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今週のニュースパレードは「被災地における感染症」をテーマに特集しています。
東北大学医学部にご協力頂くことになり、仙台まで行って参りました。
東北大学は5年前の東日本大震災で被災地の感染症対策にあたった災害対策のエキスパートです。教えて頂いたことは「災害時に特別な対策があると言うよりも、日頃からいかに感染症予防をしているか」ということと「過度に怖がりすぎず、かといって油断もしないように」ということ...避難所で体調不良者が出たと報じられると非常に不安になりますが、言われてみればインフルエンザやノロウィルスは普段の生活で誰もが感染する可能性のあるもの。
とはいえ災害時には心も体も弱っているのは間違いなく、普段以上に自身が留意することや周囲が心を配りあうことが大事。病気の感染拡大を防ぐには、避難という非日常の大変な状況の中でいかに日常のルールやモラルを思い出して実践することが大切であるかを確認しました。今回の熊本の方々と同じく5年前に未曾有の震災を経験した東北大の皆様だからこそ伝わってくるお話でもありました。
月曜日と火曜日は基本的な「感染症に対する考え方」「どのような感染症が被災地で蔓延する懸念があるのか」などについて東北医学部の賀来満夫教授に伺いました。日本環境感染学会の理事長でもある賀来先生は感染症学の権威ですが、東京の病院にいらした頃は通勤の車の中でよくニュースパレードを聴いて頂いていたそうです。
後半3日間は東北大学医学部講師も務める大学病院の遠藤史郎医局長に具体的な対策を聞きます。遠藤先生は5年前の震災で石巻の実家が被災した方で、今回の熊本地震でも現地に飛んで調査を行いました。家が流され避難所から動きようが無かった東日本大震災と比較すると今回の熊本地震は、余震による倒壊への懸念から自宅には戻れない一方、車を使い移動する人や昼間は避難所に身を寄せて夜は車中泊する人が多いなど避難所における昼間人口と夜間人口が大きく違うことで、特に最初の1週間は行政が設置すべきトイレの適正な数を把握できないなどの苦労も多かったと話してくれました。
トイレの使用頻度から被災地の状況を読み取るというのは、医学の範疇を越えて社会心理学、社会行動学などとの有機的な連携が今後ますます必要になるのでしょうね。「防災省」の設置なども遡上に上がり始めているようですが、地震大国、災害大国・日本の中で改めて研究し実践することの大事さも痛感しました。
「被災地の感染症対策シリーズ」は金曜日までお送りします。ぜひお聞き下さい。
左から賀来教授、吉田眞紀子助教、そして遠藤医局長。皆様、本当にありがとうございました。
なお東北大学では感染症予防の8か条など日常生活の感染症予防の啓発に力を入れています。
一度、H.P.を覗いてみてください。
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http://www.tohoku-icnet.ac/
文化放送報道制作部では「ニュースパレード」を中心に、日々のニュースをお伝えしています。
その一方で、私たちの周りには普段のニュースでは伝えきれないような話が溢れています。
それをお伝えする場所が、このリニューアルしたブログ。
部員それぞれがゆるやかに伝えていきます。
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よろしくお付き合いください。