第12回 2010.01.07 ON AIR
2010/01/07
『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」。
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田
“法律”の観点から解説します。
____________________________
○注目のニュース
国際平和
********************************************
去年12月10日、ノルウェーの首都オスロで
ノーベル平和賞受賞式が行われ
核軍縮などで国際的指導力を発揮したとして
アメリカのバマ大統領にメダルと
賞金1千万スウェーデンクローナ(約1億2千万円)が贈られました。
オバマ大統領は受賞の演説で
アフガニスタンとイラクでの戦争の
現実的な必要性を説く一方
「武力に頼らない世界平和という理想を捨ててはならない」
とも強調しました。
********************************************
◆ポイント1 国際法、国家間条約は国内で有効?
今回、オバマ大統領が核軍縮の方向性を打ち出しました。
国際的な視点で『平和』を考えると
中田 「国と国との条約によって“国際秩序”を作りましょうと
オバマ大統領は言っているんです」
しかし、国際国家間の条約を
国内法として適用するには国会での手続きが必要です。
____________________________
◆ポイント2 2007年 国内法成立の背景
2005年、核によるテロリズム行為の防止に関する国際条約が
国連で採択されました。
日本国内では
2007年に放射線を発散させて人の生命等に
危険を生じさせる行為などの処罰に関する法律が
成立しています。
中田 「オバマ大統領が唱えた理念・精神は
日本国内においても、法律で実現に向かっているんです」
気になる法律の中身は・・・
○放射性物質をみだりに取り扱う
○原子核分裂の連鎖反応を起こさせる装置などを
みだりに操作することによって
核燃料物質の元気核分裂の連鎖反応を引き起こし、
または放射線を発散させて
人の生命・身体・財産に危険を生じさせる行為
●無期または2年以上の懲役に処せられる
と定められています。
これを簡単にご説明しますと、たとえば・・・
○容器につめたプルトニウムなどの放射性物質を
街中でまき散らす
○小型核爆発装置を爆発させる
『放射線』は目に見えないこと、
また、人体に影響が出るまでに時間がかかることなどから
仮に、放射線の発散によって被害を受けたとしても
因果関係の立証が難しく、殺人罪、傷害罪での立件が困難です。
このようなことを念頭に
“放射線の発散”という行為そのものを
処罰すべきとの判断から、この法律が定められました。
さらに、原子核分裂などの装置の製造や所持
放射性物質の所持、
これらの装置、または物質を用いて
脅迫・強要することを処罰しています。
中田 「映画の『ダイ・ハード』の中でも
テロリストが出てきて
『爆破させるぞ!』と(いうシーンがあります)
そういうことを想定すると
(この法が整備されることも)ありうるのかな、と」
____________________________
◆ポイント3 化学兵器・生物兵器に関する条約
国際条約で結ばれ、
日本国内法に定められた平和にかかわる法律は
ほかにもあります。
◆(国際条約)化学兵器禁止条約・爆弾テロ防止条約
◇( 国内法 )化学兵器の禁止および特定物質の規制等に関する法律
◆(国際条約)生物兵器禁止条約
◇( 国内法 )細菌兵器・生物兵器および毒素兵器の開発
生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の
実施に関する法律
吉田 「地下鉄サリン事件のように
サリンをまいた場合も(これらの中に)入りますか?」
中田 「入るでしょうね」
____________________________
◆ポイント4 国際関係を見据えた犯罪・刑事罰
国際関係を見据えた犯罪・刑事罰に
『外患罪
外国と通謀して日本国に対して武力を行使させた場合
処罰は重く、唯一「死刑」しかありません(外患罪)
ほかに
外国から武力行使があった時に、外国に加担する『外患援助罪』
『私戦予備および陰謀罪』
『中立命令違反罪』などがあります。
中田 「グローバル社会になって、有名な例ではアルカイダとか、
国との関係で(個人または集団が)交戦状態に入ることは、
考えられなくはない時代に入ってきています」
吉田 「こういうことを考えなくていい
平和な2010年になってくれたら一番いいですね」
____________________________
■中田先生セレクションの1曲
イマジン / ジョン・レノン
次回もお楽しみに!
投稿者 senpatsu : 2010年01月07日 21:00