不登校になった子どもたちの学習指導や教育相談を行っている民間の施設「フリースクール」。
不登校の小中学生は12万人近くに上っており、このうち約4000人が全国に約400あるとみられるフリースクールに通っています。
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ところが、こうしたフリースクール。
「スクール」と名前についてはいますが。法的には「学校」とは認められていないのです。
本来だったら義務教育を受けるべき小中学生が通っているのに法的には「学校」と認められていない・・・。このために公的な経済支援が受けられなかったり「元の学校長が認可しなければ義務教育を卒業した資格が得られない」状況にあります。
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こうした問題を解消するため、今、自民・公明・民主・維新・共産・社民の国会議員で作る「超党派フリースクール等議員連盟」が新しい法律「多様な教育機会確保法案」を提出しようとしています。(画像参照)
子どもが不登校になった場合、保護者が「個別学習計画」を作成して市町村の教育委員会に申請します。
そこでもし認定されれば、子どもは教育委員会の職員などから学習面の支援を受けながらフリースクールなどで教育を受けることができます。これによって保護者は義務教育の就学義務を果たしたと見なすというものです。
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ところが。歓迎する声がある一方で、フリースクールの創設者の一人はこの法律の仕組みに疑問を呈します。問題なのは、親が提出した子供の教育計画をもとに「教育委員会がそれを認める」ことが条件になっている点です。
不登校になった子は、学校にいけなくなっている期間がある程度長いために「ごく基本的な掛け算」なども、できなくなっているケースが少なくありません。その場合、たとえば学習指導要領などをもとに一律の合格基準をつくってしまうと基準をクリアできない子供が出る懸念があるというのです。
そして「この法案は、教育委員会などが、今まで自分たちの目や手の届かないところにあったフリースクールを自分たちが影響できる枠内に取り込もうとしているに過ぎない」と主張します。実は、こうした考え方は、フリースクールの関係者の間でよく聞かれました。
こうした懸念に対し、法案作成チームの馳浩議員は「フリースクール関係者」を含む専門家が参加して子供ひとりひとりの状況に合わせて判断をするため「上が決めた一律の基準で切り捨てる」という懸念は誤解だと言います。
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また、フリースクールの関係者からは公的な経済支援をどのように行うのかについても懸念が出ています。
「大手教育産業などの参入が加速化するやりかただと、親などが協力してやってきたフリースクールが淘汰されたり、進学率を競うようになって、本来の目的からかけ離れたものになる恐れがある」というものです。このため子供一人一人に金券を配り、自分にあった学校にそれを支払って通学する「バウチャー制度」が検討されています。
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フリースクールはその名の通り、子どもが無理せず、自由に学べる場だからこそ学校に通えない子供の受け皿になってきました。
フリースクールがフリースクールである理由を失わないような制度設計が必要だと思います。
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