まったく、授業なんて退屈以外の何物でもない。
こんなことより【ナイトメア】の野望を阻止することが重要だと、
なぜ教師は気づかないのだろう。
俺は前にいる宇荷をボーっと見ながら、新たな必殺技を考えることにした。

放課後。
俺は委員会の集まりで別のクラスにいた。
授業をまともに受けない俺だが、美化委員会では委員長を務めている。
何も意外なことではない。美化活動は学校の治安を守るのに必要不可欠だからだ。
たとえばチョークの粉。あれは恐ろしい武器だ。風が吹いてアレが舞い上がるだけで、
俺のHP(ヒットポイント)を半分以上削るのだ。
「…ねぇ！ねぇってば！」
九条遙華。こいつも美化委員だが、いつも英字新聞を読んでいる変な奴だ。
こいつは新聞委員にでも入るべきだろう。
「美化活動のポスターを全部英語で書きたいんだけど、あんた英語できる？」
「なんで英語なんだよ。ってかお前、英語できないのか！？」
驚いた。じゃあお前の英字新聞はなんなんだ。
「何よあんた、できないの？使えないわね。そういえば英語は、
『あんたと同じクラスで美化委員の赤座さん』が得意だったわよね…。」
理不尽なケチをつけながら九条が辺りを見回し始めたとき、俺は気づいた。
今日、俺のクラスには欠席者はいなかったはずだ。
なのに…。

いない。

赤座あさりが、どこにも見当たらなかったのだ。