終わりよければ・・・(放送終了)

『映画とジャズ』

『音楽マスターピース』では、ジャズ評論家の青木和富さんに

出演していただきました。

 

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毎回、何らかのテーマに沿ってジャズの名盤をご紹介頂いている青木和富さんに、

今回は『映画とジャズ』というテーマでお話し頂きました。

 

最初にご紹介頂いたのは、第二次世界大戦にアメリカが参戦した1942年に

製作が開始され、同年の11月26日に公開された、親ドイツのヴィシー政権の

支配下にあったフランス領モロッコのカサブランカを舞台にしたラブロマンス映画

「カサブランカ」のテーマ『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』。この曲は、音楽を担当した

マックス・スタイナーの作曲ではなく、ハーマン・フップフェルドがステージショーの

ために、1931年に作詞・作曲した古い流行歌を取り上げたもので、映画内では

ドーリー・ウィルソンによって歌われており、印象的なシーンで効果的に使われて

いるそうです。

 

続いてご紹介頂いたのは、"サウンドトラックの金字塔"とも言える、マイルス・

デイヴィスの『死刑台のエレベータ』。1957年制作のフランス映画『死刑台の

エレベーター』は、主人公のモーリス・ロネとジャンヌ・モローが不倫関係の末、

殺人を犯すという、いわゆるサスペンス映画であり、この哀しくせつない、彼の

サウンドを聴くと、無性にジャンヌ・モローのあの街をひとり彷徨う様に歩く姿が

浮かんで来る、まさに音楽と映画がひとつになった傑作だそうです。ちなみに、

事前に映画に目を通していたマイルス・デイヴィスは、あらかじめいくつかの

メロディの断片を用意し、本番ではラッシュ・フィルムを観ながら即興で音楽を

完成させていったため、映画のサウンドトラックとはいえ、その演奏はジャズ

そのものということです。

 

次にご紹介頂いたのは、帝王マイルス・デイヴィスのグループから独立した

ジョン・コルトレーンが、彼にとっての最良のメンバーとカルテットを結成して

録音に臨んだという『マイ・フェイバリット・シングス』。リチャード・ロジャースと

オスカー・ハマースタイン2世のミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の

挿入歌として使われているが、録音された時点では、名作といわれたこの

「映画」はまだ封切られていないそうです。 舞台での人気曲ではあっても、

この演奏がファンに支持された理由としては、3拍子によるジャズの心地よさ、

それを叩くドラマーのダイナミックさ、そして何よりもコルトレーンの吹くソプラノ・

サックスがこのメロディに非常によくなじんだからと言われているそうです。

 

そして、最後にご紹介頂いたのは、映画「バグダッド・カフェ」の挿入歌である

ボブ・テルソンの『コーリング・ユー』。ジャズ、ラテン、ゴスペルなど、多様な

要素を混ぜ合わせた独特の無国籍サウンドが聴き手を酔わせるそうです。

 

 

今日、ご紹介いただいた音楽は・・・

1.アズ・タイム・ゴーズ・バイ / トニー・ベネット

2.死刑台のエレベータ / マイルス・デイヴィス

3.マイ・フェイバリット・シングス / ジョン・コルトレーン

4.コーリング・ユー / ボブ・テルソン

以上の4曲でした。