アクティブシニアの住みかえ大作戦!
毎週土曜日6時25分~6時40分 文化放送
今、日本人の寿命は飛躍的に延びています。
定年後の生活は「隠居・老後」ではなく、仕事に囚われない新しい人生の始まりと考えたほうが良いぐらいです。
しかし、不動産のような固定資産があるため、逆に人生に縛りが出来てはいないでしょうか?
そこで、この番組では、今の資産を活用しつつ、アクティブな新しい生活をする方法を提案していきます。
実際に住みかえをした方の声を交えて、具体例をお伝えします。

2010年04月24日

大垣尚司コラム 第3回

■2010年4月24日放送分■
 
■住みかえ探検隊(2)

今回は、
子供さんとの同居するにあたり、
いわき市にあるマイホームについて
マイホーム借上げ制度を利用されたMさんご夫婦です。
「老いてから」の消極的住みかえではなく、
「老いじたく」のために動かれた賢い事例だと思います。

住みかえカルテ
 
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コメント① 地方都市では貸したほうが有利
 
前回は、
住みかえ前のマイホームを売れば
そこそこの値段にはなるが
 
①買ったときの値段を考えるともったいない
②家が二束三文になるのがもったいない
③いずれにしてもなかなか買い手がつかない
 
といった理由でJTIを利用される首都圏の事例でした。
 
これに対し、
地方都市の場合、
購入されたときも
それほど高額ではなかったかもしれませんが、
売ればいよいよ安くでしか売れません。
もてあまして放置される方も多いのです。
 
しかし、
通勤・通学が可能な場所であれば、
地方でも7~8万円程度の
月家賃を期待することができます。
 
1年間で100万円近くになりますので、
10年程度貸せば、
売るのと同じぐらいの収入を得ることができます。
 
 
こうしてみると、
多くの地方都市ではマイホームの賃貸価値は
売却価値より高い
のです。
 
◆コメント② ニュータウンは古い
 
日本全国どこでも
「○○ニュータウン」という名前のついているところは、
高度成長時代に大都市郊外に作られた
「古い」ベッドタウンです。

早いものは昭和40年代から開発されていますので
住人の平均年齢が70歳代になっているところが
たくさんあります。
 
こういうところは、
ほどなく消極的住みかえが急速に進んで
空き屋が目立つようになります。
 
これがいわゆる都心ベッドタウンの過疎化現象です。
 
ところが、
古くに開発されたところほど、
当然のことながら都心に近い好立地が多いのです。
このため、
住まなくなったマイホームを、若い人に貸してあげれば、
古くても
近くて広い家に住むことができるようになります。
 
どうか老いじたくにあたっては、
ぜひ空き屋にせず、
賃貸活用を検討していただきたいと思います。

■ワンポイントアドバイス(3)老いじたくと こづかい
 
70歳をすぎると
これまで苦にならなかった
坂道や階段の上り下りがつらくなったり、
病気でなくても、加齢にともなって
病院で見てもらわねばならなくなる点も出てきます。
このまま今の家に住み続けていると、
早晩消極的住みかえ、必然住みかえ」
必要になります。
 
これに対し、
老いじたくの住みかえとは、
消極的住みかえの先手を打って元気なうちに
「老い」に備えられる住まいを確保すること
を言います。
 
老いじたくにもいろいろなパターンがあります。
今回は
Mさんご夫婦のように
子供と同居する場合のポイントをひとつ・・・。
 
わたし自身、
だんだん自分が祖母のように介護が必要になるときが
想像できるようになってきました。
 
この場合、
おむつを換えられるのもいやですけど、
そこに至る前の段階で一番いやなのは、
金銭的に子供の世話になることじゃないかなと思います。
 
もちろん、
誰かの世話になるとしたらまずは子供かなと思います。
特に、十分なケアをお金で買う余裕がない場合は
それしか選択肢がないかもしれません。
 
この場合、「子供に迷惑をかけている」という気持ちを
どれだけ抑えられるかが老いを進めないために
大変重要だという気がするのです。
 
よくある相続のトラブルに、
介護で世話になった者に遺言で家を残したが、
他の相続人がこれを認めず裁判沙汰にまでなる――
というケースがあります。
 
たぶん、譲る側の感覚は
「どうせ売っても大したお金にならないので、
それまでかけた苦労をお金に換算すれば安いものだ」

思えるのでしょうし、実際にそうなのだと思います。
 
ところが、他人からすればむしろ
「ちょっと介護したぐらいで家をもらうなんてけしからん」
ということになるのです。
 
そこで提案したいのが、
「マイホームをとりあえず家賃収入にかえて世話になる」
ということです。
 
上述のように地方都市ですと手取りの家賃は
7万円~8万円のことが多いので
びっくりするような金額ではありません。
 
しかし、一般的な家計の月の生活費が
30万円~50万円程度であることを考えると、
7~8万円の出費を自分で賄えれば、
同居している子供からすれば大変助かる話になります。
 
場合によったら、
子供に渡して家計の足しにしたり、
子供が返している
住宅ローンの足しにしてもよいでしょう。
 
この方法が“死んでから家を渡すより優れている”と
思える最大のポイントは、
元気で長生きすればするほど、
たくさんのお金を渡すことができる
――
ということです。
 
そして、その総額は
家の売却価値を簡単に上回るぐらいの金額になるのです。
 
「老いじたく」にあたって
「マイホームに こづかいを稼がせる」という
アイデアはいかがでしょうか?

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