2010年04月10日
大垣尚司コラム 第1回
■はじめに
大垣です。
放送では毎週アクティブシニアのみなさんが、
退職・子育て完了後の人生をいきいきすごすためのポイントを、
「住まい」という視点を中心に、
水谷アナウンサーといっしょにお伝えしていきます。
題して「アクティブシニアの住みかえ大作戦!!」。
毎回いろんな実例と作戦ポイントを解説します。
ただ、朝も早いですし、聴きのがすときもあると思います。
そこで、このブログでは毎回のキーポイントを整理していきます。
放送を聴いたりこのブログを見たりして感じた疑問や
「自分はこういう作戦でやってます」といった話があったら、
お気軽にメールやハガキでメッセージをお寄せください。
■アクティブシニアとは
この放送の名宛て人を何と呼べばよいのかはすごく難しい問題です。
今のところうまい言葉がないので、
仕方なくアクティブシニアと呼んでいますが、
「住みかえ適齢期」のことと考えてください。
「住みかえ適齢期」は四捨五入して50歳、
つまり45歳ぐらいから始まり、上は100歳超ということになります。
このレンジに収まるかたであれば、
この番組を聴いて多少なりともヒントが得られるはずです。
■マイホーム借上げ制度のポイント
この番組でご紹介する「住みかえ大作戦」で
もっとも重要な役割を担うのが、わたしが運営にかかわっている
移住・住みかえ支援機構(JTI)がやってる「マイホーム借上げ制度」です。
マイホーム借上げ制度とは、
50歳以上で、日本に住宅を持っている方がそこに住まなくなったり、
すでに空き屋・空き室にしている場合に、
その方と配偶者その他の同居人の両方が亡くなられるまで
終身で(一生涯)借り上げ、別の方に転貸することにより
確実に家賃収入を得られるようにするというものです。
対象となる住宅は一戸建てでもマンションでもかまいませんし、
現に住んでいる必要もありません。
別荘や親から相続して
空き屋のまま放置している家でも構わないわけです。
めんどうな管理はJTIから委託を受けた不動産業者がやってくれます。
制度最大のメリットは、
転借人が決まったあとは、
その後に空き屋・空き室になっても最低保証家賃が払われるということです。
死ぬまで家賃支払が保証されるわけです。
空き屋・空き室保証の原資は、
転貸家賃から一割を控除して積み立てておき、
原則として独立採算で運営しますが、足りなくなった場合に備えて
国の基金(現在5億円)が債務保証してくれています。
この結果、家賃は国が保証しているのと同じになります。
いわばマイホームが一種の公的年金に変わるわけです。
くわしくは、JTIのホームページをご覧ください。
また、sumikae@jt-i.jpにメールくださるか、
03 - 5211 - 0757
(祝祭日を除く平日午前9時~午後5時)に
電話くだされば詳しい資料をお送りします。
■住みかえ3つのパターン
シニア期以降、
通勤・通学が必要だったころに住んでいたマイホームから動く、
「住みかえ・移住」には大きく分けると次の3つのパターンがあります。
1) 消極的住みかえ、必然(・・・ねばならない)住みかえ
年をとると郊外一戸建ては維持管理が大変です。
庭の草引きもおっくうだし、だんだん階段を上るのもめんどうになります。
2階はといえば
子供部屋が年に数回しか帰らない娘のためにそのままにしてあったり、
物置になってしまい、
奥の方には
たぶん2度と見ない小学校時代の作文や
ノートの入った段ボールが放置されています。
丘陵地のはじっこのほうですと、
バス停から家まで登っていくのも大変になります。
こうして、そのうち、駅前の小さめのマンションに
引越・子供と同居・施設に入居・病院に入院といった理由で
住みかえが起こります。
多くの場合、必要に迫られて動くので「消極的住みかえ」と呼んでいます。
一般に、ここまで待つのはあまり賢い作戦ではありません。
「じゃあ、どうしろと?」・・・
その疑問に答えようというのがこの番組の趣旨です。
2) 主義主張住みかえ
実家のあるふるさとに戻る、
田舎暮らしだ、
別荘に永住してスローライフを楽しみたい、
北海道で悠然たる自然の中で暮らしたい、
沖縄のシニアリゾートで悠々自適の暮らしをする、
都心のシニアマンションに住みかえてアーバンライフを満喫する、
といった
「絵に描いたような」リタイアメントライフを
積極的に実践されるタイプです。
だいたい理念が先走る男性が主導する場合が多いですが、
おひとり様の女性同士で集住なんていうパターンもあります。
主義主張住みかえを実践しようという方は、
この番組に頼る必要はあまりありません。
自分で作戦がたてられるわけですしね。
ただ、今住んでいる家を
お金に変える方法があることを覚えておいてください。
それから、理念が先走る男性のみなさんにご忠告。
多くの方が奥さんとぎくしゃくしたり、病気をしたりして、
そのうち戻ってきます。
そうでなくても奥さんの寿命のほうが長い可能性があります。
ハードシップな場所にいくときほど、
戻る場所を確保しておくことも忘れないでください。
3) ゆとり住みかえ
さて、多くの方は、「住みかえ・移住」というと、
主義主張住みかえのイメージを強くお持ちじゃないかと思います。
そういう皆さんが、この番組でこれから登場する
「住みかえ実践者」の話を聴かれると、
どことなく「物足りなさ」を感じられると思います。
住みかえ先の場所に関するかぎり、
何だかあまり特徴のないところに住みかえている方が多いからです。
実は、最近普通のひとが普通の場所に住みかえる
「身の丈サイズ」の住みかえが増えています。
住みかえ先の確保のためにかかるお金も、
主義主張タイプよりは「お安い」パターンが多いです。
たとえば、住みかえ先を買う場合の必要資金をみてみると、
主義主張タイプは自分で建てるというDIY系でないかぎり
3000万円以上であることが多いのに対して、
ゆとりタイプは2000万円以下が目安です。
実は1000万円以下という場合も多いです。
それでも高いですけど、実は今住んでいる家を上手に活用すれば、
この程度なら無理なく買えるのです。
ゆとり住みかえのポイントは、
通勤・通学が可能な郊外から、通勤・通学はできないが
「孫から30分、都心に70分」程度の
「遠郊外」に住みかえることにあります。
このへんはまた、放送のほうでゆっくり説明していきます。
ゆとり住みかえは「必然」でも「主義主張」でもないので、
「どうしても」という動機がありません。
このため退職・子育て完了後も「なんとなく」今の家に住み続けてしまい、
結局「必然」的に住みかえることになってしまう方が多いのです。
ところが、
早いうちに「なんとなく」住みかえてみると人生が大きく変わります。
番組ではこのことへの「気付き」につながるような事例を
できるだけご紹介したいと考えています。
■最後に
ラジオのパーソナリティーは初めての体験なのですが、
オンエアされたものを聴いてみたら、
何だか随分ローテンションで暗い感じでした。
知性的ではありますが、かなり美人な水谷アナウンサーと対面だったり、
急に自己紹介させられたりしたことも原因かもしれません。
そのうち慣れてきたら大学の講義と同じ
ハイテンションな感じになると思います。
まあ、それはそれで朝から迷惑かもしれませんけど、
どうかよろしくお願いします。
では、また来週。