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diary

2016年3月7日 一気に

国立新美術館(六本木)で第52回2016 創玄展が開かれている。
昨年高校時代書道部の顧問だった田岡正道先生の遺墨展に
お邪魔したのが縁で、約40年の月日を経て「書」と触れ合っている。
創玄展は、単一団体としては最大級の創玄書道会で
全国で活発な活動が行われている。
私とは何の関わりもないと思っていたら、これが大ありだった。
高校の恩師、田岡先生の師匠というのが金子鷗亭氏。
その金子先生が「もっと書道を親しみやすくしよう」
「日本の美しい言葉、私達が触れる感動した言葉などを書にしよう」
「分かりやすく読みやすい文字を使おう」
と誰もが親しむことができる、大衆の書を提唱して作ったのが
創玄書道会だという。
2月にたっぷりとお酒を御馳走になった近藤北濤(ほくとう)氏や
徳村旭厳(きょくげん)氏の書も展示されていた。
床の茶色の外は白と黒。
独特の雰囲気が心地よい緊張感と懐かしさを醸し出す。
近藤先生の紹介で篆刻の遠藤 彊(きょう)氏や
書道展陰の立役者、加藤 有鄰(ゆうりん)氏からお話を聴いた。
遠藤氏がある作品を見ながら
「ああ、これは上品ですね。しかし、後半息切れしましたね」
大家ともなると作品を見ればそんなことまでわかってしまうのだ。
篆刻は印のこと。作品の末尾に押してある朱色のものだ。
「印というのはね、広いスペースには小さな印
狭い所には大きいものがいい」
これまで逆だと思っていた。
「印は従です。主は字なのですから」
ううむ、深い言葉だ。
加藤氏「私たちが目指す書とは、皆にわかる字だと、それは習字になる。
全く読めなくてもよろしくない。難しいのです」
おっしゃること、よくわかる。
「自分が感じた思いを字に込めて、初めの筆の入りから一気に書く。
数十枚書いて、良い作品を3枚くらい選んで、次はこうしようと練っていく。
学生の頃は、一作品に1000枚費やしたこともありました」
ここにある作品は氷山の一角なのだ。
同じ芸術でも、絵画はじっくり思いを重ねていく。
書は、一気。筆を動かしたならば仕舞まで墨を迸らせる。
放送も似ている。録音番組と生放送。何れも良さがある。
さらに書は、大阪串揚げ、ソースのルールも加わる。2度付け禁止だ。
近藤先生が言った。
「今回の書は血管を表したかったのです」
その作品は「遠回り こそ 最良の道 不安を力に」
書道とは文字に自分の思いを重ねること、
そして、縁とは、血管の如く繋がっているもの
改めてそう感じた。
創玄展は入場無料。3/3~3/13(日)尚8日は休館
3/10からは、東京都美術館に場所を移して全国学生書道展が行われる。

一気に
一気に

書は心なり
書は心なり