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diary

2018年2月19日 克己心

かの哲学者ニーチェは言った。
「あなたが出会う最悪の敵は、いつもあなた自身であるだろう。」

平昌オリンピックフィギュアスケート男子
羽生結弦選手が金メダルに輝いた。
この種目66年ぶりの連覇だ。
3か月前に右足首靭帯損傷の大けがを負い、
世の中の何割かは
ああ、これで金メダルが1つ減ったと落胆したはずだ。
羽生選手も不安がよぎったことは認めている。
それでも彼は諦めなかった。
復帰戦が五輪本番となった中でのショートプログラム。
結果は、自己ベストに迫る111・68点。
2位のフェルナンデス選手に4点以上、
3位の宇野昌磨選手に7点以上の差をつけてトップに立った。
直後のインタビューの中で彼は話した。
「僕はオリンピックを知っていますし、
おっきいことを言うなって言われるかもしれないですけど、
やっぱり僕は元オリンピックチャンピオンなので。
2か月間滑れなかった中でも、とにかく努力をし続けた。
その努力をしっかり結果として出したい」
そして翌日臨んだフリー。
羽生選手はケガの影響を踏まえてジャンプの種類を冷静に選択し、
完成度の高い2種類の4回転ジャンプに絞ったという。
それが、金メダル獲得に結び付いた。
「いろいろと悩みました。何十時間、
何百時間とかけて作り上げてきた大切なジャンプを
披露しきれないのは残念だが
この構成でこの演技が今の僕のベストだった。
初めて自分をコントロールして立てた作戦だった」
悩んだ胸のうちを明かした。
オリンピックという大舞台で「最高の自分を見せたい」という思いと
「今のベストを出して結果を出す」という思いが激突したことがわかる言葉だ。
自らの状況をクールに判断し、焦りを抑えて練習を再開して1か月、
4回転ジャンプを跳び始めてから2週間余りと、
短い期間で完成度の高い演技に仕上げてきたゆえの金メダル。
それは自分に勝った証だった。
銅メダルを獲得した練習仲間スペインフェルナンデスは語った。
「ユヅは全力を傾け、最悪の事態を好転させる強さを持っている。
彼は決して諦めない。今を生きる伝説の選手で、
学べることがたくさんある」
フリーの演技が済んだ時
羽生の口が何度も同じ形に見えた。
「勝った!」
「勝った!」
右足首を押さえ
氷を触りながら吠えた。
羽生結弦は過去にこうもいった。
「努力は嘘をつく、でも無駄にはならない」
トップを走るアスリートの格闘が言葉から見える。

柔道家、嘉納治五郎はこういっている。
「人に勝つより、自分に勝て。」
どれだけ自分に勝つのが難しい事か・・。
私は胸に手を当てる。
オリンピックは様々なことを教えてくれる。

克己心
克己心