中田総合法律事務所

第13回 2010.01.14 ON AIR

2010/01/14

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。

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 ○注目のニュース
  
  犯罪の公訴時効

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  秋田市内で1999年、女性に性的暴行をした疑いで
  秋田中央署は、先月25日、
  45歳の自営業の男を逮捕しました。

  時効成立23時間前の逮捕でした。

  警察は、時効が迫る中、
  現場に残された物証などを洗い直し
  男を割り出しました。

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  ◆ポイント1 犯罪によって決まる公訴時効の期間
 
  今回のテーマは
  犯罪が行われた後に検察官が起訴するまでの公訴時効。

    公訴時効とは、
    犯罪終了後、一定期間が経過することによって
    処罰ができなくなることで、
    法律的には“公訴権が消滅する”という言い方をします。

  公訴時効の期間は、
  犯罪によって定められている法定刑に応じて決められています。

    平成16年には、社会状況の変化を踏まえ、
    公訴時効の期間を延長する改正が行われました。

  【公訴時効の期間の例】
   ・死刑にあたる罪について:25年(改正前は15年)
   ・無期懲役・禁固にあたる罪について:15年(改正前は10年)
   ・15年以上の懲役
   または禁固にあたる罪について:10年(改正前は7年)

  ●殺人事件の場合(死刑または無期もしくは5年以上の懲役)

   公訴時効の期間は25年

  ●傷害事件の場合(15年以下の懲役または50万円以下の罰金)

   公訴時効の期間は10年

中田 「公訴時効は、犯罪によってそれぞれ決まってくるんです」
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  ◆ポイント2 どうして「時効」がある?
 
   公訴時効制度の法的は根拠について考えてみました。
   どうして「公訴時効」はあるのでしょうか?

吉田 「凶悪な犯罪を耳にすると
     “時効”ってないほうがいいのに・・・。
     (時効がある)理由はわからないです」

これには いくつかの説があります。

  ●時間経過によって、証拠が散逸してしまい
   刑事裁判の心理が困難になる。

   同時に、被告人に立つ側にとっては
   「自分はやっていない」ということの証明が、困難になる。

中田 「(この説については)
     法定刑の長さによって公訴時効の期間を決めているので
     『どうして法定刑の長さと、証拠集めの問題と関係があるのか』
     と批判があるんです」

  ●現在、有力とされている説は
    犯人(被告人)の人権保護と国家刑罰権との関係を
    相対的に考慮する説。

中田 「本来、裁判は被告人の人権保障を考えているんです。
     法的には、被告人の人権保障も無視できないため
     これと処罰の必要性=国家刑罰権とを相対的に考えることが
     『一番妥当なのではないか』と考えられているんです」

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  ◆ポイント3 犯罪被害者の裁判参加制度
 
   刑事処罰の目的は国家社会秩序の維持。

   しかし、その後の社会状況の変化や
   被害者(遺族)の被害感情を
   裁判制度に取り入れるべき――と
   平成20年12月から
   裁判被害者の裁判参加が始まりました。

中田 「犯罪や犯罪処罰とは何なのか――
     ということについての、一般市民意識、社会の意識は
     大きく変わっているといえますね」

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  ◆ポイント4 公訴時効の期間は さらなる見直しの可能性

  平成16年に改正され、期間が延長された
  凶悪犯罪、重大犯罪の公訴時効について
  さらなる見直しの気運が高まっています。

  公訴時効期間はあるべきなのか
  または、この期間でいいのか――という問題に対して
  法制審議会で諮問され
  一般市民からの意見を聴取する手続きが行われます。

吉田 「凶悪犯罪・重大犯罪の時効が『なし』になるかもしれない?」

中田 「なくなるのか、期間の見直しが行われるのか
     いろいろな制度設計があると思います」

  諸外国では、公訴時効を廃止した例もあります。

  また、アメリカでは30年以上前に迷宮入りした事件が
  最近のDNA鑑定技術の発達によって、
  犯人が検挙された例も。
 
中田 「公訴時効を長くする、またはなくしてしまえば
     (日本でも)こういうことも起きてくるかもしれませんね」

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  ◆ポイント5 時効の期間進行の停止

  時効の進行が停止するケースがあります。

  ●共犯者の一人が逮捕・起訴されると、
   ほかの共犯者の時効が停止

  ●国外にいる期間は時効の進行停止

今回のニュースの事件は、公訴時効期間の前日(残り1日)の逮捕でしたが
男が国外にいた期間があったことから
実際には、(1日よりも)期間の余裕があったようです。

中田 「もっと期間の余裕はあるということで
     『これは逮捕して起訴、有罪判決をとろう』と思ったようですね」


吉田 「きょうのお話を伺って
     “時効”という制度は、これから変化があるかもしれませんね」

中田 「強く、そういう予想がありますね」
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中田先生セレクションの1曲

 Take The A Train(A列車で行こう)  / 小野リサ
 
次回もお楽しみに!

投稿者 senpatsu : 2010年01月14日 21:00

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