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学生3大駅伝全てを中継する文化放送は、 年間を通して大学生長距離アスリートを追いかけていきます。この番組は箱根駅伝に出場する大学、学生ランナー、そしてすべての関係者を応援し、紹介していく番組です。
2012年10月21日

10月9日(火)放送 出雲駅伝解説 大崎栄さん

松島アナ:まず、青山学院大学。優勝候補の次くらいに位置しているかな、

      という下馬評だったんですが、見事な優勝となりましたね。

大﨑さん:そうですね。風が強いということをうまく利用していたところもありましたね。

      前半、風がある中で無理に前に出ることなく密かに力を溜めて、

      順位を下げずにその位置をキープして、

      その後エース格の走る3区で差を広げて、

      その貯金を十分に使ったという感じでしたね。

 

松島アナ:有力大学がおおむね1区と3区を中心に強い選手を配置してきたのに対して、

      青山学院大学は、原監督がエースとして挙げている出岐と久保田を

      3区と6区に置いてきました。どちらかというと後半重視だったんですね。

大﨑さん:そうですね。僕がやっていた時もそうだったんですが、

      4区と5区は風が吹くと追い風になるんですよね。

      ですから、夏合宿で調子のいい者や未経験の者をそこにうまく配置して、

      風の力を使って自分の力を引き出すというやり方をしていました。

      今回、4区の大谷選手がその風に乗って区間賞を獲ったことが

      優勝の大きな材料になってきていると思います。

 

松島アナ:久保田選手はルーキーながら3区の3㎞付近でトップに立って、

      その後、4年生の大谷選手が険しい表情をしながら走っていたんですが、

      結果的に区間賞でしたね。

大﨑さん:そうですね、最初はオーバーペースかなと思っていたんですが、

      ここまで来たら引き下がれないという感じで粘って粘って、

      そのまま最後までペースを維持していきましたね。

 

松島アナ:1区が1年生の小椋裕介選手。

      他の大学も本当に強い選手を並べている中で、どうなるかなと思っていたんですが、

      10秒以内の区間7位で来ました。このあたりも大きかったんじゃないですか。

大﨑さん:1区で一番のポイントになるところは順位よりもトップとの秒差ですから、

      見事に1区走者としての仕事をしたんじゃないでしょうか。

 

松島アナ:大迫選手や設楽啓太選手、駒澤の撹上選手など、

      名立たるランナーが揃っている中で、

      1年生がよくがんばりましたよね。

大﨑さん:そうですね。風があったので自重して後ろの方に隠れて、

      「10位、10位」というような感じでトップから離されないようにしていて、

      見事な走りでしたね。

 

松島アナ:見事に2時間10分を切る大会新記録で青山学院大学が初優勝となったんですが、

      ただこの後にある全日本大学駅伝は出場権がないんですよね。

大﨑さん:そうですね。

 

松島アナ:これから学生三大駅伝の第二弾、全日本大学駅伝、

      さらには最後の箱根駅伝と続いていくわけなんですが、

      全日本の展望はいかがでしょうか。

大﨑さん:今回の大会もそうだったんですが、

      駒澤、東洋、早稲田が優勝圏内かなと思っていたんですけれども、

      出雲の展開を見ると、東洋は1区でのトップとの差、10秒をうまく追い切れずに、

      トップまで持っていけないレース展開で、いつもの東洋らしくなかった。

      駒澤も、1区で遅れても必ず顔を出してくるというのがいつものパターンだったんですが、

      最後までもつれこんだのを考えると非常に面白くて、

      トップ3と違うチームが出てきてもおかしくないのかな、という風に思いました。

 

松島アナ:今回の出雲駅伝、駒澤は前年度のメンバーと全く変わらない6人だったので、

      不調や故障の選手がいないということで「これは相当やるんじゃないか」

      と思ったんですが、

      蓋を開けてみたら撹上選手が11位のスタートで、

      それから後もずっと低迷していましたもんね。

      去年は村山謙太選手が1区で出遅れたんですが、すぐに戻してきたんですよね。

大﨑さん:そうですね。

 

松島アナ:ということは、世にいう三強、「駒澤、東洋、早稲田」が崩れて、

      大いなる戦国駅伝になる可能性もあるということでしょうか。

大﨑さん:そうですね、どこのチームも駅伝に向かっての練習をしているわけですから、

      その中で大差がなくなってきたのかなと思いますね。

 

松島アナ:大崎さんは指導者時代に出雲駅伝三連覇を経験されていますが、

      出雲の結果というのはこの後にある全日本や箱根に大きく繋がっていくものですか。

大﨑さん:そうですね、ステップとなって次の展開にいけますし、

      夏合宿のときの体調や成果をチェックできるのがこの大会です。

      それを微調整して全日本という形になりますので、各指導者陣はこの大会を基に、

      今後のトレーニング方法や展開を描いていくと思います。

 

松島アナ:出雲駅伝で大きく負けてしまうと、

      やはりその後の修正や立て直しは苦労するものですか。

大﨑さん:本当でしたら夏合宿である程度の見通しが立ったうえで出場したと思うんですが、

      順位が大きく変わってくると、

      各選手が走る区間なども決めづらくなるということですので、

      負けが大きければ大きいほど修正は難しくなるということですね。

松島アナ:ということは、駒澤はコマが豊富で揃っているといえども、

     やはり立て直すのは容易ではないということですね。

大﨑さん:逆にコマが多すぎて選び辛かったのかな、というところもあります。

      各選手はどの区間で、どんなコースを走るかということをよく把握して、

      それに向かって練習しますので、

      それが狂い始めると選手の動きも悪くなるというときもあります。

 

松島アナ:早稲田の大迫選手の失速にもびっくりしましたね。

大﨑さん:一人で走っていて疲れるだろうとは思っているんですが、

      それにしてもあの疲れ方は本来らしくない姿だなと思っていますね。

 

松島アナ:外さない選手ですからね、彼は。

大﨑さん:体調的にはそんなに悪そうには見えなかったんですけどね。

      今後、悪い方向にいかなければいいと思いますね。

 

松島アナ:こうやって見ると、駅伝っていうのは怖いなと感じますね。

大﨑さん:本当に、ひとつのコマが合わないだけで、

      順位なんか大きく変動するんだなと思いましたね。

松島アナ:見る、聞く方としては、ますますおもしろくなってきたという感じですが、

これからも期待していきたいと思います。ありがとうございました。

 

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