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「今年の東京六大学野球は立教と東大が強い。他の4大学も紙一重」
アマ野球好きの友人からそんな話を耳にしたので、久しぶりに神宮球場に出かけることにした。
お目当ては第2試合の慶應対明治。
外苑前で降り、秩父宮ラグビー場を右手に見ながら球場に近づくにつれ、第1試合が白熱しているのであろうか、早稲田のブラスバンドが奏でる応援歌「紺碧の空」がだんだん大きくなってきた。
チケット売り場で学生証を見せ、ワンコインで入れる応援席へ。
目の前に球場のパノラマが開けてくると同時に、一塁側を埋めた立教の応援席から割れんばかりの拍手が降り注いできた。
母校・早稲田の敗戦。主戦・澤田を崩せず、最終回、満塁のチャンスを潰したらしい。
しかし、きょうの目的は慶應の応援。チアに促されるままに、応援席のほぼ中央に座った。
学生や院生時代、何十回となく通った学生野球の聖地。30年前、隣の席で「明治をぶっつぶせ~」と大声を挙げていた彼は今何をしているのだろう。「早慶戦ってこんなに盛り上がるんだ...」と妙にはしゃいでいた彼女は、幸せに暮らしているだろうか。
青春時代の甘酸っぱい思いがふとよみがえってきた。
今は、この春、慶應に進んだ娘と「明治をぶっつぶせ~」を連呼している。「加藤、おさえろ~」「柳町~、放り込めぇ」などと叫んでいる。
娘も学年を重ねていくうちに、神宮でさまざまな思いを身にまとうようになるのかもしれない。そして、やがては親として子どもと一緒に「明治をぶっつぶせ~」をリフレインすることになるかもしれない。
伝統の東京六大学野球。数々の名勝負を生んできた年月は、個人の歴史であり親子の歴史でもある。
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