中田総合法律事務所

第17回 2010.02.11 ON AIR

2010/02/11

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。


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 ○注目のニュース
  
  不倫はなぜいけないか

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  プロゴルファー タイガー・ウッズ選手の
  不倫スキャンダルがスポンサー企業の株を下落させ
  資産価値に与えた損失は、一時、120億ドル(約1兆1040億円)に
  上った――とする調査結果を、アメリカの経済学者が明らかにしました。

  スポンサー企業株の取引を調べたところ
  株価が平均4.3%も急落したことがわかったという。

  調査を担当した
  カリフォルニア大デービス校の経済学教授ビクター・スタンゴさんは
  「ウッズ選手の名声を活用できることは利点である一方、
   ネガティブなリスクも大きいことを証明した」とコメントしている。

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  ◆ポイント1 憲法で定められた夫婦の関係
 
  辞書によれば、男女の関係が人の道に外れること――とされる不倫。
  なぜ不倫はいけないのか――法律的な視点で考えてみましょう。

  夫婦関係(婚姻)の基本的な考え方は憲法で定められ
  社会的における基本的な秩序を維持するものとして位置付けられています。

  中田 「こういった意味で『不倫』
       婚姻共同生活の平和の維持とか、
       法的に保護に値する利益を侵害する行為――とされているんです」

  吉田 「“平和”の侵害なんですね。へぇ~!」
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   ◆ポイント2 民法で定められた夫婦の基本

  民法によれば、【夫婦】は、同居し、互いに協力し、扶助する関係が基本。
  また、互いに貞操義務を負うとされています。

  【貞操義務】は離婚原因に定められ
  配偶者に“不貞な行為”があった場合は離婚原因になる――と明文化。

  これにより、日本国憲法では【一夫一婦制】を前提としていることがわかります。

  中田 「ほかの男性・女性に目を移しちゃいけませんよ、というわけですね」

  【一夫一婦制】を大前提とする制度のもとでは、
  (公序良俗の基本である)夫婦関係を維持するには
  夫・妻が、妻・夫以外の異性との関係を自由に認めるわけにはいきません。
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   ◆ポイント3 夫婦は契約関係 / 不倫は債務不履行

  夫婦は【合意】によって成立することから【契約関係】と考えることができます。
  
  したがって、両性の【合意】に基づく関係を破壊する行為(不倫)は
  【債務不履行】である――ということができます。

  中田 「第三者が壊せば不法行為だし、
       夫婦の一方から他方に対してならば、債務不履行だ――となって、
       精神的な損害については
       慰謝料を払わなければならない関係になるんです」

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   ◆ポイント4 そもそも【不貞な行為】とは

  法的には【不貞な行為】にあたる『不倫』

  中田 「不貞な行為とは…“配偶者以外に目を移さない”ということなんですが」
  吉田 「どこまでがよくて、どこからが悪い――
       というのがわかりづらいですね」

  中田 「損害賠償請求の根拠や、離婚原因になるものとしては
       基本的には【肉体関係】というものがあるんです。
       法律的な問題になるのかならないのか――というのは

       “グレー”なところもたくさんあって
       実は、法律上、この言葉の定義がはっきり書いてないので
       解釈する必要があるんです」

  吉田 「“不貞”がどういうものか、具体的に何か――
       というのは書かれてないんですか」

  離婚・損害賠償の請求を認めるケースでは
  配偶者が、自由意思で、配偶者以外の異性と肉体関係を結ぶこと――
  と考える傾向があります。

    さらに、裁判では、
    通常、一回限りの肉体関係の存在を立証しただけでは
    不貞行為を理由とする離婚は認められない――場合があります。

  吉田 「回数も関係あるんですか」

  中田 「継続的・反復的な不貞行為を立証しなければならないんです。
       これは、裁判所というのは
       夫婦関係を“壊す”よりは“維持する”方向で考えるからなんです」

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   ◆ポイント5 夫婦関係破たん後の不倫関係

  夫婦関係が【破たん】した後に、不倫関係が始まった場合――。

    この場合、すでに、保護するべき“婚姻共同生活の平和”がない――とされ
    破たんした後に始まった関係は、そもそも【不倫】ではない――
    ということになります。
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   ◆ポイント6 プラトニックな関係の場合

  プラトニックな関係であっても
  交際している――という評価に至れば不貞行為にあたる――といえます。

  中田 「プラトニックな関係でも“お付き合いしています”――
       ということになれば、他の異性に目を移していたことになるから、
       交際期間はどれくらいか、贈り物――家をあげた――とかあれば
       そういうのはプラトニックな関係であっても
       離婚原因や、損害賠償問題になったりするでしょう」

  中田 「これが交際しているとは言えない
       “恋心”の段階だったら、
       法律上問題にされる不貞行為にはいえないと思いますね」

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(中田)
「夫婦生活の平和とは『幸せ・幸福』――。
 ひとりひとり、人生において最も大切なものなので、
 よくよく考えて、お付き合いしたり、それ以上になっちゃうのが、
 自分にとって本当に幸せなのか、ということを
 奥さん、あるいは旦那さんとの関係を考えて
 よく考えてから行動すべきだろうと、いうことですね」

次回もお楽しみに!

投稿者 senpatsu : 2010年02月11日 21:00

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