中田総合法律事務所

第11回 2009.12.31 ON AIR

2009/12/31

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。
____________________________
 
 ○注目のニュース
  
  悪質な訪問販売を規制

 ********************************************

  悪質な訪問販売などを規制する
  改正特定商取引法が今月1日から施行されました。

  「断ったのに強引に勧誘された」との苦情が
  後を絶たないことから、改正法では、
  訪問販売で商品を「買わない」と意思表示した
  消費者への再勧誘を禁止しています。

  しかし、抜け道を探す悪質業者が後を絶たず
  行政の監視体制が課題になるとみられています。

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  ◆ポイント1 対象は全ての商品・サービス
 
   一定期間内であれば、無条件で解約できる『クーリングオフ』は
   これまで【指定商品・サービス】=58商品28サービスに
   限られていましたが、
   原則として、全ての商品やサービスが対象に。
 
   これまで、“指定商品の類似品を販売する”など
   抜け穴を見つけようとする業者が続出していることから
   規制の抜け穴の解消と、後追い規制からの脱却を目指します。
____________________________
 
  ◆ポイント2 継続的な勧誘を禁止
 
 「契約しない」意思を表明した消費者に対して
  勧誘を継続、再勧誘が規制されました。

中田 「『夜討ち朝駆け』というように“営業行為”として
     「仕方がない」という話もあったんですけど
     消費者保護の観点からいえば、
     一度断ったら『勧誘したらダメ』と
     徹底した方がいいというようになったんです」

  違反した場合、悪質性が高ければ
   『1年間の業務停止』処分が科されます。

  ポイントは“断り方”

  消費者は明確な拒絶の意思表示が必要です。

  ×「忙しいからまた後にしてください」

  ○「いりません」「お断りします」「来ないでください」
____________________________

  ◆ポイント3 自治体独自の「訪問販売お断りシール」
  
   過去、自治体が独自に各家庭に配布している
   『訪問販売お断りシール』が
   “再勧誘を断る明確な意思表示となっているか”
   議論されたことがあります。

   2009年8月には経済産業省が
   “シールは、意思表示の対象、時期などが不明瞭である”として
   “契約を締結しない旨の意思表示”にはあたらない――
   という考えを示していました。

中田 「その商品を“今”はいらないけど
     “半年後”にはいる――ということもあります」

   断る期間、社会通念、常識に照らし合わせて
   誰に、何を、断っているのか明瞭に表示しなければいけない――
   と考えていましたが、
   2009年9月に発足した消費者庁
   当初、この考えを受け継ぎ、シールでは拒絶の意思表示に当たらない――
   と運用指針に明記します。

   これに対し、自治体からは疑問の声が上り
   特定商取引法の解釈は変えず、
   自治体の取り組みも尊重し、お互いに補完しあうことになりました。

 
 法律よりも、自治体の条例の方が厳しく規制している
 “上乗せ規制”として認められ
 訪問販売お断りシールを無視して勧誘を繰り返す不当な取引に対し、
 自治体独自の規制が有効と認められました。
____________________________


中田 「消費者の立場からすると
     “悪質な訪問販売に対する自衛”という意識をよくもって
     特定商取引法の改正されたポイントをよく理解をして
     使っていくことになるのでしょうか」

吉田 「まず私たちがハッキリと
     『いりません!』という(ことが大事ですね)」

中田 「もうひとつ、悪質業者は
     お年寄りを狙うケースが多いんです。
     家族の方々の見守り、地域行政の見守り・・・
     そういう体制を作り上げていくことも必要だと思いますね」

____________________________

中田先生セレクションの1曲

 イフ・ユー・ドント・ノー・ミー・バイ・ナウ / シンプリー・レッド
 
次回もお楽しみに!

