今週の「ラジオバイオグラフィー 5冊のアルバム」のゲストは、流行語「失楽園」を作り出した作家の渡辺淳一さんです。
10月25日(月)「初心な少年を初恋が変えた」
作家の渡辺淳一さんは子供の頃はうぶでした。初恋の相手は経験豊かな少女画家で、自分をいろいろと引っ張ってくれましたが、彼女は同時に多数の男性と付き合っていたので、嫉妬や理不尽といったことをいろいろ体感しました。しかし同時にこれが恋というものであることも知ったのです。
渡辺さんは高校時代に、女性に対するイメージが大きく変わったそうです。
10月26日(火)「人体解剖で体と心の違いに気がついた」
作家の渡辺淳一さんは医科大に入りました。解剖学の授業で人体を解剖してみたときに、誰であろうと人体が皆同じであることに気がつき感激したのだそうです。そして、解剖してみると人体は同じであるのに、人の内面は人によって大きく違うことにも気づきかれた、これが文学の道への入り口になったと回想されています。
10月27日(水)「いろいろな女性に出会った30代の話」
今でこそ売れっ子作家の渡辺淳一さんですが、最初は掲載される原稿が少なくて、持込をしたり苦労をしていました。その頃、いきつけの新宿の飲み屋のママが大きな声で励ましてくれて、言葉の大切さというものを知ったということです。
同じ頃 渡辺さん曰く、「糸のこぎり事件」を起こしてパトカーで連行されています。
そのとき、警察官に「作家」と言っても信じてもらえなかったのですが、その3ヵ月後にはリベンジができました。良かった良かった(笑)
10月28日(木)「恋愛は非論理的だから面白い」
作家の渡辺淳一さんは「失楽園」「愛の流刑地」のいずれの作品でも男女の恋愛をテーマに書いています。これはこんなに非論理的なものは無いので、とことんこれを追求してみたいと思ったからだそうです。
恋愛は男を変えると思うと渡辺さんは言います。
恋愛についての男と女の満足の仕方はぜんぜん違うので、二つの作品で、これを小説的にも追い詰めてみたのだそうです。
10月29日(金)「気持ちが元気だと長生きできる」
作家の渡辺淳一さんの最新作「弧舟」は、定年後の男性の姿を描いています。この歳になってやっと、自分もその歳になってはじめて、老いをテーマに書くことができるようになったと渡辺さんはおっしゃっていました。
世間から何も求められていない、生きがいの無い人間は病気になってしまう。いつも気持ちが元気だと長生きできると思う。これが渡辺淳一さんの持論だそうです。渡辺さんは今でも恋をしています。
<渡辺淳一>
北海道生まれ。医学博士。
1958年札幌医科大学卒業後、医療のかたわら小説を執筆。
1970年「光と影」で直木賞を受賞。1980年に吉川英治文学賞を、2003年には菊池寛賞などを受賞する。作品は、医学を題材としたものから、歴史小説、男と女の本質に迫る恋愛小説と多彩で、著作は計130冊に及び、文壇の第一線で活躍中。