エレクトリック・ギターなどの電気楽器を使ってバンドで演奏されるものになった。
当初は、黒人社会の中で黒人聴衆に演奏されるものだったが、マディ・ウォータ
ーズやハウリン・ウルフなどのレコードに魅せられたミック・ジャガーやクラプトンの
ような白人の若者もそれを真似て演奏するようになり、そのスタイルがストーンズ
などのロック・バンドの原型となった。近年アメリカでは、ブルーズが国の重要な
文化であるという認識が高まり、03年には議会がブルーズという音楽が生まれて
100年だとして「ブルーズの年」を宣言して、記念のコンサートが行われたり、
マーティン・スコセッシ監督が総指揮をとったブルースに関する映画が作られたり
した。また、今年2月にもホワイトハウスにB・B・キングからミック・ジャガーまでの
豪華な顔ぶれが招かれブルーズのコンサートが行われ、そのコンサートの最後に
バディ・ガイに促され、ミックからマイクを渡されたバマ大統領が「スウィート・ホーム
・シカゴ」の一節を歌った場面は大きな話題を呼んだ。ちなみに、オバマ大統領の
地元シカゴは"ブルーズの街"として知られている」ということでした。
そんな歴史を持つ「ブルーズ」の中から、今回は80年代半ばに登場し、ブルーズ界に
新世代の登場を告げたアーティストである「ロバート・クレイ」のほか、シカゴ生まれで
コロラド州デンヴァーを拠点に活動しており、アメリカだけでなくヨーロッパでもファンを
獲得しているブルーズマン「オーティス・テイラー」、先週のビルボードの全米アルバム
・チャートで、デビュー・アルバム「ブラック&ブルー」が第6位で初登場と、ブルーズ・
アーティストとしては異例の売り上げを示している話題の新人で、エリック・クラプトン、
アリシア・キーズから、デイヴィッド・リンチ監督までが絶賛しているという現在28歳の
ギタリスト「ゲイリー・クラーク・ジュニア」の楽曲を紹介して頂きました。
今日、ご紹介いただいた音楽は・・・
1.ウォント・ビー・カミング・ホーム / ロバート・クレイ・バンド
2.ユア・テン・ダラー・ビル / オーティス・テイラー
3.ホエン・マイ・トレイン・プルズ・イン / ゲイリー・クラーク・ジュニア
以上の3曲でした。