箱根駅伝出場大学応援ラジオ 箱根駅伝への道

毎週火曜~金曜 「文化放送スポーツスクエア SET UP!」内 18:18~18:26放送中!
学生3大駅伝全てを中継する文化放送は、 年間を通して大学生長距離アスリートを追いかけていきます。
この番組は箱根駅伝に出場する大学、学生ランナー、そしてすべての関係者を応援し、紹介していく番組です。

10月2日放送 箱根駅伝への道

2015.10.03

こんばんは、文化放送 松島茂です。
特別バージョンでお送りしている「箱根駅伝への道」。
青山学院大学 原晋監督と
早稲田大学前監督で、現在、住友電工陸上競技部の
渡辺康幸監督、おふたりの監督対談も今夜が最終回です。
原監督、渡辺監督、きょうもよろしくお願いします。

原監督:よろしくお願いします。
渡辺監督:よろしくお願いします。

松島アナ:
さあ、監督対談最終日のきょうのテーマは、
「指導者」です。
まず、渡辺監督に聞きたいのですが、
学生と実業団と指導する上で一番の違いは何ですか?

渡辺監督:
今までの実業団というくくりだと、指導するというよりは放任ですね。
ある程度、練習スケジュールを出して、
後は自分でやりなさいというチームが多かったと思うんですよ。
それでも能力のある選手がたくさん集まれば、
優勝はできたと思うんですよね。
ただ、今の実業団って、外から見ていて、
あんまり華々しく見えないじゃないですか。
それは箱根駅伝があるからと言いますが、
そうではなくて、
実業団一つ一つのチームを見ていると、
覇気がないというか、どこを目指しているのか分からない、
迷走している感じですよ、どこの監督さんも。
大学の場合は、箱根駅伝で優勝するためだけじゃなくて、
日本選手権で実業団に勝つためにやったりだとか、
すごい高い意識で監督はやっているんですけど、
実業団の場合は、世界が上に行き過ぎてしまって、
現実的に手の届かないところに行っちゃっているんですよ。
だから、何をしていいのか分からないという状況ですね。
今の私のチームは、まだ強くなく、選手が竹澤君くらいしかいないので、
今はとにかく勉強をしています。
知識をつけて、教養を持つ、コーチングですね。
その知識をいかに身に付けるかですね。
コーチングが日本の指導者は少ないですね。

松島アナ:
けっこう、今の話はわたくし的には衝撃的だったんですけど、
原監督はどのように感じましたか?

原監督:
そうですね。今の指導者はですね、大学の指導者が、
ある意味、一番勉強しています。危機感持ってやっていますね。
ま、それは箱根駅伝があるから一生懸命やっているのか、
指導者が一生懸命やっているから、
箱根駅伝に優秀な学生が出ているのか、
それは分かりませんけれども、
渡辺監督がおっしゃるようにコーチング、
現場の指導だけではなく、大学への提案、
プレゼンテーション能力も監督の仕事なんですね。
今までは、現場をみることだけが指導と捉えがちだったのですが、
大学、あるいは企業に対して、
いかに選手を育てる環境を作っていくかも監督の仕事なんですね。
で、そのノウハウを一般のジョガー、
あるいは、多くの駅伝ファンに発信するのもですね、
監督の仕事だと思うんですね。
それらを含めたコーチングが指導者に求められている、
そうなるべきだと僕は思っているんですよね。

渡辺監督:
いわゆるチームマネージメントですよね。
大学が簡単に億のお金を出して
強化をしているというわけではなくて、
クロカンコースをつくるにしても、何億もかかるわけですよ。
原さんもやってきたと思いますが、
監督たち、大学に相当交渉していると思いますよ。企業もそうですよ。
それに対しての費用対効果も我々は出さなきゃいけないわけですよ。
だから箱根駅伝で優勝させなきゃいけない。
お金を出しただけの効果が出さなかったら、監督はクビになるんです。

原監督:
そうですね。やはり責任ですよね。
お願いばかりして、責任を果たさなかったら、指導者失格ですよね。
また学生も、学生は学生で責任があると思うんですね。
だから権利ばかり主張して、
不満ばかり言っている学生に対しては、叱り飛ばしますし、
学生ならば、学生の立場で責任を持つ、
持たせるということも必要だと思いますね。
実業団選手もそうですよね。
今の実業団選手は何かね、企業に入ることが目標で、
入ってからの責任というのが少し欠けている気がしますが、
そのあたりどうですかね?

渡辺監督:
故障して走れなかったら、普通のサラリーマンだったら
給料泥棒と言われてもおかしくないですけど、
必ず固定給が入ってきて、ボーナスも入ってきますから、
それもおかしいというか、
だったら、僕はプロに行ったほうが良いと思います。
だから大迫くんをオレゴンに行かせましたけど、
海外のチームは、まずコーチに自分が稼いだお金を払いますからね。
いわゆるコーチング料。
じゃあ、日本の選手が、今の指導者にお金を払いますか、
ということなんですよ。。
日本の場合は、企業が払ってくれるので、
選手が払う必要がないわけじゃないですか。
でも、実際じゃあ自分の監督にいくら払いますか、となった時に、
選手は、本当にお金を払いますか、
このコーチングに対してということなんです。

松島アナ:
じゃあ、お金を払ってもらえるようなコーチに
ならないといけないのですね。

渡辺監督:
ならないといけないのです。
だから、僕がオレゴンに大迫君と言った時に、
自分の指導力の無さというか、コーチングをしていなかったんだな
ということを感じましたね。
まあ、向こうは国家プロジェクトなので、
やっていることは世界ナンバーワンなんです。
それぞれ各分野のスペシャリストの専属コーチやシェフがいて、
専門的に教えるということです。
だから中途半端な知識の人が、何となく教えるのではなくて、
スプリントコーチが、ランニングエコノミーを高める練習を教えるとか、
フィジカルのトレーナーがいる、食事の専門家がいるという、
それぞれパーフェクトなコーチがいるんです。
そういうチームに勝てると思いますか?
アメリカから帰ってくる飛行機の中で、
はぁ~、これからどういう風に日本の陸上界は行くんだろ?と。
不安しかなかったですね。
このチームを倒さないと、ケニアやエチオピアに勝てないのかな、と。
彼らは、ケニア、エチオピアに勝つためにやってるわけでしょ?
で、じゃあ、日本は何をやっているかというと、
走り込め、距離を踏め、以上。
故障したら選手が悪い。

一同:笑い

原監督:
やはり、マネージメントを我々も含めて
もっとやっていかないといけないし、
渡辺監督の今の言葉で印象的だったのが、
今、所属している選手が、その監督に対して
どれだけお金を払う価値があるのかということを
やっぱり監督側も理解しないといけないですね。

松島アナ:
残念ながら、時間一杯となってしまいました。
また、是非このような機会を設けたいと思います。
4日間ありがとうございました。
箱根駅伝の道でした。

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