« まだ振り込め詐欺 | メイン | 裁判員について考えよう »

2012年9月21日 自衛隊機で東北視察

 きのう、おとといと、自衛隊機で東北の被災地ならびに陸海空の自衛隊機地を見て回ってきた。まず、びっくりしたのは、航空自衛隊入間基地から海上自衛隊八戸基地まで、CH-47(軍事輸送ヘリ)で向かったこと。
自衛隊103.jpg 
 想像を超える音のうるささと乗り心地の悪さに圧倒されながら被災地へ。八戸で東日本大震災当時の話を聞いたあと、今度はP-3C哨戒機に乗り換えて航空自衛隊松島基地へ到着。
 機内では、敵国の潜水艦を探知するためのソノブイやレーダーなどのレクを受けたあと、「日本の近海は、P-3Cが対潜捜索のため落としたソノブイでいっぱいのはず」という話を聞き、北朝鮮、中国との見えない戦いが日常的に続いていることを実感させられた。

自衛隊104.jpg しかし、今回の被災地研修で想像以上だったのは、現地の復興が思ったほど進んでいないという事実だ。
 松島基地ではF-2戦闘機の半数を津波でダメにし、残りはまだ修理中。機体を日本海と同じ色にカムフラージュ(=つまり北朝鮮や中国が仮想敵国?)した自慢の戦闘機は、今はここからは飛び立てない状況。
 松島から仙台へと走れば、津波で1階部分が水没し放置されたままの住宅があちこちに見られる有様。あの日から1年半が経過しても、進んでいるのはがれきの撤去まで。
 海水に浸った水田の改善も、そして新たな街づくりもまだまだ先の話。仙台界隈では、県の復興事業はまあまあ進んでいても市の事業は2割前後の進展度合いとか。
 政令市で体力があるはずの仙台あたりでこれでは、他の基礎自治体はどうなってしまうのか。同じ宮城県でも石巻市は復興需要で沸く仙台から遠く、業者が行きたがらない・・・という地元話も耳にした。
自衛隊102.jpg 右の写真は、仙台市の荒浜地区。津波被害が市内でもっとも大きかった地域で、小学校も1F部分が完全に波にえぐられている。
 津波が襲った当時、3Fの屋上に逃れた児童や先生の救助に現地の自衛隊が活躍したのは言うまでもないが、復興したと言えるまでには、さらに3年、5年、といった歳月と莫大な予算が必要になると感じた。

 その自治体も、規模によって体力差があるのは当然として、被災以降の対応にも大きな差があったそうだ。
 比較的、被害が大きくなかった自治体に限って、自衛隊がヘドロの除去などに向かうと、土木課→環境課→教育委員会・・・とたらい回し。それは政府も同じで、いくつもの対策本部が設けられたものだから、どこに話をしにいけばいいのかわからないという混乱も起きたそうだ。
 今回の研修は、周辺国の動きをにらんだ有事対応の面と、甚大な自然災害がおきた際の救難、復興の面と、2つの面で自衛隊の活動ぶりを知ることができた。
 それと合わせ、政府や自治体の問題点も把握することができた気がする。今日は民主代表選、来週は自民総裁選と続くが、現場で地味な活動を続けてきた自衛隊やボランティアの声を、安全保障&復旧復興の両面にどう生かしていくのか、吸収力のあるリーダーが選ばれることに期待したい。
 
 

文化放送報道制作部では「ニュースパレード」を中心に、日々のニュースをお伝えしています。

その一方で、私たちの周りには普段のニュースでは伝えきれないような話が溢れています。

それをお伝えする場所が、このリニューアルしたブログ。
部員それぞれがゆるやかに伝えていきます。
ニュースの「おまけ」として楽しんで頂ければ幸いです。
よろしくお付き合いください。

2014年10月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31