投稿者 senpatsu : 2009年12月31日 21:00

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第10回 2009.12.24 ON AIR

2009/12/24

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。
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 ○注目のニュース
  
  民事法律扶助制度

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  法律トラブルを抱えながら、経済的に困っている人に
  国が裁判費用を立て替えたり、無料で法律相談に応じる
  民事法律扶助制度の利用が、今年度に入って急増。
  予算が底をつきそうな事態に陥っています。
 
  不況のため、多重債務や労働問題解決を求める利用が
  増加したことが、理由の一つで
  法務省は、2009年度第2次補正予算案に
  扶助費25億円程度を計上する方針を決めました。

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   ◆ポイント1 民事法律扶助とは
 
  法的な問題(離婚・損害賠償・多重債務など)で悩みながら
  経済的な理由で裁判を起こしたり、弁護士を頼めない人のために
  一定の要件のもとに、
  裁判・弁護士費用を立て替えたり、無料で法律相談をする制度。
 
  扶助を受けるには、次の2つの要件を満たす必要があります。

  ◆費用負担ができない人(資力・財産・収入が少ない)
 
  ◆事件の内容について、勝訴の見込みがないとは言えない

  ※勝訴の見込みがない――とは?
 
  中田 「まどろっこしい言い方なんだけど
       『こんなの絶対無理だよ!』ということにお金を出してあげるのは
       制度の趣旨とは違う。
       権利を実現したいんだけど、それが経済的に困難という人の
       権利実現を助力しましょう――という制度で、それを
       “勝訴の見込みがないとは言えない”という言い方をしているんです」

  国民向けの法的支援を行う中心的な機関として設立された
  『法テラス』(日本司法支援センター)に対して
  書類を提出し、審査を受け、認められると
  費用を立て替えてもらうことができます。
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   ◆ポイント2 立て替えてもらった費用の返却

   返済条件は、その人の経済状況に応じて決められますが
   多くの場合、付き具きの返済額は1万円程度。
 
   生活保護を受けている人や、特別な事情がある人に対しては
   返金を猶予するケースもあります。

  中田 「経済的な余裕がなくて、
       権利実現したいけど できない人には
       “駆け込み寺”みたいなものだから
       制度をどんどん利用してほしい――と期待されています」

____________________________

   ◆ポイント3 毎年増大する利用件数

  代理援助(裁判費用を立て替える制度)の利用件数は毎年増加しています。

  ◆2006年:約6万件
  ◆2008年:約8万件
  ◆2009年:4~8月までの集計だけで 約4万2千件
         (前年同時期の34%増)
 
  このままでは(年間)10万件を超え
  140億円で足りるとされた金額をオーバーすると見られています。

  ※140億円の内訳 : 予算104億円 + 返済額として見込まれた36億円
 
  法テラスは、各都道府県事務所に
  毎月の限度額を設定し
  限度額を越えた場合、依頼は翌月に持ち越すように指示。
 
  年末、最終的に持ち越した場合は
  翌年(翌年度の予算)に持ち越すことに。

  吉田 「自転車操業ですね」
____________________________

   ◆ポイント4 裁判を受ける権利

   憲法32条では『裁判を受ける権利』が保障されています。
 
   しかし、裁判には費用がかかり
   経済的な事情から、裁判を受けることができない人もいます。
 
   そこで、権利を 実質的に保障するために
   民事法律扶助制度ができました・・・が
 
  中田 「予算が足らなくなって
       持ち越し、持ち越し・・・となることで
       実質的には、弁護士を頼む権利を制限しているのと同じ――
       という批判もあるんです」

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   ◆ポイント5 利用者急増の原因は?

   最も増えているのは【多重債務】の相談で、
   今年は、前年より【3割増えている】といわれ
   制度利用の7割を占めています。

   また【解雇】【賃金、残業代の未払い】などの労働事件も倍増。

  吉田 「不況の感じを如実に表してますね」

  【雇用】に関する制度利用が増え
  【雇用がなくなった】ことから【多重債務】に陥った・・・として
  千葉景子法務大臣は先月、記者会見で
  “雇用の場に戻るセーフティネット”として
  民事法律扶助に予算を確保する意欲を表明しました。

    来年度の予算は(自民党政権時代の予算案)139億円から
    16億円を加えた【155億円】に。
 
  中田 「日弁連(日本弁護士連合会)は
       『民主党政策の表れ』と評価しています」

____________________________

   ◆ポイント6 返済は2~3割・・・“給付制”導入の議論も

   費用は【立て替え】が原則ですから【返済】されれば
   予算が“底をつく”ことはないのですが・・・

  中田 「利用する方の『モラル』もあって・・・
       景気が悪いから、返そうにも返せない人もいるので
       『モラル』とばかりは言いきれないんだけれども
       利用した方のモラルが問われるところはあるんです」

