『音楽マスターピース』では、音楽ライターで翻訳家の
五十嵐正さんに出演していただきました。
今回は、『ゲール語の音楽 新潮流』というテーマで、アイルランドやスコットランドの
一部に残る「ゲール語」で歌われた音楽についてお話しいただきました。
五十嵐正さんによりますと、「いわゆるケルティック・ミュージックは、日本でもかなり
聞かれるようになった。この番組にも去年、アイルランドを代表する「チーフタンズ」の
リーダー、パディ・モローニが出演している。ちなみに、ゲール語は元々アイルランドで
ずっと昔から話されている言語で、それがスコットランドなどにも伝わった。 実は、
アイルランドでは今も第一公用語で、学校でも義務教育で勉強するが、一部地域を
除くと、日常的にはみんな英語を話す。これは何世紀もの英国支配の影響である。
1922年の独立後、ゲール語復興に国を挙げて努力したが、逆に発展の遅れを取り
戻すために産業や貿易振興に実用的な英語が選ばれてきたのが現実。 ところが、
この20年くらいで、言葉だけでなくケルティックなルーツへの関心が高まり、ゲール語
の教育や普及に再び力が注がれている。今ではEUの公用語のひとつにもなっている。
アイルランドでゲール語は義務教育であり、公務員試験などでは必修科目でもあるが、
流暢に話せるという人は10%もいなくて、日常的に使っている人は3~4%にすぎない。
でも、"ゲール語だけで授業する中学校が他の学校よりも平均的に成績が良い"という
結果が出ているので、そっちに進学さえる親が増えている。そういった学校に通う今どき
の子供はゲール語に今風なラップ的な喋り方とか、流行の言葉とかを混ぜた自分たちの
話し方を作り出しているらしい」ということでした。
そんな「ケルティック・ミュージック」のアーティストの中から今回は、上記のような伝統
文化の残るスコットランドのヘヴリディーズ諸島南ユーイスト島出身で、昨年末に発表
されたスコットランドの伝統音楽のグラミー的なトラッド・ミュージック・アウォーズで見事、
年間最優秀アルバムに輝いた「キャスリーン・マッキネス」の他、北ユーイスト島出身で、
去年、邦題が『メリダとおそろしの森』で公開されたディズニー/ピクサ−のアニメ映画で、
大抜擢されて主題歌2曲を歌った「ジュリー・ファウリス」、スコットランドの首都で都会の
グラスゴウ育ちで、自分で興味を持ってゲール語を勉強して歌手になったという「メイヴ・
マッケノン」、アイルランド西部のゲール語圏ゲールタハト出身で、人気グループ「ダヌー」
の歌手兼フルート奏者でもある「ムウィリン・ニ・アウリーヴ」という4人の女性歌手の楽曲を
紹介してくださいました。
今日、ご紹介いただいた音楽は・・・
1.Teanga Binn mo Mhathair (Sweet Mother Tongue) / Kathleen MacInes
2.Blackbird / Julie Fowlis
3.Fionnghuala / Maeve Mackinnon
4.An Clar Bog Deil / Muireann Nic Amhlaoibh
以上の4曲でした。