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津波で倒壊した家屋から流された写真やアルバムを自衛官や消防は拾い集めてきた。
岩手県宮古市だけで少なくとも二万点。それらを丁寧に洗浄し持ち主の元に返そうとしてきた人々がいる。
市役所も連携し、去年春に常設の返却センターが設けられた。
持ち主の手がかりがあれば写真を携えて訪ねて行くこともある。
すると最初は驚かれ『どこにあったんですか』と写真を愛しそうに手にとるという。
311の追悼式典でも会場の別の部屋で1500点が展示された。
湯船ではしゃいでいる父親と幼い子供、
幸せそうな新郎新婦と緊張した面持ちでマイクを握る父親、
運動会のゴールシーン・・・。
会場で一生懸命アルバムを探していた来場者は
『あった!』と声をあげ、写真ではなく、子供の表彰状を見つけた。
市の担当者は言う。
『写っている人の想いはもちろんですが、決して写真に映ることのないシャッターを押した人の想い。
そしてセピアに色褪せても、ずっと大切に保管してきた人の想いがここにあるんです』
会場で市の担当者や来場者にインタビューをしながら生レポートをした。
来場者の録音カットをイヤホンで聴きながらインタビュー相手の担当者は言った。
『ああ。いいですね。宮古の言葉だ。』
例え家や大切な人が失われても、みんなが一緒に暮らした事実だけは誰にも奪えない。
写真がその証しになるのなら一枚でも持ち主のもとに返って欲しい。
(画像は2013年3月11日の宮古湾&重茂半島)
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