 
  立て替え費用の返済の割合は【2~3割】にとどまり
  回収率をどのように上げていくか――ということも問題視されています。
 
  中田 「景気を良くして、雇用政策などで
       利用者からの回収率を上げる――
       これは政治的な問題だろう、ということで
       これをきちんとケアしていかないと
       この制度は維持できなくなると思います」

      「この際“立て替え制度”をやめ“給付制度にしよう”という
       議論さえ、すでに出てきているんです」

      「いずれ返さなければいけない制度は
       そのことによって、利用をためらう人もいる――
       “モラルのある人こそ”利用しにくい制度になっているんじゃないか
       と、給付制の導入を求める議論もあるんです」

 Nakada&Ruiko_05_36.jpg

  吉田 「いい制度としてあるわけですから
       モラルは守ってほしいですし
       なにより、景気が良くなってくれないと・・・」

____________________________

中田先生セレクションの1曲

 クリスマス・ギフト / SUITE VOICE
 
  中田 「きょうはクリスマス・イブですから
       “歌の贈り物”ということで、とても素敵な歌なので聴いてください」

投稿者 senpatsu : 2009年12月24日 21:00

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第9回 2009.12.17 ON AIR

2009/12/17

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。
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 ○注目のニュース
  
  公然わいせつ

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  警視庁は先月10日、写真家・篠山紀信さんが
  今年1月に発売したヌード写真集の撮影をめぐり
  公然わいせつの疑いで、篠山さんの事務所などを家宅捜索。
  
  東京・青山霊園や六本木の路上など
  公衆の場で撮影が行われた疑い。
  
  写真集には、JRと見られる線路に立ち入ったり
  青山霊園で撮影された写真もあったという。

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   ◆ポイント1 公然とは
 
  中田 「『公然わいせつ』とは何かというと
       実は概念的に難しいんです」

  ◆“公然”…不特定または多数の人に見せる
  
  ◆“不特定または多数”の反対は…特定かつ少数

  中田 「特定かつ少数でなければ公然にあたるというわけです」

  ●公然わいせつ・・・
 
   不特定または多数の人が認識する可能性がある状況で
   わいせつな行為をすること。
____________________________

   ◆ポイント2 可能性のとらえ方

   公然かどうか(不特定多数の人が見るかどうか)の
   可能性を考える上で、次のような場合はどうなのでしょうか。

   ◆無人島
   ◆人が通ることが考えられない浜辺
   ◆早朝の道路・公園

  可能性が全くないか、あっても本当に少ない状況で
  裸で踊っていた――という場合
  “公然”の前で行っているとは考えられないのでは?
____________________________

   ◆ポイント3 突然ですが クイズです

  Q.街中で大勢の人がいる状況で
    パンツ1枚だけ身につけた男が歩いていた――。
    この男は“公然わいせつ罪”にあたるでしょうか?

 
  吉田 「いわゆる“パンツ一丁”ですね。
       これはダメでしょう」

 
 
  A.公然わいせつにならない(可能性が高い)
 
  中田 「これはおそらく“公然わいせつ罪”にはあたらないです。
       【パンツ1枚はいていること】が重要なんです」

 
  吉田 「パンツの形状・布の面積はどうなんですか?」
 
  中田 「するどい!
       たしかに形状によってはわいせつになるのかもしれない」

____________________________

   ◆ポイント4 わいせつとは

   ◆わいせつ・・・社会通念に照らして、性的に逸脱した状態
 
   具体的には、以下の3つの要件があるといわれています。
 
   ・性欲を興奮・刺激または満足させる動作
   ・普通の人の正常な性的羞恥心を害する行為
   ・善良な性的道義概念に反する
 
  中田 「3つ全ての要件を満たすと
       わいせつ行為ということになるんです」

____________________________

   ◆ポイント5 社会的概念の変化

   社会生活の変化によって、
   【わいせつ】のとらえかたも変わってくるようです。
 
   ◆昔・・・公然とキスをする → → → わいせつ行為と考えられた
 
   ◇今・・・電車内、路上でキスをする
       → → → わいせつ行為と考えられない(ことが多い)
 
  中田 「社会的な観念として変化しているということだと思います」

  
  ●【陰部・肛門】を露出した場合・・・

   昔:わいせつ / 今:ヘアヌード写真集もある
 
  ●【女性のバスト】を露出した場合・・・
 
   昔から【わいせつ】ではないと考えられている

  ●【性器】を露出した場合・・・
 
   昔から【わいせつ】で異論がないとされている
____________________________

   ◆ポイント6 被害者は誰?

