『音楽マスターピース』では、音楽ライターの五十嵐正さんに
出演していただきました。
今回は、ハリウッド映画としては、ほぼ初めて全面的にハワイ音楽を
採用した話題の映画『ファミリー・ツリー』と、ハワイの伝統的な楽器
『スラック・キー・ギター』についてお話し頂きました。
『ファミリー・ツリー』という映画は、アカデミー賞で5部門にノミネートされ、
脚色賞を受賞したジョージ・クルーニー主演の作品で、来週18日から
日本でも公開されます。ハワイを舞台にした映画ということで、サントラが
全面的にスラック・キー・ギターを使用しており、「ブエナ・ヴィスタ・ソシアル・
クラブ」がキューバ映画の「オー・ブラザー」でブルーグラスやオールドタイム・
ミュージックのブームを巻き起こしたように、この映画のサウンドトラックが
スラック・キー・ギターへの注目を高めることが期待されているそうです。
ちなみに、『ファミリー・ツリー』のストーリーは・・・
「ジョージ・クルーニー演じるマットは、妻と2人の娘と共に ハワイで暮らしていた。
ところがある日、妻がボートの事故に遭い、そのまま昏睡状態となってしまう。
そんな中、実は妻が浮気していたことや、彼と離婚するつもりだったことが発覚。
しかも、そのことを長女だけでなく友人たちも知っていたことが判明してしまう。
危篤の妻を責めるわけにもいかず、浮気の相手を探し出し、接触を試みるマット。
一方、思春期の娘たちともどう接していいかわからない・・・」というようなお話で、
家族の危機とそこからの再生の物語が、ユーモアを交えて描き出されます。
また、ハワイの伝統楽器『スラック・キー・ギター』の「スラック・キー」というのは、
「弦をゆるめる」という意味で、19世紀半ばにメキシコからやってきたカウボーイが
持ち込んだギターを現地の人たちが見よう見まねで、響きの良いチューニングに
適当に合わせて弾いたのが始まりだそうです。そこから弾き手それぞれが独特の
響きを持つチューニングを指でつまびくスタイルが生まれ、長年家族や仲間内の
間だけで、ビーチや裏庭でのパーティーなどで自分たちの楽しみのためだけに
演奏されてきました。そんな「スラック・キーギターが広く知られるようになったのは、
1960~70年代にハワイの固有の文化を見直そうという運動である、ハワイアン・
ルネッサンスが起こった時期に、ギャビー・パヒヌイ(1921~1980)という偉大な
ギタリストが、「スラック・キー・ギター」をソロ楽器として確立させて、その発展に
大きな貢献をしたからだそうです。
というわけで、今回は「スラック・キー・ギター」の音色もたっぷり楽しめる映画
『ファミリー・ツリー』のサントラの中から5曲紹介して頂きました。
今日、ご紹介いただいた音楽は・・・
1.Ka Makani Ka'ili Aloha / Gabby Pahinui
2.Ulili E / Dennis Kamakahi
3.Hi'Ilawe / Sonny Chillingworth
4.Kalena Kai / Keola Beamer & George Winston
5.Hapuna Sunset / Charles Michael Brotman
以上の5曲でした。