終わりよければ・・・(放送終了)

『ジャズで聴くディズニー』

『音楽マスターピース』では、ジャズ評論家の青木和富さんに

出演していただきました。

 

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毎回、何らかのテーマに沿ってジャズの名盤をご紹介頂いている青木和富さんに、

今回は『ジャズで聴くディズニー』というテーマでお話し頂きました。

 

最初にご紹介頂いたのは、ミッキーマウスの短編映画シリーズとして最初に公開

された作品『蒸気船ウィリー』のサントラより「わらの中の七面鳥」。トーキーアニメ

ーション(音声つきのアニメーション)作品としては、世界でも最も初期の作品の一つ

である『蒸気船ウィリー』の価値は、サウンドトラック方式を採用し、映像と音楽を 

完全にシンクロさせたというところにあるという評価もあるのだとか。また、劇中に

ユーモアがあふれながらもリズミカルに流れる「わらの中の七面鳥」(オクラホマ

ミキサーの曲)がとても印象的で、その中でミッキーがフライパンやせんたく板、

たらいなどを楽器にしてリズミカルに演奏をするが、それがエスカレートしてネコの

シッポをひっぱったり、ブタ(授乳中)の母乳をつついたりしてうなり声をださせたり、

牛の口の中にある歯を木琴にして鳴らしたりして動物を楽器にするという(最後の

オチからしても)ブラックで一部残酷ながらも奇抜で面白みがある作品だそうです。

 

続いてご紹介頂いたのは、1940年代から1960年代にかけてアメリカ西海岸を

中心に一世を風靡し、全員が本職は「ウォルト・ディズニー・スタジオ」の有名プロ

アニメーターたちで編成されていたという伝説のDIXIEBAND「ファイアーハウス・

ファイブ・プラス・トゥ」の「ファイアーハウス・ストンプ」。この「ファイアーハウス(消防

5人組+2)」のメンバーには「白雪姫」をはじめ、「ピーターパン」、「ダンボ」、「101」

・・・などの製作で有名な「故ウォード・キンボール(tb)」や「故フランク・トーマス(pf)」、

「故ジョージ・ブランズ(tuba)」らが参加していたが、今でも元気で音楽活動を続けて

いるのは「ジョージ・プロバート(soprano sax)」氏唯一人なのだとか。

 

次にご紹介頂いたのは、「シンデレラ」のサントラから、アメリカの女性声優で歌手、

画家としても活躍し、アニメーション映画『シンデレラ』の主人公シンデレラ役の声優

としても知られているアイリーン・ウッズの「夢はひそかに」。アイリーン・ウッズは、

幼い頃から演技を学び、1944年の夏にラジオ放送の冠番組「Ilene Woods Show」 

でデビューした後、カリフォルニア州に活動の拠点を移します。 そして、1948年に

友人のマック・デイヴィッドとジェリー・リヴィングストンが『シンデレラ』劇中歌の作詞を

担当し、ウッズはデイヴィッドらが作詞した「夢はひそかに」や「ビビディ・バビディ・ブー」

のデモテープの収録を任されました。 そのデモテープを聞いたディズニーがウッズの

歌声を大変気に入り、ほかに300人以上ものオーディション参加者がいたにも関わらず、

ディズニーがデモテープを聞いたわずか2日後に、本編のシンデレラ役に抜擢された

そうです。

 

そして、最後にご紹介頂いたのは、映画「白雪姫」からマイルス・デイヴィスの演奏する

 「いつか王子様が」。『Someday My Prince Will Come』が原題のこの曲は、ベースの

同音連打が印象的なイントロで始まり、マイルスのミュート・トランペットが、まるで声で

歌うように可憐なメロディーを奏でています。 また、ピアノのウィントン・ケリーもテナー・

サックスのハンク・モブレーもそのムードをうまく引き継ぎ、肩の凝らない演奏となっている

と思いきや、最後に存在感あり過ぎのテナー・サックスがソロをとっています。この二人目

のテナー・サックスは既にマイルスのグループを離れていたジョン・コルトレーンですが、

ちょうど録音スタジオ近くのアポロ劇場に出演中で、そのセットの合間にスタジオに来て

飛び入り参加したのだとか。 また、アルバム・ジャケットに写っている美女は、当時の

マイルス夫人で大人気のダンサーだったフランシス・テイラーで、収録曲の中には彼女の

ために書いたという「プフランシング」まであるそうです。

 

今日、ご紹介いただいた音楽は・・・

1.わらの中の七面鳥 / 「蒸気船ウィリー」のサントラより

2.ファイアーハウス・ストンプ / ファイアーハウス・ファイブ・プラス・トゥ

3.夢はひそかに / アイリーン・ウッズ

4.いつか王子様が / マイルス・デイヴィス

以上の4曲でした。