   公然わいせつは、なぜ犯罪なのでしょうか?
   被害者はいるのでしょうか?

   刑法は、次の3つの法益を守るためにある――とされています。
 
   ・個人的な法益
   ・社会的な法益
   ・国家的な法益

   【公然わいせつ罪】の取り締まりは
   【社会法益】を守るためのものと考えられ
   【善良な性風俗】【風俗秩序】を守るための法益とされています。

  中田 「“被害者なき犯罪”と言われているんだけど
       社会を構成しているのは人々――。
       だから、公然とすることは、品位を害し
       抵抗感があるので、それを大事にしなきゃいけない」

 
      「そうすると人間社会がきちんと回る・・・という考え方、
       だから被害者がない――というわけではない。
       健全な性風俗は守るべき――という考え方なんです」

 
      「健全な性風俗はどんなものなのか――という基準から
       逸脱すると【わいせつ】に関する犯罪になる、ということなんです」

 
  吉田 「【公然わいせつ】にあたるかあたらないか――って
       個人の考え方にもよると思うんですけどね」

 
  中田 「社会・文化の変化によって、いろんな考え方が出てきて
       どれが普通の考え方なのか、を
       きちんととらえていく必要があるわけです」

____________________________

   ◆ポイント7 再び、クイズです

  Q.家の中で全裸で過ごしている人に
    宅配便が届きました。
    全裸のまま応対した場合――“公然わいせつ罪”にあたるでしょうか?

 
  吉田 「これは“あたる”気がする」
 
 
  A.公然わいせつにならない(可能性が高い)
 
  中田 「公然の概念は“不特定かつ多数”で
       この場合は“特定かつ少数”なので
       (公然わいせつに)あたらないんです」

 
------------------------------------------------------------ 
  Q.全裸で暮らしている人が、
     周囲にマンションなどが建ち並ぶ 街中にある
     家のベランダで日光浴をしていた場合は?

 
  吉田 「“不特定で多数〟の人が見る可能性があるから“あたる”」
 
 
  A.公然わいせつになります(正解!)
 
------------------------------------------------------------ 
  Q.全裸で暮らしている人が、
     周囲にマンションなどが建ち並ぶ 街中にある
     家の“道路に面している庭”で水浴びをしていた場合は?

 
  吉田 「多数の人が通るから・・・公然わいせつにあたる!」
 

  A.公然わいせつになります(正解!)
____________________________

   ◆ポイント8 今回のニュースのケース
 
   今回のニュースの場合
   青山霊園で撮影されたケースで、
   もしも“早朝”に撮影していたら、公然わいせつ?
 
  中田 「早朝だと人がいるのか?という疑問があって
       公然性の要件を満たしているのか
       記事(で伝えている内容)だけでは よくわからないんです」

 
      「警察が検挙したということは、写真集の中で
       (周囲に)人がいても不思議じゃない状況が感じられたのかな
       という気はしますけど、そこ(要件を満たしているか)は
       よく考えないと『どうなんだろう?』と感じます」

 
  吉田 「我われのこととして考えると
       今の時期、忘年会・新年会ではめを外しがちですから
       くれぐれも“公然わいせつ”にあたることを
       しないように気をつけましょう」

____________________________

中田先生セレクションの1曲

 限りなく優雅な絵姿 / ソ・ウォノ
 
  中田 「絵を見て、絵の中の女性に恋をしてしまうという曲です。
       ドナウディの歌曲で、普通は伴奏入りですけど
       彼(ソ・ウォノ)はアカペラで歌っているんです」

投稿者 senpatsu : 2009年12月17日 21:00

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第8回 2009.12.10 ON AIR

2009/12/10

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。


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 ○注目のニュース
  
  外国人の参政権

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  民主党は先月10日、永住外国人に
  地方参政権を与える法案の
  臨時国会での提出を見送る方針を固めました。
 
