第8回 2009.12.10 ON AIR
2009/12/10
『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」。
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田
“法律”の観点から解説します。
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○注目のニュース
外国人の参政権
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民主党は先月10日、永住外国人に
地方参政権を与える法案の
臨時国会での提出を見送る方針を固めました。
民主党の山岡賢次国会対策委員長が
議員立法として臨時国会に提出する考えを示していましたが
国民からの多くの抗議や党内からの反発があったことも
提出を見送る理由になったとみられています。
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◆ポイント1 憲法で定められた参政権
【憲法15条1項】では
公務員を選定・罷免することは国民固有の権利として
参政権が定められ、次の権利が含まれます。
●選挙権(投票する権利)
●被選挙権(候補者となる権利)
また、基本的人権は、日本国民だけでなく
在留外国人に対しても等しく及ぶものと考えられています。
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◆ポイント2 地方選挙への参政権を在留外国人に与えるか
地方選挙への参政権を日本国民でない人にも
与えるかどうか――が今回のニュースのポイント。
中田 「憲法上の権利として
はたして地方参政権が認められるのか
という議論があるんです」
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◆ポイント3 地方自治に関する定め / 過去の判例
地方公共団体の長・議員を決めるにあたっては
その住民が直接選挙する――とされています。
これまでの判例・主流の学説の中には
「住民」は日本国籍を有する住民であるべき――
という判決もありましたが、
その判決の中でも次のようにいっています。
~地方公共団体の日常生活に
密接な関連を有する事務については
地方住民の意思を反映させるべき~
また、選挙権を与えるかどうかは
「立法政策」であり
「憲法」では定めていませんが
「法律」によって権利を付与することはできる――
といっています。
中田 「そこから議論があって、各党の議員さんは
『外国人についても地方参政権を与えるべき』
といってるわけなんです」
吉田 「今回『議員立法という形で国会に出したい』
と思っていたけど、やめた――ということですよね」
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◆ポイント4 民主党は【公約】に明記
今回、法案の提出は見送られましたが
民主党は、永住外国人に参政権を与えることを【公約】として
明記していることから、今後も議論が続きそうです。
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◆ポイント5 反対論
一方、反対論の中には
どのような意見があるのでしょうか。
・もし日本で参政権を得れば
国籍を持っている国でも参政権を持っていることから
【二重に参政権】があることになり
原理的におかしいのでは?
また、国と国との安全保障の観点からも
慎重に考えるべきという議論があります。
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◆ポイント6 議論の対象は特別永住者に限定
今回、日本で議論されていることも
“全ての在留外国人に参政権を与えよう”
というものではありません。
海外で、参政権を認めている国の中でも
在留資格・滞在期間などの条件で
限定するケースが多く見受けられます。
「歴史的経緯」「在留原因の特殊性」などに照らし
『旧植民地出身者およびその子孫』=特別永住者には
地方参政権を認めよう――という議論にとどまっています。
中田 「広く一般に、在留外国人に対して
地方参政権を与えよう――
という議論にまではまだいっていません」
「これから国際社会の進歩、平和な社会をつくっていこう
という動きの中で、国単位でどうのこうの…
という時代じゃないんじゃないか――。
そういう考え方がありますね」
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■中田先生セレクションの1曲
女の秋 / 井出せつ子
中田 「昭和41年の“ミス平凡”に選ばれた
とてもきれいな人です」
投稿者 senpatsu : 2009年12月10日 21:00