『音楽マスターピース』では、音楽ライターで翻訳家の
五十嵐正さんに出演していただきました。
今回は、『最近、注目の女性歌手3人』ということで、五十嵐さんが最近購入され、
ご自宅の机の上に積まれたCDの山の中から、個性的な3人の女性シンガー・
ソングライターのアルバムを3枚お持ち頂きました。
まず、ご紹介いただいたのは、1980~90年代に活躍し、2005年に亡くなった
テキサス出身の個性的な白人ブルーズマン、クリス・ウィットリーの娘さんであり、
現在25歳の「トリクシー・ウィットリー」のソロ・デビュー・アルバム「Fourth Corner」。
主に母親の出身地であるベルギーで育ち、なんと11歳から人前でパフォーマンス
してきた彼女は、プロデューサーだったダニエル・ラノワ(U2、ディラン)とベルギーの
ロック・フェスティバルで再会した際、自分の音楽のCDを渡しました。すると、その
CDを聴いてびっくりしたダニエルは、彼女をアメリカに呼んで一緒に活動開始する
ことになり、それが「ブラック・ダブ」というバンドになりました。そして、2010年に
アルバムを出しましたが、発売直後に契約したレーベルがなくなるなどがあって、
活動休止となり、2011~12年は積極的にソロ活動を行なうことになりました。
そんな中、先月待望のソロ・デビュー・アルバム「Fourth Corner」を発表しました。
ちなみに、彼女は歌以外にもギターとドラムズを演奏するので、プロデューサーの
キーボード奏者、ダヴマンことトーマス・バートレットと2人でほとんどの楽器をこなす
そうです。
続いてご紹介いただいたのは、ナッシュヴィルを拠点として活動している女性シンガー
・ソングライター「ブルック・ワゴナー」が先日リリースした、通算3作目となるニュー・
アルバム「Originator」。昨年ジャック・ホワイト(元ホワイト・ストライプス)が結成した
女性ばかりのバック・バンド「ピーコックス」に参加したことで、さらに注目されるように
なった彼女は、先日のグラミー賞授賞式のジャックのパフォーマンスにも参加していた
そうです。また、彼女は17年間クラシックの教育を受け、2006年にルイジアナ州立
大学で作曲とオーケストレイションの学位をとって卒業したというキャリアを持っており、
ピアノを弾いて歌うシンガー・ソングライターですが、今回のアルバムでは曲全体の
アレンジにクラシック他の音楽的素養が生かされています。
そして、最後にご紹介頂いたのは、上記の「ブルック・ワゴナー」がクラシックの素養を
生かしたシンガー・ソングライターだったのに対し、南部出身のフォーク~カントリー系の
女性歌手とNYの人気クラシック・ピアニストの共演アルバム「Night」。歌手がテキサス
生まれ、ノース・キャロライナ育ちで、2000年前後から活動しており、当時はオルタナ・
カントリーと呼ばれた一派の代表的なひとりとして人気と評価を得た「ティフト・メリット」。
一方、ピアニストは、出すアルバムが軒並みクラシック・アルバム・チャートのNo1になる
人気のピアニスト、「シモーヌ・ディナースタイン」。この異なるジャンルの2人は、雑誌の
依頼でティフトがシモーヌのインタヴューをしたことがきっかけで意気投合し、このアルバム
「Night」の制作につながったそうです。アルバムの収録曲は、ティフトのオリジナル以外に、
ビリー・ホリデイの曲からシューベルト、アメリカの伝統歌までを歌っているそうです。
今日、ご紹介いただいた音楽は・・・
1.Breathe You In My Dreams / Trixie Whitley
2.From The Nest / Brooke Waggoner
3.Night / Simone Dinerstein & Tift Merritt
以上の3曲でした。