  民主党の山岡賢次国会対策委員長が
  議員立法として臨時国会に提出する考えを示していましたが
  国民からの多くの抗議や党内からの反発があったことも
  提出を見送る理由になったとみられています。

 ********************************************
 
   ◆ポイント1 憲法で定められた参政権
 
  【憲法15条1項】では
  公務員を選定・罷免することは国民固有の権利として
  参政権が定められ、次の権利が含まれます。

  ●選挙権(投票する権利)
  ●被選挙権(候補者となる権利)

  また、基本的人権は、日本国民だけでなく
  在留外国人に対しても等しく及ぶものと考えられています。
____________________________

   ◆ポイント2 地方選挙への参政権を在留外国人に与えるか
 
  地方選挙への参政権を日本国民でない人にも
  与えるかどうか――が今回のニュースのポイント。

  中田 「憲法上の権利として
       はたして地方参政権が認められるのか
       という議論があるんです」

____________________________

   ◆ポイント3 地方自治に関する定め / 過去の判例

  地方公共団体の長・議員を決めるにあたっては
  その住民が直接選挙する――とされています。

  これまでの判例・主流の学説の中には
  「住民」は日本国籍を有する住民であるべき――
  という判決もありましたが、
  その判決の中でも次のようにいっています。
 
  ~地方公共団体の日常生活に
   密接な関連を有する事務については
   地方住民の意思を反映させるべき~

  また、選挙権を与えるかどうかは
  「立法政策」であり
  「憲法」では定めていませんが
  「法律」によって権利を付与することはできる――
  といっています。

  中田 「そこから議論があって、各党の議員さんは
       『外国人についても地方参政権を与えるべき』
       といってるわけなんです」

  吉田 「今回『議員立法という形で国会に出したい』
       と思っていたけど、やめた――ということですよね」

____________________________

   ◆ポイント4 民主党は【公約】に明記

   今回、法案の提出は見送られましたが
   民主党は、永住外国人に参政権を与えることを【公約】として
   明記
していることから、今後も議論が続きそうです。
____________________________

   ◆ポイント5 反対論

   一方、反対論の中には
   どのような意見があるのでしょうか。

   ・もし日本で参政権を得れば
    国籍を持っている国でも参政権を持っていることから
    【二重に参政権】があることになり
    原理的におかしいのでは?

   また、国と国との安全保障の観点からも
   慎重に考えるべきという議論があります。
____________________________

   ◆ポイント6 議論の対象は特別永住者に限定

   今回、日本で議論されていることも
   “全ての在留外国人に参政権を与えよう”
   というものではありません

     海外で、参政権を認めている国の中でも
     在留資格・滞在期間などの条件で
     限定するケースが多く見受けられます。

   「歴史的経緯」「在留原因の特殊性」などに照らし 
   『旧植民地出身者およびその子孫』特別永住者には
   地方参政権を認めよう――という議論にとどまっています。

   中田 「広く一般に、在留外国人に対して
       地方参政権を与えよう――
       という議論にまではまだいっていません」

      「これから国際社会の進歩、平和な社会をつくっていこう
       という動きの中で、国単位でどうのこうの…
       という時代じゃないんじゃないか――。
       そういう考え方がありますね」

____________________________

中田先生セレクションの1曲

 女の秋 / 井出せつ子
 
  中田 「昭和41年の“ミス平凡”に選ばれた
       とてもきれいな人です」

投稿者 senpatsu : 2009年12月10日 21:00

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第7回 2009.12.03 ON AIR

2009/12/03

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。
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 ○注目のニュース
  
  インサイダー取引

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  去年11月、経営破たんした元東証1部上場の建設会社
  「オリエンタル白石」
  会社更生法の適用申請公表前に
  信用調査会社「東京経済」の社員らが波状情報を入手。

  株のインサイダー取引を
  行った疑いのあることがわかりました。

  証券取引等監視委員会は
  10月30日に金融商品取引法に基づき
  関与した数人に対し、課徴金を科すよう金融庁に勧告。

  信用調査会社の社員がインサイダー取引で
  課徴金勧告を受けるの初めて。

 ********************************************
 
  ◆ポイント1 きっかけは前日のメール
 
   「オリエンタル白石」は去年11月26日、
   約60お億円の負債を抱え、
   東京地裁に会社更生法適用を申し立てた。

   「オリエンタル白石」の幹部は
   社内の混乱を防ぐため
   発表前日に社員向けメールを事前に作成。
   申し立て公表後に送信する予定だったが
   誤って前日の25日に送信してしまった。

