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diary

2018年1月29日 15尺の世界。

大相撲初場所は、6年ぶりに平幕力士がてっぺんに立った。
14日目、単独首位、春日野部屋・栃ノ心が
松鳳山との平幕対決を寄り切りで制し千秋楽を待たずに初優勝を決めた。
ジョージア出身では初の制覇で、ヨーロッパ勢3人目。
2008年夏場所の琴欧州
2012年初場所の把瑠都
そして、今回。
2012年夏場所の旭天鵬以来6年ぶりの平幕優勝で、新入幕から58場所での初制覇は貴闘力と並び4番目の遅さだ。
 旧ソ連のジョージア出身。12年前、泣いて反対する母を押し切り、
母国語の辞書さえない日本にやって来た。
柔道やサンボなどで磨いた腕と恵まれた体格で
三役まで駆け上がった。
しかし2013年名古屋、右膝前十字靱帯などを断裂。
4場所連続休場で幕下55枚目まで落ちた。
 3カ月以上稽古もできず、何度も引退も考えたという。
そんな時、いくつかの言葉が栃ノ心を奮起させる。
その一つ部屋の親方の春日野親方の言葉。
「お前に(幕下がつける)黒回しは似合わない」 
まだまだ取れる!
栃ノ心は、これまでより速い攻めを心がけ
復帰した2014年春から4場所連続優勝で幕内に帰ってきた。
春日野親方は「励ましはしたが正直ダメだと思っていた」と言う。
11年には門限破りなどを理由に栃ノ心らを
叱咤し、指導が行き過ぎと指摘され、
日本相撲協会から厳重注意を受けたこともあるという。
 この初場所中も春日野部屋での元力士による傷害事件が明るみに出るなど、
騒がしい日々が続いた。そんな中、
「よく頑張ってくれた。いろいろなことを思い出す。けがもあったけど、
よく立ち直った。やんちゃだったし、いっぱい注意もした。すごく成長した。
昨年11月に長女が誕生した。
その長女の存在が快進撃の大きな原動力だという。
八角理事長は
「栃ノ心は立派だ。大けががあったがよく辛抱した。
周りからも支えてもらった優勝だと思う。
30歳という年齢を感じさせない。
自分のスタイルに自信を持てるだろう。大関も十分に狙える」
栃ノ心は、けがで苦しんでいる力士にできるということを、
身を持って証明した。
「昨日、ジョージアの家族と泣きながら
テレビ電話で話をした。みんな幸せです。
これからも親方の言うことをきいて頑張ります」
日本に来て12年。
流暢とは言えない日本語、
だからこそ伝わるものがあった。
栃ノ心の「心」は日本人の心を大切にしてほしいと
親方がつけたという。
一度、大きな壁が立ちはだかっても
諦めず、あらゆることに
「心」を込めることが人生には大切なのだ。
相撲からまた一つ教えられた。

15尺の世界。
15尺の世界。