   このメールを受け取った複数の社員と
   「オリエンタル白石」の関係者から情報を入手した
   「東京経済」の社員は
   株価下落に備え、所有する「オリエンタル白石」の株を
   売却して損失を回避したり、
   “空売り”して値下がり後に買い戻すなどして
   不正な利益を得たという。
 
   空売り(今回の例)・・・
    借りた株を“破たん”公表前に高値で売却し、
    公表後、安値で買い戻して持ち主に返却。
    売値と買値の差額で利益を得た。 
____________________________
 
  ◆ポイント2 インサイダーとは
 
  「インサイダー取引」とは
  金融商品取引法で禁止されている行為。
  公表されていない情報をもとに株式、金融商品を取引すること。
  健全で公正な証券取引の確立のため
  “公表されれば投資家の判断に影響を及ぼすような
  重要な事実”
は、公表前に利用してはいけない。 
  
  「インサイダー」・・・「内部者」とは
 
  ・金融商品取引所に上場「会社」関係者。
   (役員・社員のほかパートタイマー・アルバイトも含まれる)
  ・議決権の3%以上を有する大株主。
  ・法令に基づく権限を有する者(許認可権限のある公務員)
  ・契約を締結している、または締結に向けて交渉中の人。
   (顧問弁護士、公認会計士など)
 
  ・会社関係者でなくなってから1年以内の人。

  ・会社関係者から“情報の伝達を受けた”人。
   (社員の家族ほか)

  吉田 「自分に関係ないと思っていても
       意外に“インサイダー取引”になる場合もあるんですね」

 
  中田 「気をつけないといけないですね、この規定は。
       案外、身近なところで起きるかもしれません」

____________________________
 
  ◆ポイント3 “重要事実”とは
 
   インサイダー取引で問題となる
   内部で知りえた公表前の重要な事実・・・
 
   どのような“事実”があてはまるのでしょうか。
 
  ●株価に影響があるもの
   会社の業務・財務に関連し、投資者の判断に影響がある事実

  中田 「たとえば友達との雑談の中で
       “大ヒット商品を来週発売する”
       何気なく聞いちゃうこともある」

   情報を聞くこと自体は制約されるものではありませんが
   知ってしまった(公表される前の)情報を利用して
   “公正取引を害する行為”をしてはいけません。
   (ポイントの“伝達を受けた人”に該当)
 
  ●“たまたま耳にした情報”は問題なし
 
  吉田 「たとえば、喫茶店で隣の人が話していることが
       たまたま耳に入った場合は?」

 
  中田 「“たまたま”耳に入ったものは
       『伝達を受けた人』の概念に入らないんです。
       会社関係者が会議室で話している内容を聞いた――場合は
       『会社関係者』になるからダメなんですが
       みんなが集まる喫茶店のようなところで
       聞いた話は利用できないか、というと、実はできるんです」

  吉田 「話している人が、知っている人ではダメで
       知らない人ならいい――と」

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  ◆ポイント4 「インサイダー取引」の罰則は重い
  
  ●刑罰は5年以上の懲役、もしくは「500万円以下の罰金。
 
  中田 「法人に対して5億円以下の罰金という場合もあります」
 
  ●得た財産はすべて没収・追徴されます。
 
  インサーダー取引で得た“財産”――
  (株の場合、売った代金全額)――が没収・追徴の対象に。
  
  ※「500円で買い、1000円で売った」場合は
   利益の500円ではなく、1000円が没収・追徴の対象
 
  中田 「やった方が“損”だというようになってるんです」
 
  吉田 「重いんですね!」

  中田 「刑事罰のほかに、行政措置として
       “課徴金納付命令”という、金融庁からの強制罰が
       出る場合もあります。」

 
  吉田 「いつ周りにそういう(公表前の重要な)情報が
       あるかわからないですし、
       気をつけないといけないですね」

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中田先生セレクションの1曲

 アヴェ・マリア / ソ・ウォノ
 
中田 「今の季節に合ってるでしょ。とてもきれいな歌です」 

投稿者 senpatsu : 2009年12月03日 21:00

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